~いつでも、どこからでも始められる鳥探しに挑戦!~

未来館に着くまでに、何種類の鳥に出会える? 

みなさんは、学校や職場に着くまで、何をして過ごしていますか?

電車やバスのなかでは、読書、音楽を聴く、携帯でいろいろ調べる、ぼーっとする、景色を眺める…など、いろいろな楽しみ方がありますよね。今回は、ぜひそんなみなさんの楽しみのひとつに加えてほしい、歩いているときにできる「鳥探し」についてご紹介したいと思います。   

みなさん、こんにちは!未来館に通勤している、科学コミュニケーターの遠藤です。
ご存じの方もいるかと思いますが、公共交通機関をつかって未来館に向かうと、最寄りの東京テレポート駅やテレコムセンター駅から少し歩くことになります。この道のりをもっと楽しめないだろうか…?と思い、今回、テレコムセンター駅から未来館までを「鳥探し」をしながら歩いてみました!
テレコムセンター駅から未来館までは、普通に歩くと約4分くらいです。こんな短い道のりで、いったいどれほどの種類の鳥に出会えるのでしょうか。

それではさっそく、私の1月下旬のある朝の鳥探し通勤をレポートします!

さて、テレコムセンター駅に到着しました。

ちょうど誰もいなかったテレコムセンター駅改札口

この日の天気は、くもり。
寒いなかの鳥探しになったのですが、どんな鳥がいるかな~?

まず、テレコムセンター駅から階段で下に降ります。
そうすると、コンクリートが敷き詰められた道と広場がみえてきました。

樹木に囲まれた、未来館までの道のり

じっくり眺めると…、地面を歩く鳥の姿が…!!
長い尾を上下に振りながら、歩いています。スズメよりも少し大きいくらいのサイズですが、長い尾が特徴です。

ハクセキレイの後ろ姿
ハクセキレイの横から見た姿

こちらは、ハクセキレイです!
「ツピン、ツピン」と鳴いていました(みなさんが聞いたときの印象と違ったらごめんなさい)。 ハクセキレイは海岸、河川、農耕地でみられるほか、住宅街や駐車場などでもみかける鳥です。また、同じようなかたちをした鳥の仲間に、キセキレイやセグロセキレイといった、少し色合いの違う鳥も日本にはいます。
地面で長い尾を振っている鳥がいたら、図鑑を見ながら、どの種類なのが当ててみてくださいね。お台場ではみられない種類が、みなさんのおうちの近くではみられるかもしれません。

さて、コンクリートの広場を過ぎると、こんどは右側に芝生や樹木が植わっている空間がみえてきました。

冬なので葉が落ちていて少し寂しい広場。でも鳥は見やすい!

地面のほうで、2、3羽でぴょんぴょん歩いている鳥を見つけました。

この写真にスズメは何羽写っているでしょうか?

こちらはお馴染み、スズメですね!市街地から山地の人家、農耕地、河原などいる、私たちにとって身近な鳥の一種です。
この日のスズメたちは、餌をとったり、移動したりしていました。 以前、お昼ごはんを未来館前の芝生の近くで食べていたときには、スズメが砂浴びをしている場面に出会いました。
スズメは馴染み深い鳥ではありますが、ずっとみていると新たな一面をみせてくれます。お時間のある方はぜひゆっくり観察することをおすすめします(双眼鏡を使って、鳥から気づかれないように遠くから観察すると、彼らはいろんな姿をみせてくれるはず…!)。

次に、同じく地面にいる、ちょっと大きめの鳥をみつけました。ドバトよりは小さく、スズメよりは大きいです。地面をつついて、お食事中のようでした。

ヒヨドリ。地面で餌を探したり、時々上を眺めたりしていました。

こちらは、平地や山地の林、市街地や農耕地などいろいろなところでみられる、ヒヨドリです!みなさんのおうちの近くでも、ヒーヨヒーヨと大きな声で鳴いている鳥がいたら、ヒヨドリかもしれません。

今度は上からツピーという声が!

シジュウカラ

ヒヨドリより大分小さい鳥が、枝をつたっていくのがみえます。2羽いました。
軽やかな枝移動です。枝についている実をつついている鳥もいます。
こちらは、白と黒が目立つ、シジュウカラでした。写真では逆光でわかりにくですが、喉元から白いお腹にかけて黒いスジが入っています。まるでネクタイのようです(写真ではわかりづらくて、ごめんなさい!)。こちらのシジュウカラ、人がかけた巣箱でも繁殖します。また、彼らが鳴き声を使って家族や群れのメンバーにどういった情報を伝えているのかなど、シジュウカラたちの言葉の世界が、研究によって明らかになってきています**。そんな注目のシジュウカラですが、市街地、公園、山など多様な環境で出会うことができます。
そして、これからの春から夏にかけては、シジュウカラたちにとって繁殖の季節になります。
みなさんのおうちの近くでも、ツピツピツピツピとさえずる、シジュウカラに出会えるかもしれません。耳も使って、探してみてください。ちなみに、私が今年になって初めてシジュウカラのさえずりを聞いたのは、1月21日でした。春がやってくる、そんな気持ちにさせてくれるシジュウカラたちのこの鳴き声が大好きです。

シジュウカラを眺めていると、ちょっとかたちの違う、黄緑色の鳥が横切りました。
目のまわりが白く目立つ、メジロです!
スズメよりも小さい、小柄な鳥です。1羽でなく、よく群れで移動しているのも特徴です。ツイーという、か細い声で鳴きながら通り過ぎていきました(ごめんなさい、写真が撮れませんでした…!)。 みなさんのおうちの近くでも、ヤブツバキなどの花に顔をつっこんでいるメジロに出会えるかもしれません。メジロは平地の住宅の庭から山地の林など広く観察される鳥ですので、ぜひ探してみてください。

そんなこんなで歩いていると、もう未来館が見えてきました。

日本科学未来館が奥に見える

写真も撮りながら歩いてきましたが、15分くらいで到着しました(遅刻しませんでした!)。
この日の鳥探しの成果ですが、こんな短い時間と道のりでも、5種類の鳥に出会うことができました!

この日は観察できませんでしたが、2月初旬の通勤時には、ドバト(カワラバト)、キジバト、ムクドリ、ツグミ、ハシブトガラスなどにも出会いました。

冬にみることができるツグミ
ムクドリ
ハシブトガラスもいました

また、東京湾岸警察署側を歩いてきたときは、オナガの群れやジョウビタキもみかけました。 どうですか?未来館の周りにも、いろいろな種類の鳥たちが暮らしていますよね。

未来館の横には、樹木が植えられている広場があります。こちらの広場も、鳥探しの場所としてはおすすめです!
今回は詳しくご紹介できませんでしたが、鳥探しの途中に冬を越す植物たちにも出会いました。地上だけでなく、ぜひ地面も観察してみてください。こちらはキュウリグサのロゼットだと思われる(参考にした書籍:亀田龍吉著 『野草のロゼットハンドブック』***)。

鳥探しの面白いところは、日によって出会う鳥が変わることがあること!昨日見られなかった鳥が、次の日には見られたりする。春から夏だけに出会える鳥がいたり、秋から冬だけみられる鳥もいる。そして、同じ種類の鳥でも、季節によって鳴き方や見た目が変わる鳥もいるんです。これは、みなさんのおうちの周りでも繰り広げられている鳥たちの世界です。

ぜひ、鳥探しノートなどを作って、日々の新しい発見を書き足していってみてください。未来館に来たときには、ぜひおうちの近くと未来館の周りでみられる種類の違いなども比べてみてください。そこには、みなさんにしかできない発見があるはず。そんな発見をしたら、ぜひ、未来館で遠藤にこっそり教えてください。楽しみにしています!

鳥探しを楽しむために
・鳥探しに集中すると、周りへの注意力が下がってしまう可能性があります。車や自転車、歩行者が通らない、安全な広いところをみつけて、鳥探しを楽しんでください。
・双眼鏡と鳥の図鑑があると、より楽しめると思います。
・鳥たちを驚かしたり、採食などの邪魔をしたりしないよう、できるだけ離れて観察するようにしましょう。

参考文献
* 叶内 拓哉 (著)・水谷 高英 (イラスト).2017.『フィールド図鑑 日本の野鳥』.文一総合出版.
** 上田 恵介 (監修)・日本野鳥の会 (編集).2021.『日本野鳥の会のとっておきの野鳥の授業』.山と渓谷社.
*** 亀田龍吉.2012.『野草のロゼットハンドブック』.株式会社 文一総合出版.

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