生き物のつながりに思いをはせる

こんにちは!生き物だいすき片岡です!

生き物たちが冬支度を始める今の時期は、地域によっては木々が葉を落とすので、鳥の観察がしやすくなります。一方で、虫などは寒さから逃れるため土や落ち葉の中に隠れてしまうので少し見つけにくいかもしれません。それぞれの季節で生き物たちの違った様子を見られるのでどの季節もステキですが、片岡はいろんな生き物が活発に活動する夏の季節が特にワクワクします。その季節は私の家の庭も、草木が茂り、アリ、ダンゴムシ、ミミズなどが活動的で、チョウ、ハチ、スズメ、ヒヨドリなどがやってきて、とても賑やかになります。

その生物たちをよくよく見ていると、ヒヨドリはミミズなどの小さな虫を食べ、ハナバチは花の蜜を吸っています。生物たちは、食べたり・食べられたりする関係や、生きていく上でお互いに協力する関係など、様々な関係性があるようです。お互いに協力しあう関係、相手を利用する関係、利用される関係などなど・・・。そして、これらの関係は、それぞれの生物にとって生きていくために必要なものであり、どの関係においても相手の生物が存在しなければ、成り立ちません。今回はこのような「生物のつながり」を考えてみたいと思います。

生き物同士の関係

代表的な生物の関係を紹介します。これから紹介するものは、実際に見たことがある人、知っている人もいるかもしれません。

捕食被食関係(食べる-食べられるの関係)
 エサを食べる生物(捕食者)とエサとなる生物(被食者)の関係です。例えば、ヒヨドリはミミズを食べます。ヒヨドリが食べる生物はミミズだけではありませんが、ヒヨドリとミミズの間には食べる者(捕食者)と食べられる者(被食者)の関係が成り立ちます。動物にとって、食事をすることは生きていくためにとても大切な活動です。

相利共生関係:
 関わりのある生物同士、お互いにメリットがある関係です。例えば、ハナバチは花から蜜を吸っていますが、蜜をとられた植物はそれが原因で枯れたり、死んでしまうことはあまりありません。むしろ、蜜を吸いに来たハナバチにはその花の花粉が付着し、受粉(種子をつくるために必要な工程)を手助けしてくれます。このような、お互いに関わることで利点があるものもあります。

寄生関係:
 自身が生きるために、他の生物そのもの、その栄養や住処(すみか)などを一方的に利用する関係です。例えば、黒くて細長いハリガネムシという生物は、カマキリのお腹の中で栄養をとって成長します。そして、大人になったハリガネムシは、カマキリをあやつって水の中に飛び込ませ、ハリガネムシ自身はカマキリの腹から水中に出てきて繁殖します。利用する生物にとっては、相手の生物がいるからこそ、生きていくことができます。

図1.さまざまな生き物の関係(イラスト:片岡)

実際の自然界における生物のつながりは、上記のようにシンプルなものばかりではありません。1つの生物は、たった1つの生物だけとつながりを持っているわけではなく、様々な生物とのつながりがあります。さらに、生物同士が直接関係しているものだけではなく、間接的に生物の営みがつながっていることもあります。さらにさらに、一方的な寄生関係のようにみえて、実は共生関係をもっていたり、はたまたその逆だったり、よくみると全く正反対の関係をもっていることもあります。私たちの身近にいる生物も、目で見て確認できるより、多くの生物と複雑な関係をもっているかもしれません。

身近な生き物のつながりを考えてみよう

では、身近な生物たちには、どのようなつながりがあるのでしょうか。
少しだけ一緒に考えてみましょう!

身近な生物の中から、「スズメ」・「ダンゴムシ」・「サクラ」についてみていきます。今回は大きく3つのポイントからつながりを考えます。「その生物が栄養(エサ)としているもの、もしくは食べている生物」「その生物を食べる(利用している)生物」「その生物が住んでいる環境」に注目します。

まずは「スズメ」

おうちの近くで可愛らしく鳴いている声を聞いたり、姿を見かけたりする人も多いのではないでしょうか。

スズメが食べている:穀物(コメ、キビ、アワなど)、サクラの花、など
スズメを食べる:ネズミ、ヘビ(雛や卵をよく食べる)、カラス、ネコ、など
ちなみに、ひと昔前までは私たちヒトもよくスズメを食べていたそうです。
巣を作る場所、巣を作るのときに使うもの:木の穴、植物の草、ツバメの古巣、など

図にしてみるとこんな感じ。

図2.スズメのつながり図(イラスト:片岡)

次に「ダンゴムシ」

花壇の中や石の下にたくさん集まっています。つつくと丸まるかわいいやつ。

ダンゴムシが食べている:落葉、枯死花、キノコ、他のムシの脱皮殻、など
ダンゴムシを食べる:クモ、ムカデ、アリ、カニムシ、など
住んでいる環境:土壌周辺

こちらも図にするとこんな感じ。

図3.ダンゴムシのつながり図(イラスト:片岡)

最後に「サクラ」

春になるとご家族やお友達と一緒に見に行きたくなりますね。

サクラが栄養にしている:水、日光、土壌からの栄養
サクラを食べる・利用する:スズメ、シジュウカラ、ケムシ、カミキリムシ、など
サクラが生育する環境:土壌

図4.サクラのつながり図(イラスト:片岡)

それぞれを見て、何か気が付いたことはありますか?

そうです!スズメとサクラはそれぞれ、食べる側と食べられる側でつながっています。

さらに、ダンゴムシは落ち葉を食べます。サクラの近くで生活しているダンゴムシであれば、サクラの木の落ち葉を食べることもあるかもしれません。また、ダンゴムシなど土に住んでいる生物の糞は土の栄養になります。サクラをはじめとした植物は、土の栄養を使って成長します。サクラとダンゴムシもお互いにつながりました!

では、スズメとダンゴムシはどうでしょう。
一見、関係性はなさそうに見えますが・・・少し視点を引いて見てみましょう。スズメとサクラ、サクラとダンゴムシにはつながりがありました。ダンゴムシがいるとサクラは土の栄養をもらう事ができます。サクラがあるとスズメはエサとして花の蜜を食べることができます。これは、スズメがエサとして食べるサクラをダンゴムシが支えているとみることはできないでしょうか。スズメとダンゴムシはサクラを通じてつながりがありました!

さらにさらにさらに、
「スズメ」「ダンゴムシ」「サクラ」からつながっている生物もそれぞれ他の生物とつながりがあります。

それらをつなげた図がこんな感じ。

図5.全部つなげた図(イラスト:片岡)

とてもごちゃごちゃしていますね(笑)

オレンジの色の線は、新しく追加したつながりを表しています。他にも、「?」マークのブラックボックスが追加されました。これは、「何かはまだ分からないけど、つながりがある生物・無機物」を表しています。身近な生物であっても、私たち人間はすべてを把握できていません。また、分かっている生物同士でも実はこんなつながりがあった!なんてこともたくさんあります。科学技術が進んだ現在では、これまでに分からなかったことが多く明らかになってきました。しかし、それでもまだ自然界のごく一部分しか把握できていないでしょう。

もしある生物がここから1つ消えたら、その生物がまだ知られていないが多くのつながりをもっていたら、つながりの線は一体どれくらい途切れてしまうのでしょうか。

生態系とわたしたち

このように、様々な生物が周りの環境(空気や土壌など)を含めてお互いに関係し合っている自然の仕組み、またそのまとまりのことを「生態系(せいたいけい)」といいます。大きさは見方によって様々です。例えば、アリ、ダンゴムシ、チョウ、スズメ、草木や土壌・・・などがまとまってある家の庭を1つの生態系とみることもできます。また、ある地域の森林や海洋にそれぞれ生息する生物と周りの環境をひとまとまりとしてみることもできます。さらには、地球全体をまとめて1つの生態系としてみることもできるかもしれません。

では、私たちヒトは、その生態系に含まれているのでしょうか。

生物たちの生態系とは別に、人間社会というヒトだけの生態系があるのかもしれません。はたまた、地球規模でみると、ヒトも生態系の1つの構成要素といえるかもしれません。様々な考え方があります。皆さんはどう考えますか?

そして、ひとつ確かなことは、ヒトの活動が他の生物に良くも悪くも大きな影響を与えているということです。これから先、私たちは様々な生物たちとどのような関係にあるとよいのでしょうか。生き物とのつながりに思いをはせて、改めてその関係性を考えてみませんか。

「環境・エネルギー」の記事一覧