~未来館のアクセシビリティ対応アプリ紹介 その1~

QRコード? レトロゲームの敵キャラ? いやARマーカーです!

最近、未来館の各展示の入り口近くや、展示物の横に⇩のようなマークが貼られているのですが、お気づきでしょうか?

あ、見たことあるー!って思う人もいるかもしれませんね。

これ、なんだかわかりますか? QRコードじゃないんです。なつかしのレトロシューティングゲームの敵キャラでもありません。(古い?) 

実はこれ、「ARマーカー」といいます。

未来館は誰もが楽しめるミュージアムを目指して、さまざまなアクセシビリティ対応を行っています。このARマーカーもそのひとつで、視覚障害のある方々に展示を楽しんでいただくためのアイテムなんです。

未来館の新しい公式アプリ登場!

2025414日、未来館は新しい公式アプリを3つ同時にリリースしました。一つは「Miraikan App(日本科学未来館 公式アプリ)」です。未来館の展示に関する情報だけでなく、展示の混雑状況や、整理券番号が何番まで呼び出されているか、などの確認もできるようになりました。

展示の混雑状況や整理券番号呼び出し状況がわかるようになりました!

そしてあとの二つは、アクセシビリティ対応のために開発された 「日本科学未来館アシストアプリ」 と 「日本科学未来館アシストアプリプラス」 です。(注釈)

未来館公式アプリの種類とアイコン

最初にお見せした「ARマーカー」を読みこむためにはアプリが必要です。それが「日本科学未来館アシストアプリ」なのです。

 前置きが長くなりましたが、今日はこのアシストアプリとARマーカーの話をしたいと思います。

「アシストアプリ」で展示を聞こう! 

アシストアプリは、視覚障害のある方も展示を “聞く”ことで楽しむことができるアプリです。

簡単にアプリの使い方を説明します。

まず、このアプリを立ち上げて、スマホのカメラを展示の横にあるARマーカーに向けます。すると、その展示の説明がテキストで表示されます。そして画面の下方にある音声ボタンをタップすると、その説明を読みあげてくれます。

アシストアプリの使い方
※カメラの使用をONにしてご利用ください

読み上げ内容には展示物の説明だけでなく、展示ブース全体のかたちやイメージも含まれています。つまり、耳でも展示を鑑賞することができるのです。

たとえば、5階フロアにある「ぼくとみんなとそしてきみ」の説明はこのようになっています。

「展示全体は4冊の大きな絵本のような見た目をしています。それぞれがあかるい色でかわいらしい印象です。(中略) ヒトだけが持つようになった性質と、それを生み出す脳の仕組み、そして、その性質によって生まれる複雑な社会について、4巻の本にして紹介しています。」

どうでしょう? 展示のイメージが思い浮かんだでしょうか?

 では、実際の展示を見てみましょう。

実際の展示はこんな感じです。イメージと合っていましたか?

iPhoneVoiceOverAndroidTalkBackといった音声読み上げ機能にも対応しているので、ぜひお試しください。

 さらにいくつかの展示は、聴覚に障害がある方向けに制作した、手話による展示解説動画にも対応しています。

対応している展示には、テキストの左下に「手話動画」というボタンが出てくるので、タップして動画を再生してみましょう。

アシストアプリは手話動画にも対応しています!

手話動画は各展示のイメージに合わせた演出がされています。「老いパーク」では、お年寄りが孫と一緒に展示を楽しんでいる映像、「ハロー! ロボット」では、ふたりの子どもが楽しそうにロボットを紹介している映像、などです。展示ごとにどんな手話動画が出てくるのか見てみるのも楽しそうですね。

「ARマーカー」について深掘りしてみよう 

最近ときどき耳にするこの「AR」という言葉、みなさんは聞いたことありますか? 「AR」とはAugment Realityの略で日本語だと「拡張現実」といいます。スマホのカメラで映した現実の映像にデジタル画像やデータを重ねて表示できる技術のことです。

お散歩しながら、道ばたでかわいいキャラクターを見つけ出すようなスマホゲームにも使われていますね。

そして「ARマーカー」は、AR技術を使って画像やデータなどを表示するための“きっかけ”となる目印のようなものです。アシストアプリでは、ARマーカーを認識すると、それをきっかけに展示説明のテキストを表示するようになっています。

ARマーカーには大きく分けて2つの種類があります。

〇指定型:ArUco(アルコ)マーカー

  ・正方形の黒枠に囲まれた白黒の四角いマスで作られた図形    

〇フリー型

  ・任意の画像やイラスト、写真などをマーカーとして使用   

その他、GPSからの位置や建物など、目印となるものをマーカーの代わりに使用するマーカーレス というものもあります。さきほど書いた、キャラクターを探すスマホゲームにはこれが使われています。

 今回未来館で使っているのは、指定型の「ArUcoマーカー」です。7×7ビットのもので、1000通りのマーカーが作成可能です。

7×7ビットのArUcoマーカー

ArUcoマーカーの特徴は、ちょっと遠くからでもしっかり認識できることと、読み込みが早いことです。カメラがマーカーをとらえるとすぐに情報を表示してくれるので、視覚障害のある方はスマホをマーカーの方向にかざすだけでいいのです。これが未来館でArUcoマーカーを採用した理由です。

これくらいの画角でも、余裕で読み込めます

視覚障害のある方にこのアプリを紹介したところ、「QRコードを読み込むときは、近くに寄ってじっとしていないといけないし、時間がかかるからたいへんなの。このアプリとARマーカーがあると便利になるわね」というコメントをいただきました。

もっともっとこのアプリが広まって、いろんな方々に未来館の展示の面白さを知ってもらえたらうれしいです。

アシストアプリ、興味をもっていただけたでしょうか?

このアプリはもちろん視覚障害のある方に限らず、どなたでも使うことができます。みなさんもアシストアプリをインストールして、各展示のARマーカーを読みとり、テキストを読んだり、音声で聞いたりしながら、館内を回ってみてください。ちょっと違った視点からも展示を楽しむことができると思います!

 

次回は、日本科学未来館アシストアプリプラスについてお話しします。

お楽しみに!

<注釈>

【未来館公式アプリについて】

・各公式アプリ推奨OSバージョン

  ・Miraikan App(日本科学未来館 公式アプリ): iOS Ver.15以降, Android Ver.14以降

  ・日本科学未来館アシストアプリ: iOS Ver.17以降, Android Ver.14以降

  ・日本科学未来館アシストアプリプラス: iOS Ver.15以降, Android Ver.11以降

・アシストアプリ対応言語

  ・展示読み上げテキスト:日本語 / 英語 / 中国語

  ・手話動画:日本手話 / 国際手話

  ・UI(ユーザーインターフェース):日本語 / 英語

 ※言語は、使用デバイスの言語設定に応じて自動的に変わります

日本科学未来館公式アプリの詳細とダウンロードはこちら:https://www.miraikan.jst.go.jp/resources/app.html

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