※ヘビが苦手な方は絶対に見ないでください。

ヘビ愛でる男!

みなさん、こんにちは!ぶっちーです。

今日は愛すべきヘビたちと、赤外線を見る能力について話したいと思います。

まず、赤外線って何でしょう??

未来館の「月・惑星探査計画」展示の一角に、赤外線熱画像装置が置いてあります。スタッフの間ではサーモカメラと呼ばれています。

このカメラの前に立つと、自分の姿がこのように映ります。

サーモカメラは、赤外線を観測するカメラです。

絶対零度(-273℃)よりも温度が高いものは赤外線を発しています。そして、温度が高ければ高いほど強い赤外線を発しているのです。

サーモカメラは物体が発する赤外線の強弱をみることができます。赤外線の強いところ、つまり温度の高いところは赤系の色で表示され、低くなるにつれて、オレンジ、黄色、緑、水色と青系に変わっていきます。

写真ですと、顔が温かく、身につけているメガネや腕時計の部分は冷えていることがわかりますね!

また、通気性のよい夏服を着ているので、着衣の部分も体温とほぼ同じになっています。冬服でしたら、通気性が悪い(断熱効果が高い)ので着衣の部分は外気温と同じくらいになるはずです。

サーモカメラを用いますと、このように温度を可視化することができます。しかも、対象物に触れずに観測できるわけですから、対象物にはまったく影響を与えません。これらの特性から惑星探査機などでも使用されています。

たとえば、地球表面の温度の変化や、熱分布などもこれを用いて調べられています。

さて、この赤外線。

我々、人間は見ることができません。

そう。

我々人間は……。

赤外線をみることのできる生き物?として有名なのはプレデターですね。

(映画 プレデターシリーズ最新作はこちら) (リンクは削除されました)

さて、このプレデターは赤外線を見ることができるので、獲物が物陰などに潜んでいても容易に探し出すことができます。映画『プレデター1』では、シュワちゃんことアーノルド・シュワルツネッガー演じる主人公がジャングルに身をひそめてプレデターから隠れるのですが、漏れた体温の熱(赤外線)で居場所がプレデターにバレてしまっていました。

(※個人的には、ダニー・クローバー主演の2が好きです。)

最終的に、シュワちゃんは全身を泥まみれにすることで、体温がもれないようにしてプレデターから身を隠し近づいたプレデターを倒します。

このプレデターは想像上の生物(地球外生命体)です。

ですが、赤外線を見ることのできる動物は実在します。

それは、(一部の)ヘビたちです!!

現在およそ3400種類 (リンクは削除されました)のヘビが世界中に生息しています。

そのなかでニシキヘビの仲間、マムシ・ハブの仲間だけが赤外線を見ることができるのです。

目で見ているのでしょうか?

いいえ、違います。

☆☆以下、ヘビの写真が多数出てきます。苦手な方は絶対見ないでくださいね☆☆

さて、ではまずこちらのヘビをごらんください。

ニシキヘビの仲間、ボールパイソンです。

ボールパイソン Python regius (ニシキヘビの仲間)

よくよく見てください。顔に穴が開いていますね(赤矢印の部分)。

上くちびるに4つ、下くちびるにもわかりにくいですが、穴が開いています。

次にこの模様の美しいヘビ。

カーペットパイソン Morelia spilota ver. (ニシキヘビの仲間)

このヘビにもやはり上下のくちびるにスリットのような穴が並んでいますね(赤丸の部分)。

では、こちらの赤いヘビはどうでしょうか?

コーンスネーク Pantherophis guttatus (ナミヘビの仲間)

鼻の穴しか開いていないですね。

実は、ニシキヘビの仲間2種のくちびるに開いていた穴。

あの穴こそが赤外線を感じる器官なのです!!ピット器官と呼ばれております。

これらのヘビの餌は、主にネズミやウサギといった哺乳類や、鳥類です。

哺乳類と鳥類はともに恒温動物、つまり体温を一定に保つことのできる動物です。

例えば、私たち人間は平熱36℃前後ですよね。

人間以外でもネズミやウサギなど、哺乳類はだいたいそんな程度です。

鳥類はだいたい38~42℃くらい。

いずれにしても、外気温より体温の方が高いのです。

なので、これらの動物は草むらに隠れていても、夜でまっくらでも、周囲よりも高い熱、つまり強い赤外線を発しているので、ピット器官で「赤外線を見る」ことのできるヘビたちにはやすやすと発見されてしまうのです。

(※ヘビ類は鼻とは別に優れた嗅覚器官であるヤコプソン器官持っています。これでも餌を探します。ピット器官のみで餌を探しているわけではありません。)

そう、プレデターが茂みに隠れるシュワちゃんをやすやすと見つけたように……。

しかも!!

ピット器官で得た情報は、ヘビの脳の中で目から得た情報と重ねて処理していることがわかっています。彼らはまさにサーモカメラのように、まさに映画『プレデター』のように、世界の温度を見ているのです。

ちなみに、日本にすんでいるヘビ約40種 (リンクは削除されました)のうち、ピットを持っているのはマムシの仲間とハブの仲間です。

ハブ(ホンハブ) Protobothrops flavoviridis
©藤田宏之

これらのヘビのピット器官は先ほどのニシキヘビの仲間とは違う位置にあり、別々にピット器官を進化させてきたと考えられています。

例えば、これはニホンマムシです。

ニホンマムシ Gloydius blomhoffii
©藤田宏之

ニシキヘビたちと違って、上くちびるに1対のみのピット器官があります(赤矢印の部分)。しかも、マムシ・ハブのピットの精度は、ニシキヘビのピットよりも精度が高いです。

その精度、ななななんと!

0.001~0.003℃の温度差を感じ取ることができるのです!!!

一見するとロープのようなシンプルな姿形をしているヘビ。

今日はヘビの「赤外線を見る能力」についてお話ししましたが、その体には他にも類を見ない特殊な能力がいっぱいつまっています。

ヘビは、背骨を持つ動物(脊椎動物)の中で最も高度に体を進化させた動物のひとつではないかと私は思います。

ヘビの話はいくらでもできますが(したいですが)、今日のところはここまで!

最後まで読んでくださってありがとうございます(^^)

■謝辞
ニホンマムシ、ハブ写真提供

藤田宏之(埼玉県立 川の博物館 学芸員)

http://www.river-museum.jp/laboratory/staff/fujita/ (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

☆ぶっちーの過去ブログ☆
トカゲとブラジャーと私。 (リンクは削除されました)

ネズミじゃないよ、カメラだよ。 (リンクは削除されました)

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