企画制作中! 「納得できてる?低線量被ばくの影響 科学でしめす社会が選ぶ」

社会には様々なリスクがあります。

災害に見舞われるリスク。病気になるリスク。
くわしく調べられているもの。まだよくわかっていないもの。
私たちは社会の中にあふれているリスクとどう向き合えばいいのでしょうか。
そんなテーマで2016年3月12日。2人の専門家を招いたトークイベントを行います。
このイベント、言うなれば「リスクとの向き合い方」について話し合う作戦会議です。
議題は低線量放射線被ばくの健康影響、そして、低線量被ばくを不安に思うことで生じる別の健康影響です。

高線量の放射線に関しては健康被害をもたらすことがはっきりしています。
対して、100ミリシーベルト以下のいわゆる低線量放射線の被ばく(放射線をあびること)がもたらす健康影響については、統一見解が得られていないように思われます。

「たとえわずかな放射線でも健康への影響がある」
「一定の線量以下では、放射線による健康への悪影響はそれほど心配してなくてもよい」

専門家でも意見が分かれるほどですから、低線量放射線が健康に与える影響についてはまだわからないことも多いと考えることができそうです。
もしかしたら、よく「わからない」相手だからこそ、私たちは不安になるのかもしれません。

大量の放射性物質が飛散した福島第一原発の事故から5年。
私たちは低線量被ばくの健康影響とどれくらい真剣に向き合ってきたのでしょうか。
福島県では、こどもや若者に健康被害が出ていないかどうかを明らかにするための県民健康調査が現在も続けられています。

今回のイベントにお招きするゲストの一人、岡山大学の津田敏秀教授は疫学の研究者です。

津田教授は疫学の視点で甲状腺がんが多発すると予測しています。
メディアでは「福島 甲状腺がん多発 20倍から50倍」という言葉が強調されていますが、津田教授はどんな方法でこの予測を出し、何を社会に伝えたかったのでしょうか。
トークイベントの前半では、福島県における甲状腺がん多発予測について、数字の読み解き方を徹底的に議論します。

トークイベントの後半では、相馬中央病院の内科診療科長、越智小枝医師に登壇いただきます。
原発事故の影響は、放射線だけではありません。
越智医師は、あの日以来、様々な形で健康を損ねる人が増えていると指摘します。
震災や事故で多くの人が有形・無形のさまざまなものを失いました。
そのことがもたらす精神的ストレスに加え、低線量被ばくの健康影響がはっきりわからなかったことで拡がった誤解や不安、さらには不信感までもが社会に蔓延することで病気のリスクを高めてしまっているのかもしれません。
イベント後半では、越智医師が医療の現場から見た日本の課題を通して、リスクとのつきあい方について意見を出し合います。

私たちは自分自身が背負うリスクとどのように向き合えばいいのでしょうか。
社会全体でリスクに備えるためには何が必要なのでしょうか。

社会には、今後起こることを予測する科学者がいます。
実際に起こっていることを伝えてくれる医師もいます。
津田教授と越智医師を交えての対話を、私たちはとても楽しみにしています。
社会が背負うリスクについて真剣に考えている人どうしが意見を交わすわけですから、意見のぶつかり合いがあっても不思議ではありません。
一つの社会問題に対して、市民と専門家が意見を出し合う場があるなんて素晴らしいことだと思いませんか?

というわけで、企画者である私たちも真剣勝負で作戦会議のための作戦会議を日々くりかえしています。

ただいま激論中。テーブルに何か書いてありますね。

メンバーの専門は、宇宙物理学、社会学、薬学、生物学。
もうタイヘンです。
まず低線量被ばくによる健康被害を報告した研究論文をチェック。
そして国内外の科学者の意見を整理。

「低線量放射線は人体にどんな影響をもたらすのか」
この点について科学者の意見は実に様々です。

「論点を整理しましょう。これはあくまでサイエンスです」、
「参加者の意見をもっと取り入れましょう。これじゃ参加者が置き去りになる!」
「自分と異なる意見を吸収して帰れるようにしなくては!」

作戦会議のための作戦会議はだんだん白熱し・・・

そして。

「結局なんなんだあっ! 低線量被ばくってーっ!!」 (リーダーのせりふ)

このイベント、いったいどうなってしまうのでしょうか・・・・

どうなったかご自身の目で確かめたい方はぜひ未来館へ。
遠方の方は中継をお楽しみください。
100人くらい入れる部屋と、動画が配信される二次会場をご用意しました。

未来のための作戦会議、ぜひご参加お待ちしています。

何を話し合う場なのか、論点を整理しています。

[イベント概要]

タイトル:Lesson#3.11 トークイベント
「納得できてる?低線量被ばくの影響 -科学でしめす、社会が選ぶ-」

講師: 津田敏秀氏(岡山大学大学院環境生命科学研究科教授)
講師: 越智小枝氏(相馬中央病院内科診療科長)

ファシリテーション:新山加菜美(科学コミュニケーター)

日時:2016年3月12日(土) 14:00~16:00
場所:日本科学未来館 7階 会議室3
対象:どなたでも参加できますが、内容は中学生以上向けです。
定員:約80名
参加費:入館料のみ
参加方法:直接会場にお越しください
当日会場入り口で12:00より整理券を配布します。13:30より会場へお入りいただけます。
※満席の場合は第2会場で配信映像をご覧頂けます。

問い合わせ先:日本科学未来館
Tel: 03-3570-9151(代表)
※本イベントはニコニコ生放送でライブ中継を行います。

ニコニコ生放送: Miraikan Channel はこちら

[関連イベント]
「Lesson#3.11 5年前、そして5年間に起きたこと」(3月5~28日) はこちら(リンクは削除されました)

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