雪がちらつく日もあり、最近本当に寒さが厳しくなってきました。
しかも、寒いだけではなく大雪による事故も伝えられ、ただ「寒い」と言ってはいられない日々が続いています。
皆様、例年より厳しい寒さを「異常気象だから・・・」と受け止めてはいませんか?
日本を襲う強い寒波の仕組みを解明する研究内容「低気圧経路の変化がもたらす北極の温暖化とシベリアの寒冷化」が発表されていたのをご存知でしたか?
その研究論文のタイトルは、「The role of Barents Sea ice on the wintertime cyclone track and emergence of a warm-Arctic cold-Siberian anomaly」。
タイトルを見て、さっぱりわからないからといって、あきらめてはいけません。
気を引き締めてじっくり読んでみました。
これまで、日本が厳冬になる理由は、赤道付近で起きているラニーニャという現象による偏西風の蛇行と北極海で起きている北極振動という現象の相互関係によるものが知られていました。
ところが、最近、ニュースでも耳にする「平成18年豪雪」など、これだけでは説明できない冬もありました。
そこで、北極海の中でも温暖化が著しい冬のバレンツ海に注目したところ、発見がありました。(これが、今回の研究成果です!)
空気がたくさんあるところが高気圧。少ないところが低気圧です。
空気は多いところから少ないところへ、高気圧から低気圧へ流れていきます。
高気圧のところでは、空気が時計回りに流れ出しています。
バレンツ海の海氷面積が少ない冬は、いつもシベリアの沿岸付近を通っている低気圧がもっと北よりの北極海を通ります。
すると、バレンツ海付近では、いつも来ていた低気圧がこないため、いつもより気圧が高い状態になり、北極海は暖められます。
一方、高気圧の東側には冷たい空気の流れがあるため、西シベリアでは寒気がどんどん溜め込まれます。
たっぷり取り込まれた寒気は数日後に日本にやってきます。
この一連の流れが、冬の間に何度も何度も繰り返され、そのたびに寒波が日本にもやってきます。
この仕組みですが、使用しているデータの精度をあげ、低緯度地域の影響も加味し、より正確な予測モデルを作っていく必要があるそうです。
北極の温暖化が進むと、めぐりめぐって日本の冬が寒くなる。
まさに「風が吹けば桶屋がもうかる」 の言葉を思い出します。
寒さにくじけそうにもなりますが、これから北極とシベリアのお天気の様子も気にしてみてください。
きっと、寒波に対する心構えが変わって、この冬もなんとか乗り切れる(はず)です。