こんにちは!梶井です!
本格的な夏の日が続いていますね。
今年から「山の日」もありましたが、夏はがぜん海派です!
ということで、今回の記事は、ある船の挑戦に関してです!
その船がこちら。
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC(ジャムステック); https://www.jamstec.go.jp/j/ )のちきゅうです。
普通の船とはだいぶ形が違いますね。それもそのはず!
海の底を掘る船なのです!
2005年の完成以来、海底を掘って、掘って、掘りまくり、東日本大震災のメカニズムの推定や、海底下2466 mでの微生物発見など、さまざまな成果を出し続けています。
「もの凄くハイスペックな船」、「海上の国際研究所」、「プラモを買ったほど梶井がメロメロ」など、ちきゅうそのものに関してお伝えしたいことがたくさんありますが、
そもそも、海の底を掘って何をしたいのでしょうか?
※ちきゅうの成果ではありませんが、海の底を掘って分かったことの一例を、科学コミュニケーター坪井が変態的に語っている記事があります。よろしければこちらもどうぞ。
https://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20160527post-676.html (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)
https://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20160620post-680.html (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)
ちきゅうの目的の一つにマントル掘削があります。
まず、地球の中をザックリと書くとこんな感じです。
ちきゅうは、地殻を抜けてこのマントルまで掘り進み、試料を採ろうとしています。
(高校地理で「マントル対流」という単語に出会って以来、マントルをドロドロとした液体だと思っていた梶井にとって、固体ということ自体が衝撃!)
ではなぜ、わざわざ海底を掘ってマントルを採ろうとしているのでしょうか。
それは、誰もまだ本物を見ていないからです。
マントルの主成分はカンラン岩で緑色と考えられていますが、直接確認したわけではありません。また、中東のオマーンなどには、マントルが地上に出てきたと考えられている岩もありますが、風化の影響を受けているので、厳密には本物ではありません。
地下から本物のマントルを採ることで、これらの「~と考えられている」という推測が「~である!」という事実になるのです!
例えば、先程の絵の色は僕が適当に着けましたが、「地球の中はこんな色!」といったこともはっきりと分かるかもしれません。
そして、持って帰ってきたマントルが推測による定説通りであったならば、従来の推測が有用な正しい手法であるという確信にもつながるでしょう。
じゃあ、マントル採って来ようよ!
アメリカは、マントルを採ることを目的とした「モホール計画」をアポロ計画と同時期に始めました。アポロ計画は、1969年、アームストロング船長が月に降り立ちましたが、
人類は未だにマントルには到達できていないんです!!
地下深くにあり200 ℃を超えるマントルを採るために造られたちきゅうですが、まだまだ技術的な課題が沢山あります。しかし、ちきゅうならばいつか成し遂げてくれるでしょう!
マントル掘削の話を聞いてから、梶井は「地球の中はどんな肌触りで、どんな色で、どんな組成なんだろう」と思いをはせています。
地球のことがもっともっと分かる日が来るのが楽しみです!!
【番外編】 JAMSTECに行ってきたよ!
ところで皆さんは、JAMSTECのことご存知でしたか?
恥ずかしながら、僕は未来館に来て初めて知りました。
海底を掘っている!?
生命の起源を解き明かそうとしている!?
海と気象は密接に関わっている!?
こんな楽しいことをしている研究機関があったなんて!
海のプロフェッショナル集団、JAMSTECとは何なのか!!
ということで、未来館の科学コミュニケーター仲間で、JAMSTECの団体見学ツアー(https://www.jamstec.go.jp/j/pr/visit/yokosuka.html) (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)に行って参りました。
今回は、先方のご厚意で、午前中に横浜研究所でちきゅうの説明を受け、午後に横須賀本部の見学をさせて頂きました。
色々なお話をお伺いした中で、なぜちきゅう、そしてマントル掘削を一押ししたか。それは、技術主任の木戸ゆかりさんがふと漏らした
「マントル、行きたいなぁ。」
という一言。この独り言のようなつぶやきに「こういう熱い人達の思いが集まってるんだなあ」と心を動かされたためです。改めまして、担当して下さった広報の方々や木戸さんをはじめとしたJAMSTECの皆様に御礼申し上げます。
未来館では、「宇宙を調べているくらいなんだから、地球なんてほとんど分かっているんでしょ?」という小さい頃あまり科学に興味を持たずにスレた考えを持っていた僕のような方と、「まだまだ地球は謎だらけ!」というワクワクを共有できればと思います。
また、この春の展示の大改修で「しんかい6500の実物大模型なくなっちゃったんですか?残念。」というお客様の声をよくお聞きします。
その代わりと言ってはなんですが、今回仕入れてきた小ネタと「こんな世界があって、こんなことが行われていて、こんな人もいるよ!」というお話をご一緒にさせて頂ければと思います。
もちろん、新しい展示もお楽しみ下さい!