みなさん、こんにちは。科学コミュニケーター(クミコミュニケーター!?)の志水です。
今回は、組込みシステムがどのような装置で構成されているか、ご紹介したいと思います。といっても、恐れることは、ありません。組込みシステムは、大きく分けると、たった3つの装置から構成されているからです。これを読むことで、スマートフォンや自動改札機など、一見異なるように見える組込み機器が、同じもののように見えてくるはずです。
その3つの装置とは!?
組込みシステムを構成する3つの装置とは、「入力装置」、「制御装置」そして「出力装置」です。
その3つの装置とは!?
組込みシステムを構成する3つの装置とは、「入力装置」、「制御装置」そして「出力装置」です。
組込みシステムは、外からの刺激によって動作を始めます。その刺激を受け取る装置が、入力装置です。刺激は、組込み機器によって異なります。デジタルカメラを例にすると、「シャッターボタンを押す」といったことが刺激になります。
外から刺激を受け取ったら、入力装置は、そのことを制御装置に伝えます。制御装置は、その刺激に応じて、何をすれば良いか考えます。何をすれば良いかが決まったら、制御装置は出力装置に対して命令を出します。出力装置は、その命令に応じて、外の世界に対してアクション(行動)を起こします。先ほどのデジタルカメラの例で考えると、「シャッターボタンを押す」に対するアクションは「撮影」になります。
人間も同じです
実は、これら一連の動作は、人間がやっていることと同じです。みなさんも、入力装置から入ってくる刺激に応じて、制御装置で何をすれば良いか考えて、出力装置を通して外の世界に対してアクションを起こしているはずです。
人間の場合、これら3つの装置は、具体的に体のどの部分にあたるでしょうか。
まず、入力装置は、目、耳、鼻そして皮膚などです。どういう刺激が入力されるかというと、目であれば光、耳であれば音、鼻であれば匂い、皮膚であれば温度変化などです。出力装置は、口、手、足などです。どういうアクションを起こすかというと、口なら声を出す、手なら何かを持ち上げる、足ならボールを蹴るなどです。そして、制御装置は、脳です。
異なるように見える組込み機器ですが
それでは、組込みシステムでは、どうでしょうか。制御装置はすぐに分かりますよね。制御装置は、コンピューターです。これは、どの組込みシステムでも同じです。
入力装置と出力装置は、いかがでしょうか? これを、すぐに答えるのは難しいと思います。なぜなら、この2つの装置は、組込みシステムによって大きく異なるからです。実は、この2つの装置の違いが、組込みシステムを実に多様なものにしているのです。いくつかの組込み機器について、どの部分が入力装置、出力装置にあたるのか下にまとめてみます。
みなさんも、いろいろな組込み機器について、どこが入力装置で、どこが出力装置か考えてみると面白いと思います。そのようにして考えていくと、今まで全く異なる機器だと思っていたものが、同じように見えてきませんか?
次回は……
次回は、制御装置について詳しくご紹介したいと思います。組込み機器が、どのようにしてものごとを判断しているのかイメージできる内容にしたいと思いますので、楽しみにしていて下さい。
【番外編】基本的な入力装置にも落とし穴が・・・
番外編では、組込みシステム開発現場の裏話や、最新の組込み機器情報などをお話していきたいと思います。
今回は、組込み屋さんなら誰でも知っている、「チャタリング」についてお話します。ちなみに、組込み屋さんとは、組込みシステム開発を行っている人たちのことです。(ものづくりの現場には、他にも、機械屋さんや電気屋さん、ソフト屋さんなど、様々な方々がいます。)
さて、今回お話するチャタリングは、「スイッチ」を入力装置として使用する際には、必ず気を付けなければならない現象です。スイッチは、ONとOFFを切り替えるために使用する装置です。スイッチの多くは、実は、OFFからONに切り替えたとき、すぐにはONの状態に安定しません。切り替えた瞬間に、連続して何回かONとOFFを繰り返した後に、ONの状態に安定します。そのONとOFFを繰り返す現象のことを、チャタリングと呼びます。
分かりやすいように、押しボタンスイッチで考えてみましょう。例えば、マウスのクリックボタンや、ゲームコントローラのボタン、自動販売機のボタンなどです。チャタリングによって、どういうことが起きるかというと、ボタンを一度しか押していないにも関わらず、連続して何度もボタンを押したかのような現象が起きます。
そうするとどうなるでしょうか。マウスであれば、1回しかクリックしていないのに、ダブルクリックになってしまうということが起こります。ゲームコントローラであれば、ゲーム内のキャラクターが意図しない動きをすることに。さらに、自動販売機の場合は、深刻です。1度だけボタンを押したはずなのに、同じジュースを何本も買うハメになってしまうのです!恐るべし、チャタリング・・・。
このようなことが起きたら困るので、組込み機器には、チャタリングによる誤動作を防ぐ仕組みを必ず施します。(ですから、ゲームが上手くクリアできないからと言って、チャタリングのせいにはしないで下さいね。)
基本的な入力装置一つとってみても、いろいろな工夫がされています。どのような工夫がされているか、興味のある方は調べて見てください。奥が深くて面白いですよ。
以上、番外編でした。次回、お楽しみに!