え?
と思われたかもしれません。
なにを!
と思ったかもしれませんが、このお金は2009年に支払いが決定しております。
大変もうしわけありませんが、返金はいたしかねます。
その代わりに、1000円が何に使われたかというお話はいかがでしょうか?
あなたの1000円は、「FIRSTプログラム」という、最先端科学技術の研究支援プログラムに使われています。このプログラムでは、新規材料・エネルギー・医療工学などの分野のトップ研究者30名に、総額1000億円の予算を配分して研究を支援しています。
あなたの1000円のうち、50円を山中先生のiPS細胞の研究に使います。
50円は小銭かもしれませんが、1億人が支払うと50億円にもなります。額が大きすぎてピンときませんが、あなたの50円が使われていることは間違いありません。
「iPS細胞が再生医療に応用されますように!」とお賽銭の50円を握りしめて神社にお参りするか、山中先生の研究に賭けてみるか、どっちがいいでしょうか?
私は「日本発のiPS細胞技術が、世界をリードできますように」と祈っています。
新しい超伝導体の探索をしている細野先生には33円をつぎこみます。
報道でも大きく取り上げられた「鉄系」超伝導体の発見を、覚えているかたも多いかと思います。
ちなみに、この「鉄系」は、撮り鉄や乗り鉄とは一切関係ありません。超伝導体はリニアモーターカーなど鉄道にも使えますが、ここでは関係ありません。
ザ・鉄、Fe、を使った超伝導物質、の意味ですので、お間違えなきよう。
さて、強相関電子の研究に31円を投じます。代表研究者の十倉先生は、次のノーベル物理学賞候補ともウワサされています。
バリバリ仕事する厳しい先生では、と思いきや、趣味は「愛犬との暮らし」とのこと。
なんだか親近感わきますねー。私はネコ派ですが。
強相関電子の応用には電荷・スピン・軌道といった物理的性質の多面性がとても重要だそうです。十倉先生もオンとオフの多面性がすてきですね。
他にも27つの研究についてはこのような金額です。
FIRSTプログラムには皆さん一人ひとりからの1000円という税金が投じられていますが、あなたは高いと感じますか?
私、個人としては、
破格の安さ!
と思っています。
5年間で1000円、1年では200円、1日あたりなら1円未満。
これは破格!
たったの1000円でiPS細胞も新規超伝導体も強相関電子も、ぜんぶあなたのものに!(なるかもしれません)
大事なことなので、もう一度言います。
これは破格!!
せっかくあなたが支払った1000円です。
どう使われてどんな研究成果が上がったのか、この機会に少しだけ気にかけてみてはいかがでしょうか?
いま未来館では、この「FIRSTプログラム」の研究者30名が集結する「TOP OF THE TOP! 世界の頂点をめざす研究者30名」展を開催しています。
毎週土曜日には、ミニツアーや研究者へメッセージを届けるイベントを開催しています。ご来館のさいは、どうぞ3階サイエンスライブラリにお立ち寄りください。
※ここで紹介した3つ以外の研究についてもっと知りたい方はFIRST採択結果をご覧ください。(リンクは削除されました)あなたが支払った1000円のうちの使用額は【「中心研究者及び研究課題」の選定結果】にある表に出ている数字を100で割った値です。例えば、合原先生の研究には19円36銭を投じています。
※ここでは日本の納税者数をざっくり1億人として1000億円÷1億人=1000円と計算しました。納税者数は1億人もいないので、より正確にはあなたは1000円以上負担していることになります。ちなみに国の歳入のうち税収は40.9兆円です。