2013年ノーベル賞を予想する!~化学賞その3~

こんにちは!

海人(うみんちゅ)科学コミュニケ-ター髙橋です。

海ばかり入っていた私が、生き物大好きな私が...

大胆にも化学賞チームの一員として

ノーベル賞受賞者を予想しました!

髙橋の予想するノーベル化学賞受賞者はズバリこの方!!!!

受賞者:春田 正毅(はるた まさたけ)

写真提供:首都大学東京

受賞テーマ:金ナノ粒子触媒の開発

うーん...金はわかるけど、そのあとがちんぷんかんぷん...

という方も大丈夫です!金のあとから一つずつ紐解いていきましょう!

そもそもナノ粒子ってなに?

「ナノ」とはものの大きさを表す単位です。

普段の生活では「ミリ」くらいならピンとくるでしょうか。

「1ナノメートル」は「1ミリメートル」の100万分の1の大きさ、髪の毛のおよそ10万分の1(小さいっ...!)。

国際純正応用化学連合によると、「ナノ粒子=直径100nm以下の微粒子」と定義されています。

じゃあ「金」ナノ粒子ってなに?

私たちが「金」と聞いて思い浮かべるものといえば、金メダル、金塊、金箔など、その名の通り金色に輝いているものが想像できます。

ところが!「ナノ」サイズの小さな粒子にすると、私たちがよく知っている金とは全く違う色になるのです。

金ナノ粒子の溶液はなんと赤色!粒子が集まり大きくなると青っぽい色になります(全然金色じゃない!)。

金ナノ粒子の溶液(写真:Aleksandar Kondinski)

ところが!変わるのは色だけではないのです!

ここからが本題!(お待たせしました!)

金ナノ粒子はここがすごい!!

金をナノ粒子にして、ある物質の上に載っけた状態にすると、非常に優れた触媒(化学反応を促進する物質)となることが分かったのです。

この発見をしたのが今回私の推す春田先生!

金ナノ粒子触媒の特徴の一つにその作用が起こる温度があります。

実は金ナノ粒子の発見以前も触媒として利用されている金属はありましたが、その作用が起こる温度は100℃以上の高温だったので常温では効果を発揮することができませんでした。

しかし!春田先生の金ナノ粒子触媒は-70℃でも目的の化学反応が進行し、その効率も他の金属触媒に比べてはるかに高いことがわかりました。

つまり、金触媒は常温でも使えるのです。

また、触媒というのは使っているうちにその効果がだんだん薄れてくるため、付着した余分な物を取り除き、リサイクルして使われます。金触媒はこのリサイクルが他の金属触媒に比べてとても簡単で効率が良いという利点も持っています。

つまり、金触媒は環境に優しいのです。

この発見をきっかけに世界中で金触媒ブームが起り、これまではできなかった、もしくはとても効率が悪かった化学物質の合成を可能にしました。

私たちの身の回りではどう使われてるの?

金触媒を使って様々な化学物質の合成が可能になった!...と言ってもなかなかピンとこないですよね。

例えば、自動車からでる排気ガスを浄化してきれいな空気にする化学反応には金触媒が威力を発揮しています。

他にも、悪臭成分の浄化や、シックハウス症候群でおなじみのホルムアルデヒドの分解にも金触媒が優れていることが分かってきました。

熱に弱いタンパク質が関係する化学反応にも使えることから、インフルエンザ検査や妊娠検査などの医療用診断キットにも使われています。

常温でも効果を発揮するということは私たちが普段生活する空間で利用できるということ、

さらに、金属資源が減っている地球への負荷が少ない、

ここに金触媒の利用度の高さがあるのではないでしょうか。

ノーベル賞受賞者が手にする金のメダル。

金の研究者が金のノーベル賞メダルを手にする...そんな粋な光景が目にできるかもしれません!

化学賞の発表は10月9日!

今年はみなさまにも予想をしていただける投票サイトも作っております!

(この特設サイトの公開は終了しました)
みなさんも新米ノーベル賞担当の私と一緒にドキドキワクワクしませんか?

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