皆さんは生成AIを使っていますか? 仕事、学業、プライベートで活用している方もいれば、まだ試したことがない方もいるでしょう。
ここ数年、生成AIの精度は著しく向上し、私たちの日常に急速に浸透しています。これからはさまざまなAIを使ったサービスがさらに身近になり、私たちの暮らしも変わっていくかもしれません。
そんな変化の真っただ中にある今だからこそ、「AIとどう付き合うか」をみんなで考える場をつくりたい。そう考え、私たちはMirai can NOW第9弾となる特別企画「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」(2024年2月5日~2025年5月12日)を開催することにしました。この企画では、AIを実際に使う体験を通して、自分の暮らしに合ったAIとの付き合い方、いわば “わたしスタイル” を探究することを目指しています。
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AIとえがく? わたしスタイル in 20XX
エイプリルフールが会期に重なった
では実際に、来館者の皆さんはAIについてどのように感じているのでしょうか? 私たち科学コミュニケーターにとっても、そこはとても気になるポイントでした。
しかし、「AIについてどう思っていますか?」と問うだけでは、答えに困る方もいるかもしれません。そのため、来館者の皆さんが楽しんで、かつ自然と答えたくなるような問いを模索しました。
そんななか、会期中に4月1日、エイプリルフールを迎えました。エイプリルフールといえば「嘘」がテーマになる日。そこで私たちは、この「嘘」に着目し、「人を楽しませるための嘘、AIがついても大丈夫?」という問いを投げかけることにしました。嘘をつくことができるAIをどう思うか? そんな問いを通して、来館者の皆さんのリアルな気持ちを探ってみることにしたのです。
来館者の皆さんにアンケート調査
というわけで、展示場で科学コミュニケーターが皆さんにアンケート調査を行いました。まずはYes/Noのどちらかを選んでシールを貼っていただき、その後、なぜその答えを選んだのか? という理由もあわせてお聞きしました。


アンケート調査の結果、なんと……!
今回のアンケートには、123人の来館者の方々にご協力いただきました (ご協力、本当にありがとうございました) 。
そしてその結果は……Yes:61人、No:62人
見事なまでに、ほぼ半々に分かれる結果となりました。この結果に、科学コミュニケーターたちもびっくり! 「こんなに意見が割れるとは!」と話題になりました。


分かれた答え、その理由は?
さて、この結果も驚きではありますが、さらに大事なのはその理由です。アンケートに答えてくださった方々は、なぜその答えを選んだのでしょうか? どんな考えがあったのでしょうか? ここからは、実際に来館者の皆さんから寄せられた声の一部をご紹介します。
Yes派の声
- 「面白い話し相手になるならアリ。せっかくなら楽しくおしゃべりしたい」
- 「ネタバラシしてくれるならいい。嘘は必ず“嘘でした”と言ってほしい」
- 「AIがどこまで人に近づけるか楽しみにしているので、そういう機能もアリだと思う」
- 「それくらい親しく話せるなら、AIとも友達のような関係になれるかも」
- 「いいんじゃないかな。AIも人も同じ。何が正しいかは自分で判断するしかない」
No派の声
- 「仕事でAIをよく使っているので、冗談でも嘘はやめてほしい。信用できなくなる」
- 「大学の研究で使っているので、嘘は本当に困る」
- 「自分は嘘だと見抜ける自信はあるけど、みんなが見抜けるわけではないと思うので、そういう機能はいらないんじゃないかな」
- 「生成AIはたまに間違ったことも言うけど、それは仕方ない。でも、わざと嘘を言うようになったら信用できなくなる。こっちが知らないことを聞きたいのに」
- 「その嘘で、もし問題が起きたら誰が責任をとるの? それが分からないからNo」
- 「AIには正しいことを言ってほしいです」
- 「SFのイメージが強くて……。AIは今のままくらいがちょうどいいかな」
このように、さまざまな理由をお聞かせいただきました。Yes派の方々には、プライベートでAIを楽しんでいる方や、AIと友達のように付き合いたいと考えている方が多い印象でした。一方で、No派の方々には、仕事や研究でAIを活用している方、また、AIが賢くなりすぎることに対して不安を感じている方が多いように感じられました。皆さんの答えのなかに、それぞれの価値観や暮らしを垣間見た気がします。
Yes/Noだけでは表せない? シールの裏側のストーリー
こんなお話を聞かせてくれた方もいました。
「最近はSNSでの炎上とかをよく見るから、もしAIがついた嘘がSNSで拡散されたりしたら、それが原因でトラブルにつながるかも。でもAIがそれだけ人間みたいに話せるようになるのは面白そうだし、正直、自分の気持ちとしてはYes。でも社会全体のことを考えたらNoかも」
「仕事でAIをよく使っていて、間違いや嘘は本当に困るからNo。でも、もしプライベート専用のAIがあって、家での雑談とか、ちょっとした会話に使うならアリかも。仕事用とプライベート用で分けられるならいいなと思います」
このように、YesかNoを選んだあとも、「本当はどっちなんだろう?」と迷う気持ちや、「場合によって違う」といった感覚を話してくださる方もいました。皆さんのお話を聞いていると、AIとの付き合い方はシンプルな二択では決められないことばかり。人それぞれの暮らしや立場によって、多様なAIとの付き合い方があるのだと実感しました。AIに対する皆さんの率直な気持ちを知りたいと始めた今回のアンケートですが、一人ひとりの思いや経験を聞くことができて、とても豊かな対話になりました。
最後に
おそらく、AIとの付き合い方に「これが正解」という決まった答えはありません。AIとどんな関係を築きたいか、どう使っていきたいのかは人によって本当にさまざまです。だからこそ、科学コミュニケーターは技術的な解説だけでなく、皆さん一人ひとりのストーリーに耳を傾け、ともに考えることが大切だと改めて感じました。今後も、解説やイベントを行うなかで、一人ひとりと向き合う姿勢を忘れずに、科学コミュニケーターとして成長していきたいと思います。
「AIとえがく? わたしスタイル in 20XX」は5月12日まで、まだまだ開催中です! 会場では、生成AIをアプリで体験することができます。アプリは、「AIにお悩み相談」「AIでオリジナルキャラクターをつくろう」「AIで自分のキャッチコピーをつくろう」「10年後の暮らしをスナップ写真にしよう」の4種類! ぜひ体験や科学コミュニケーターとの対話を通じて、あなた自身やあなたの暮らしに合った、AIとの付き合い方 “わたしスタイル” を探ってみてください!