ハテナ?を育てるゾウのハナクソ...?

今、私には、ずっと考えている問題があります。
それは...... ゾウのハナクソは、どこにたまるのか!?

この疑問、あなたはどう感じますか?

そんなの知らないよ!
どうせ答えはブログの最後にあるんでしょ?
考えたことなかった!どこだろう!? ・・・・・・。

実は、この問題は11月4日に開催したサイエンティスト・トーク「集まれキッズ!好奇心から生まれるハテナ」の講師、塩瀬隆之氏から、会場のみなさんへの宿題です。

塩瀬さんは、子どもの好奇心をひきだす学びのワークショップを100回以上開催している、まさにプロフェッショナル。巧みなトークに会場はぐいぐいと惹きこまれていきました。部屋に入りきらずにガラスの壁越しに見ていたお客さまも、一緒に笑ったり、挙手をしたりと、一体感のある場となりました。

講師の塩瀬隆之 氏 (関西弁の使い手)

テーマは「科学的なモノの見方、考え方って何?」。 主に小学生のお子さまと保護者さまに向けてお話しいただきました。

さて、「ゾウのハナクソはどこにたまるの?」という宿題。

これを、もし、子どもに聞かれたら、あなたならどうしますか?

"なんで?どうして?"がいっぱいの子どもたち。好奇心たっぷりに生まれてきた子どもの"ハテナ"は、大人たちに投げかけられます。

大人は、つい面倒がって「そんなの知らないよ」と、そっけない態度を取ってしまったり、これは勉強のチャンス!と意気込んで正解を教えようと奮闘したり......。

でも、塩瀬さんはこう言います。

答えよりも、大切なのはハテナです。

大人にして欲しいのは、子どものハテナを褒めること。そして、ハテナを子どもと一緒に悩むこと。 科学は、ハテナ?をわかった!に変えるだけじゃありません。

ハテナをたくさん広げていくことも科学です。

写真は、熱帯の樹木「フタバガキ」の種です。 フタバガキは高さ60mにもなる高い樹木で、種はプロペラのようにくるくる回りながら落下します。 会場では、このフタバガキの種を真似た、紙で作る工作にチャレンジしました。 紙とハサミとクリップさえあれば、おうちでも簡単に作れます。

はがきの大きさくらいの紙を用意して、図のようにハサミで切り込みを入れます。そして、クリップで☆の位置を止めます。

作り始めると、会場は大盛り上がり。
「回った!」「すごい!」とあちこちで歓声が上がり始めました。この工作は簡単にできるのですが、奥が深いのはここから。

塩瀬さんの「できた人は他の人が作ったものと比べてみてください」との声かけで、「あれっ?」と子どもたち。

人によって、回り方が少しずつ違うのです。

すると、「なんであっちはよく回るの?」「もっと厚い紙でやったらどうだろう?」「大きい紙で作ったら?」......と、子どもたちのハテナは大爆発!やってみたくてたまらない!と、いろんな紙を使った実験が繰り広げられていきました。

両手で比較したり、家族で比べっこをしたり。会場は大盛況!

どうやったら綺麗に回るのか、その答えは誰も知りません。

わからないからこそ、考えて、やってみて、あれっ?と思って、また考えて......。 ほら、このサイクルはまさに、科学的な考え方!

つい大人が熱中して、「こうした方がよく回るよ!」とやってあげたくなります。

でもそれはぐっとこらえて!子どもたちの楽しみを奪わないであげてください。いずれ自分の力で気づくはずです。それにはちょっと時間がかかるかもしれません。

でも、子どもの好奇心を信じること、それが大人の役目です。

答えがすぐにわからないからこそ、ハテナは育つ。

今やインターネットで調べれば簡単に答えが手に入る時代。「ゾウ ハナクソ」と入力してポン、とすれば宿題の答えも出てくるかもしれません。 でも、答えを知らずに考えていると、やがてハテナは育ちます。

「そういえば、ぼくのハナクソはどこからくるの?」
「...そもそもハナクソって何だ!?」

答えを教えようとしたら、「ちょっと待ってよ!今考えてるんだから!」と怒る子どもたちが増えたら楽しいな。私はそんな子どもたちと話がしたいです。

イベントの終わりには、塩瀬さんに宿題を出そう!と会場の子どもたちにハテナを考えていただきました。

会場から集まったすてきなハテナたち。

予想以上にたくさんのハテナが集まりました! 中には、「カメのハナクソはどこにたまるんだろう?」と、宿題をきっかけに広がったハテナもありました。

写真は、我が家のカメ。ハナクソなんて考えたことがなかった。

余談ですが、今回、会場にはいろんな生き物の写真を貼っておきました。その中に我が家のカメの写真もこっそり混ぜておいたところ、あるきっかけで注目を集め、みなさんに名前まで知っていただくことになりました。(ご来場いただいたみなさん、まだ名前を覚えていますか?)

最後に、イベント後のアンケートでいただいた声をご紹介させていただきます。

「自分の常識を常識として話すのではなく、(子どもに)耳を傾けられるようになりたい」
「子どもとすごす時間を楽しむことって忘れちゃうよねー、と(ママ友・パパ友に)話したい」
「うちの子は質問がなかなか考えられませんでした。それも受け入れて、見守っていきたい」

私には今、ゾウとカメのハナクソの他に、ずっと考えていることがもう1つあります。 それは、たくさんの子どもたちと、子どもに科学に親しんで欲しいと願う大人たちに向けて、未来館ができること。 今回のイベントだけでは終わりませんよ!ぜひご期待ください!

☆イベント概要 サイエンティスト・トーク 「集まれキッズ!好奇心から生まれるハテナ」
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開催日時:2013年11月4日(月・祝)14:30~15:30
開催場所:日本科学未来館 3階 実験工房
参加者数:130名 Ustream中継視聴者数:62名

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