二酸化炭素は増えて、減って、増えて、減って...なぜだろう?
──未来館の常設展示より

「人間」そして「社会」に続き、

「地球」のスケールに視野を広げ、世界をさぐります。

未来館の常設展示を紹介する不定期連載の第3回。

シンボル展示のGeo-Cosmosをはじめとする「ジオ・ツール」を使って、地球をデータで眺めます。

今回、取り上げるのはこちら。

Geo-Cosmosに、1985年から2010年までの、大気中の二酸化炭素濃度の変化を映し出しました。

何か、気がつくことはありますか?

(読み進めて答えを見る前に、よく観察してみてください)

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多くの方がまず気づくのは、

 「色がだんだん派手になっていく」

そうですよね。

二酸化炭素はだんだん増えていっています。

では、もう少し詳しく。

「増え方」や「場所」に注目すると、どんなことに気付くでしょうか?

Geo-Scopeの体験イメージ
今回紹介する「CO2濃度の今昔」は、Geo-Cosmosでの定常的な上映は行っていませんが、館内のテーブル型端末のGeo-Scopeおよび電子書籍などでいつでもご覧いただけます

まず「増え方」。単純に増えているだけでしょうか?

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 「増えたり、減ったり、している」

そう、周期的な波のような感じがありますよね。

では、いつ増えて、いつ減っているでしょう?

中央の下部に出ている年月に、注目してみてください。

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「夏より冬の方が増えているのかな」

そう。でも、なぜでしょう?

左から、1993年1月、7月、1994年1月、7月
冬に増えて、夏に減るのはなぜでしょう?

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「冬は、暖房をたくさん使うから?」

う~ん、それも確かにあるかもしれないけれど、もっと大きな理由があります。

冬に増える理由よりも、「夏に減る理由」を考えると、気づきやすいかもしれません。

未来館の窓の外に見える景色にも、ヒントがあります。

この景色は、夏と冬でどう違うでしょう?(2017年11月撮影)

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「...!」

そう、植物です。

春から夏にかけては光合成が活発で、二酸化炭素をたくさん吸収してくれるのです。

グラフにしてみると、

二酸化炭素濃度の変化(地球の平均)。Geo-scopeで見ることができます。

1年周期の波がありつつ、全体は右上がり。二酸化炭素の濃度が上がっているのは、植物が吸収するよりも排出量の方が多く、"収支"が合わないためです。

今の地球で二酸化炭素は、「循環しきれていない」のです。

このデータからは、ほかにもいろいろなことを読み取ることができます。

たとえば「場所」に注目すれば、

・人口が多い北半球の方が、増加が早いこと

・特に、東アジアやヨーロッパ、アメリカ東海岸(隠れていますが)が排出源になっていること

・でも最終的には、地球全体で濃度が上昇していくこと

などが分かります。

こうしていろいろなことを読み取って、何を感じるでしょうか?

 「植物って、こんなに"頑張って"くれているんだ」

 「大気には国境がないから、二酸化炭素も広がっていくのか」

 「このまま二酸化炭素が増え続けると、どうなるのだろう?」

 「循環させるためには、どうしたらよいのかな?」

生態系や地球、未来との「つながり」を感じてくれた方がいれば、

 「人間の影響って思ったより大きいんだなぁ」

 「地球と比べると、自分の存在は小さく感じられる」

などと、素直に話してくれた方もいます。

広い視野で世界を眺めるからこそ感じられること、きっといろいろあるんだと思います。

ジオ・ツールでは、ほかにもいろいろなデータを見ることができます。

Geo-Scopeでアクセスできるデータの一覧
Miraikan Channel「Geo-Cosmosコンテンツ」にも動画があります

「地球」という大きなスケールの視点から、自分たちが住む世界について、いろいろと発見してみませんか?

Geo-Cosmosは通常「最近90日間の雲の動き」を日々更新して映しています

未来館にお越しいただければ科学コミュニケーターがお手伝いしますし、オンラインでもMiraikanChannelの動画や電子書籍でデータをご覧いただけます。

【紹介展示】
ジオ・ツール

【オンライン・アクセス】
MiraikanChannel
電子書籍のGeo-Scope

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