「ちゃんと測れるんだね。」
放射線測定器を手にしながらしみじみとつぶやくこの言葉、私にとって驚きのものでした。
はじめまして、科学コミュニケーターの大堀です。地震による影響で、長らくお休みしていた未来館ですが、6月11日に開館となりました。また皆さんと実験ができることを大変うれしく思います。
お休みの間、皆さんが抱える震災の疑問にお答えしたい!といろいろな活動をしてきました。中でも皆さんから疑問の声が特に多かったのが「放射線」。聞き慣れない単語が飛び交い、そのたびにインターネットで検索をする──とても便利で助かりますよね。ですが、文字媒体だけではなく、体験して得られる知識も大切にしなくては、と私は考えます。そこで始めたワークショップ。まずは放射線の基礎を理解してもらいたいという思いのもと、スーツケースに入れた霧箱と測定器をもって、図書館や児童館、科学館とさまざまな場所でワークショップを行いました。
霧箱への興味はもちろんですが、皆さんが夢中になったのは測定器。大人も子どもも飽きることなく 、じっーと値を見つめていました。そして聞こえたのが冒頭のつぶやきです。思わず、「新聞やニュースでよく数字は目にしているのでは?」と尋ねると、「はい、毎日見ます。でもあまりピンときていませんでした。なぜか今はとても身近に感じますね。」とのこと。実際に測定器を使って目にすることで、「数字で見える」という事実に納得していただけたようです。
しかし、「そもそも放射線とは何か」という基礎を知る内容だったため、ご期待に添えないこともあったかと思います。皆さんからの貴重なご意見、今度は未来館の中での活動に反映しながら、「実感してこそ得られる気づき」をこれからも大切にしていきたいと思います。
次回は、私がちょっと気になったり、すごく気になったりする展示や実験教室の魅力をご紹介します。
最後に、ワークショップにご協力くださり、ともに盛り上げてくださった児童館、図書館、科学館の皆様、本当にありがとうございました。