前回の科学コミュニケーターブログはいかがでしたか?
日本人めっちゃ魚食べてる!という結果は意外?それとも納得?
みんな大好き魚介類!わたしも大好き魚介類!
というわけで、スーパーにて鮭を物色...。
ホイル焼き、ムニエルにしようか、はたまた鍋に入れてみようか。
商品を前に想像は膨らむばかり...。
それにしてもいろんな鮭があるなぁ...。
みなさんは買い物に行って鮭を選ぶとしたら、どんな情報に注目しますか?
悩ましいけど、私個人としてはねだんと色味、産地あたりでしょうか。
ところで、商品に付いているそれらの情報の中でも、わりと大きな面積を占めているこちらのラベルはなんでしょう?
実はこれ、「この鮭は持続可能な方法で獲られた鮭ですよ」という認証のしるし。
買い物するときに、「持続可能かどうか」を選択肢に入れたことってありますか?
近年、世界的に魚の消費量はどんどん増えていて、乱獲が起こっている海がたくさんあります。魚は自然に産卵、成長を繰り返しているので、本来は私たちがある程度獲って食べても、また増えて元の量に戻ってくれます。
「な、、、なんとすばらしい資源なのでしょうか!」
ですので、このサイクルを保っていればずっと食べ続けられる、つまり「持続可能」ということになります。逆に、この持続可能なサイクルを無視して乱獲してしまうと、将来の食卓から鮭が消えてしまうかもしれません。
でも、色味やねだんと違って、「持続可能かどうか」なんて見ただけで分かりませんよね...。
そこで「この鮭を選べばずっと鮭を食べ続けられますよ」と認められたことがわかるように貼られているのがこのエコラベルなのです。
このマークを付けているのは、MSC(Marine Stewardship Council)という国際NPOです。海の幸に国境はありません。それに、輸出入で世界中を海の幸が飛び交う現代、世界中みんなが共通して理解できる目印があると、持続可能な魚が選びたい人にとっては便利です。
※ちなみに、日本の輸入1位はエビ、輸出1位はホタテ
認証取得を希望する漁業に対して、審査に合格すれば「この漁業は持続可能だよ!」というお墨付きを出します。
でも、先ほど言ったように「持続可能」って見た目ではわからないし...何をもって測るのでしょうか。地球温暖化の二酸化炭素のように、これだけ排出したらアウトです!と、分かりやすく示すのは難しいですが、MSCでは3つの原則に基づいて基準を設定しています。
ここで紹介した基準はほんの一部で、他にもたくさんのチェック項目があります。認証を受ける漁業者は、審査員に直接審査される他、証拠となるデータや書類を提出します。
「なんか大変そう...。複雑だし...。」
うーん、、、確かに基準の話になると、少し込み入ってきましたね...。ですが、こんなにしっかり審査されているからこそ、写真のエコラベルが信頼に足るものになっていくのです。せっかくエコラベルを選んでも、実は持続可能じゃなかった...なんてことがあっては台無しですからね。
認証の審査をする過程では、他にもこのラベルの信頼性を高めるしくみがあります。気になる方は文末の動画をご覧ください。
今回このブログで触れている内容は、昨年末に開催したサイエンティスト・トークにてお話しいただいた内容の一部です。講師である大元鈴子先生は、エコラベルに関連する認証制度のしくみを国内外で研究されています。
ブログでは漁業(獲る方)のエコラベルについて触れましたが、動画の中では海の幸でもう一つ重要な養殖業(育てる方)の認証制度についてもお話しています。
"海の幸を守る"というと、獲らない、食べない、という我慢する対策を想像しがちですが、認証制度やエコラベルによる守り方は、それとは違います。私が日々食べる魚を選ぶことで魚の未来が変わる、決定権は買い物をする私たちが持っています。
今度魚売り場に行ったら、自分は何を基準に選んでいるか少しだけ考えてみてください。
内容が全部見られるトークの動画もぜひご覧くださいね!
「魚の未来を選ぶのは、私!?-ずっと食べ続ける社会のしくみ、経済のしくみ」