2014年8月中旬から、国内でデングウイルスに感染して、発症したとされる報告が相次いでいます。旅行などで海外に行き、そこで感染して日本に帰国してから発症した方は、これまでも年間200人くらい報告されていましたが、国内での感染は終戦直後以来なので、話題になっています。
厚生労働省によると、国内感染事例の患者数は、141名(平成26年9月19日12:00時現在)。
デング熱に関して、科学コミュニケーターの武田が予防法をお伝えしていきたいと思います(対処法については、この記事とは別に、新山が書きますのでお待ちください)。
ご存じの方も多いかと思いますが、デング熱はデングウイルスが感染することでおこる感染症で、急な発熱や頭痛、筋肉痛などの症状がみられます。たいていの方は、症状が出ても1週間程度で回復し、後遺症もありません。発症した方の一部は、さらに症状の重いデング出血熱に陥ることもあります。海外で感染した方の体験記などには、非常に深刻な症状のものもありますが、おそらくデング出血熱に移行してしまったケースでしょう。デングウイルスに感染しても、症状が出ないこともあります。
そしてこのウイルスは蚊を介して感染します。人から人へ、直接感染することはありません。
............今回のこの記事では、............
●デングウイルスの感染はどのようにして起こるのか?
●デングウイルスを媒介する蚊の生態とは?
この2点に注目し、感染の予防を考えていきたいと思います。
では、さっそく...
その1
デングウイルスの感染経路は?
デングウイルスは、以下のサイクルで感染していきます。
① ウイルスに感染した人の血液を、蚊が吸血する。
② 蚊の体内でウイルスが増殖する。
③ ウイルスが増殖した蚊が、他の人を吸血する際、ウイルスが感染する。
このサイクルが繰り返されることによって感染が拡がっていきます。
また、人が動いたりして、1度の吸血で満腹になることができないため、蚊は何回かに分けて吸血を続けます。そのため、1度に何人にも渡って感染が拡がっていく可能性があるのです。ただし、ウイルスをもつ蚊が卵を産んでも、その卵にはウイルスは入らないとされています。
デングウイルスを媒介する蚊は、おもにネッタイシマカという蚊ですが、現在の日本には定着していないと考えられています。(国立感染症研究所による)
ところが、日本のほとんどの地域でみられるヒトスジシマカという蚊も、このデングウイルスを媒介します。
デング熱ウイルスに対するワクチンはないため、予防としては「蚊に刺されないようにする」というのが、最も効果的です。
ではその2
デングウイルスを媒介する、ヒトスジシマカの生態とは?
ヒトスジシマカは、日本では代表的なヤブカの1種です。
白と黒の縞模様の、大きさが4.5mm程度の蚊で、北は東北地方の北部(秋田県と岩手県まで)から南は南西諸島(沖縄県)まで生息しています。国立感染症研究所によると、年平均気温が約11℃以上の地域で定着が可能だとされているので、その年の気候などによって、この範囲はずれる可能性もあります。
ヒトスジシマカは、
卵(2-5日間)▶▶幼虫(7-10日間)▶▶サナギ(2-3日間)▶▶成虫(30日間)
というサイクルを繰り返しており、冬の時期は卵で越冬します。(暖かい地域では、一部幼虫越冬する場合もあります)。
親の蚊がウイルスを持っていたとしても、卵にはウイルスは移動しないと考えられていますし、幼虫が血を吸うことはありません。幼虫は3月頃から出現し始めますが、成虫の活動が特に活発になるのは7月~8月にかけてです。
ヒトスジシマカは、主に昼間に吸血を行います。吸血を行うのはメスの蚊ですが、オスも交尾のために、メスの近くに集まってきます。
産卵場所としては、たまった水のある場所が好まれます。
そのため、植木鉢の皿・排水溝・お墓、野外に放置された古タイヤ・バケツ・空き缶などが産卵場所になり得ます。
以上の情報をまとめると、デング熱の感染を予防するためには、接触対策と発生源対策の両方が有効であると考えられます。
では、まとめ!!
デング熱に感染しないためには...
その1.蚊に刺されないような工夫をする
→長袖などを着て肌の露出を避ける、虫除け剤を使用する
その2.蚊の発生源を無くす、近づかない
→蚊の産卵場所(水たまり)をつくらない。墓地や公園、竹藪などには近寄らない
当たり前かもしれませんが、この2点を心がけることでリスクは減らせると思います。
夏が過ぎたからといって油断せず、蚊への対策を忘れずに、食欲の秋を満喫しましょう!
そして!!!
万が一、デング熱に感染してしまったら......
続きは、次の新山のブログで! (リンクは削除されました)