最近、「経済ニュース」の中に、
地質学で使われる言葉、「シェール」を毎日のように見かけます。
「シェールガス」というカタカナ語として、
みなさまの前に登場していますが、
あまり聞き慣れない言葉ではないでしょうか。
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「シェール(shale)」は、日本語(漢字)で「頁岩(けつがん)」と書きます。
漢字にすると、少しは意味が推測できますでしょうか。
「シェール」は、「岩石の種類」の名前のひとつなのです。
岩石の種類は、ざっくり言うと次の2種類に分けられます。
堆積岩(たいせきがん)
砂や泥などが積もって(堆積して)できた岩石
火成岩(かせいがん)
溶岩やマグマが固まった岩石
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さらに堆積岩は、岩石を作っている粒の大きさで、
泥岩(でいがん)、砂岩(さがん)、礫岩(れきがん)に分けられます。
(泥岩は粒が細かく、礫岩は粒が粗い)
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ここまでの分類は、授業や受験勉強でそんなのあったような…と
おぼろげに思い出す方もいるかもしれません。
そして、今回話題の「頁岩(シェール)」は、
「泥岩」の中で、ある特徴を持ったもののことを示しています。
「頁岩」の「頁」は、「ページ」という意味です。
本のページのように薄い板状に割れる、
そんな特徴を持った泥岩を「頁岩(シェール)」と呼んでいるのです。
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書道の「硯(すずり)」の原料として、この「頁岩」が使われることもあります。
また、化石好きの方は、奇妙な形をした化石が見つかる、
カナダの「バージェス頁岩(シェール)」
として名前を聞いたことがあるかもしれません。
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わざわざ「シェール」と付けているように、
「シェールガス」は通常採取されている天然ガスと
とれる岩石が違います。
これまでは、主に「砂岩」で採掘されていました。
天然ガスは、堆積岩(地層)を作っている粒と粒の隙間に溜まっています。
ガスが隙間の中を比較的自由に移動することができる砂岩からは、
パイプをさすことで容易に吸い上げることができました。
それに比べ、隙間が小さいためにガスが移動しにくい頁岩(シェール)からは、
取り出すのにコストがかかりすぎました。
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21世紀に入る頃から、地下にある頁岩(シェール)に割れ目を作り、
ガスを効率良く取り出す技術が確立しはじめたため、
新しいエネルギー源として話題になるようになりました。
「今話題のシェールガスは、頁岩という岩石中にあるガスのことだよ」
と、会話の中でキラリと光る(笑)科学知識をさりげなく披露してみてはいかがでしょうか。