今年も残すところあと10数時間。
みなさんにとってどんな1年だったでしょうか?
いろんな思い出がありますが、終わりよければすべてよし。
2012年、私にとって今年最後の思い出に残る日は、12月22日(土)。サイエンティスト・トーク「空間情報科学でシアワセになれる?」とワークショップ「footbone in アナグラ」という2つのイベントをサポートした日です。内容はこの2つのイベントを企画・実施した小宮山が紹介するはずですので、私はイベントの裏エピソードをご紹介します!
その1 柴崎先生が空間情報科学について語る
これまで、空間情報科学を紹介する常設展示「アナグラのうた」に関連するイベントをいくつか実施してきました。
ですが、空間情報科学に焦点を絞った、未来館の来館者向けイベントはありませんでした。
「アナグラのうた」は東京大学 教授の柴崎亮介先生に総合監修をお願いしています。私たち製作メンバーは、柴崎先生から、身近な情報が今どのように扱われているかななど空間情報科学に関係する様々な話をお伺いする機会がたくさんありました。
その度に、自分自身の持つ情報の価値を再発見した、有事の際にどのように情報を開示していけばいいのか、自分の情報を私自身がどのように扱ったらいいのか、どのような情報社会を築いていきたいのかなど、様々なことを改めて考えさせられました。
先生にお会いする度に、私たちのようにもっと多くの人に直接先生の話しを聞いてほしいという思いが強くなりました。研究者と気軽に話ができる場を作ることも私たち科学コミュニケーターができることの一つです。
「アナグラのうた」を公開してから1年以上かかってしまいましたが、今回やっと、その機会を持つことができました!
12月22日のサイエンティスト・トークでは、先生も参加者も「手元のリモコンを使って同じ方法で質問に答える」というスタイルで実施しました。
先生と参加者が、情報を提供して共有する対等な立場としたのです。
リモコンを手元にお配りし、その場で意見(情報)を集め、集計結果を公表し(共有)、その結果についてみんなで話をする(価値を生み出す)、という形になったきっかけは、柴崎先生のコメントから。
打ち合わせにお伺いした時、「話をするのは簡単だけど、それではつまらないよね。せっかく未来館でするのだから、参加者を巻き込んで、意見を聞きながら進めたいよね。今までやったイベントで成功したいい例はない?」とおっしゃったからです。
先生のお話を受け、参加者が自分自身の情報について実感を持って考えられ、結果に対していろんな解釈ができる楽しい設問を考えました。楽しいこと、それが興味をもってもらうための第一歩です。
12月22日のサイエンティスト・トーク「空間情報科学でシアワセになれる?」での柴崎先生のお話はこちらでみられますので、まだ見たことがないという方は是非ぜひご覧ください!
その2 寺田克也さんがアナログに書かれていないアナグラの歴史を描く
これまでのブログで少し紹介してきましたが、「アナグラのうた」は1000年後の未来という設定です。
来館者はアナグラという研究施設を訪れた久しぶりの人間。
展示の中には、アナグラが今のアナグラになった物語が書かれている「アナログ」という本があります。
このアナログの絵を描いてくださったのがアーティストの寺田克也さんです。
アナログには1000年分の歴史が全て書かれているわけではありません。
この空白の時間の中で起こった出来事をアナグラの展示空間ではなく、バックヤードに描いていただこうという企画が、展示を作っている時からありました。
でも、ただ、描いてもらうのではなく、アナグラに関連するイベントを実施している中でその様子も盛り込みながら描いていただこうとお話していました。
今回、「footbone in アナグラ」を実施することが決まり、寺田克也さんのスケジュールもあい、実現しました。
寺田さんが壁画を描いた様子を5分に圧縮した動画がこちらで見られますので、ぜひご覧ください!!
寺田克也さんが描き進む様子をみていた飯田和敏さんが、その様子をツイッターでこうつぶやいています。
(飯田さんは「アナグラのうた」のプロデュースだけでなく、アナログも書いてます)
マンデーとサンデーが骨を蹴って始まる。鳥が飛び魚が泳いだ。子どもは7人なっていた。遊びがはじまり、もっと楽しくなるためにキリンからルールを教わった。フットボーンは7晩夜通しで続く。上空に地球が浮かんでいる。那由多を数える声だけの女性が響く。アナグラの新世紀。
また、飯田さんは22日の感想をこのようにおっしゃっています。
本日の「アナグラのうたイベント」はすごすぎた。柴崎先生のプレゼンを皮切りに、どんどん転がりだし「スポーツ」と「アート」と「ゲーム」で大きなボールになって未来に投げられた。ぼくはそれを目撃出来たことで「シアワセ」になっていた。
イベントに関わった方がそう思ってくださったなら、それは実施した私たちにとって最高の褒め言葉です。
イベントに参加した方がそう感じでくださったのならば・・・。
アナグラのうたが未来館にあるのもイベントするのも私たちが未来を考えるために必要なものだから。これからもアナグラをベースに、空間情報科学でシアワセになれるか?というテーマのもと、どんな未来になったらシアワセなのか?それをみなさんと一緒に考えていこうと思います。
みなさん、来年もアナグラと未来館をよろしくお願いいたします。
おまけ
Footboneをスポーツにするために、閉館後になんども科学コミュニケーターが試行しました。今回、イベントのサポートをした科学コミュニケーターの落合と本田もそのメンバー。
もちろん、審判の練習も骨を蹴った回数のカウントの練習もしています。
スポーツを作るのはやっぱり難しい。