こんにちは!科学コミュニケーターの毛利@自宅です。
4/1からスタートしたニコ生「わかんないよね新型コロナ~だからプロにきいてみよう~」も2週目を無事に終えました。みなさん、もうご覧いただけたでしょうか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を取り巻く状況は日々変化しています。特に先週は、4/7(火)に全国7都府県で緊急事態宣言が発令され、東京都では、都民に向けては徹底した外出自粛、事業者に向けては施設の使用停止及び催物の開催の停止が要請されました。様々な情報が飛び交う今、この番組では、みなさんのギモンにとことん答えていくことを目指しています!
番組に登場するのは、国立国際医療研究センター国際感染症センターの「感染症対策のプロ」堀成美さんと未来館の科学コミュニケーターたち(もしかしたら今後「〇〇〇のプロ」も登場するかも⁉)。このブログでは、先週放送分の内容を紹介していきます!
先週は「予防」がテーマでした。
まずは各放送日の内容一覧から見てみましょう。
4/6(月)「予防のために一人ひとりができることってなんだろう?」(担当:SC小林)
① 今日の気になるウワサ「コロナウイルスにお湯が効くって本当ですか?」
② 本日のテーマ:家庭外から持ち込まれるウイルスをどう取り除く?
③ みなさんからの質問
・宅配の箱や郵便物は消毒した方がいい?
・外の空気にウイルスが混ざっているのでは?換気して大丈夫?
・今からでも禁煙に意味はありますか?
4/7(火)「手洗い・消毒の効果って?」(担当:SC鎌田)
① はじめに:緊急事態宣言が出るとしたら、どうしたら良い?
② 今日の気になるウワサ「消毒液での消毒をした方がいいの?」
③ 本日のテーマ:そもそもなんで手洗いがいいの?
④ みなさんからの質問
・手洗い後にアルコール消毒は必要?
・親戚の結婚式はどうしたらよい?
・顔さえ触らなければ大丈夫?入浴は?キスは?
4/8(水)「マスクで何が防げるの?」(担当:SC田中)
① はじめに:緊急事態宣言を受けて
② 今日の気になるウワサ「5月6日まで自粛したら、そのあとのライブやイベントはできる?」
③ 本日のテーマ:マスクで何が防げるの?
④ みなさんからの質問
・1世帯あたり2枚の布マスク配布、意味はある?
・マスクさえしていれば、安心なの?
・半袖の季節になったら咳エチケットはどうする?
⑤ 「感染拡大実験動画」の紹介
4/9(木)「「3つの密」って何のこと?どこがよくないの?」(担当:SC山本)
① 今日の気になるウワサ「「3つの密」をさけない人や、感染した人を責める風潮になっている?」
② 本日のテーマ:さけられない病院の待合室や家庭内の「3密」はどうしたら?
③ みなさんからの質問
・感染者に濃厚接触したかも?熱は出ていないけど、どうしたら?
・子どもが公園で遊ぶときは何に気を付けたら?
・新型コロナ感染症は、夜に発症・症状悪化しますか?
4/10(金)「マスクについて語り合おう!」(担当:SC毛利)
① 今日の気になるウワサ「暖かくなると感染者数は減る?」
② 教えて!堀さんのお仕事
③ 本日のテーマ:マスクについて語り合おう!
・使い捨てマスクの再利用/マスクを交換する頻度/いろいろな手作りマスク/布マスクの洗い方
・医療現場のマスク事情/堀さん持ち込み企画「医療従事者へのマスク寄付のお願い」
④ みなさんからの質問
・予防のためにはコンタクトよりメガネの方がいい?/感染者からの煙草の煙で感染する?/ペットも予防したほうがいい?/感染者が落ち着くまでどれくらいかかる?/入院に必要なものって?/うがいの効果は?/蚊はコロナウイルスを媒介する?
⑤ 統計資料の読み解き方
気になる内容はあったでしょうか。ここからは、今週取り上げた質問からいくつかをピックアップしてご紹介したいと思います。
家の外から持ち込む物にコロナウイルスが付いていないか心配です(4/6)
「もし宅配物やお金が危険だったら、もっと感染は広がっているはず。心配し過ぎはよくない。それでももし心配なら、触るのは最低限にしてその後にしっかり手を洗おう。」
コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染によりうつると言われています。予防に気をつけていると、どこかにウイルスが付着しているのではと気になってきて、あちこち拭きたくなるかもしれません。でも、堀さん曰く、きれいにしようとして不必要な場所を触る方が感染リスクは高いそう。
手が汚れたなと気になったら、予防の基本「手洗い」をする。でも、手荒れするくらいブラシでこすったり、頻繁に手を洗ったりするは止めましょう。皮膚についた細かい傷には病原体が付きやすいと言われています。手洗いも手が荒れないことが大事です。
緊急事態宣言が出た場合、私たちの生活はどうなる?(4/7)
「外出が大きく制限されることになるが、元々インドア派の人にとっては大きな変化はないでしょう。何を8割減らすかよりも、残す2割を何にするかを考えるとよい。ポジティブに考えましょう。」
それでは、残す2割に何を選んだらよいのでしょうか。堀さんは、定期的な通院や食料品の買い出しは必要な外出だと言います。健康の維持には、治療やお薬、毎日の食事は欠かせません。災害時の非常食のような食事ではなく、今まで通りの食事で。一方、介護などの特別な事情がない限り、帰省は遠慮しましょう。冠婚葬祭も要注意。過去に集団感染の事例が出ています。
個人の努力が積み重なれば、社会全体では大きな効果をもたらします。もう一度、自分の生活スタイルを振り返り、本当に必要な行動を洗い出してみましょう
マスクで何が防げるの?布マスクでも効果はあるの?(4/8)
「自分の飛沫を飛ばさない、口や鼻を触るのを防ぐという点で、布マスクの効果は期待できる。せっかく手に入る布マスクを効果的に利用するために、洗い方や干し方の確認も。使い捨てマスクが欲しいからと、お店に行列を作るのはリスク。」
それでは、もしウイルス入り飛沫が手についてしまったら、汚染はどのように広がっていくのでしょうか。マスクをしていれば安全なのでしょうか。実験動画を見ながら、日々の生活のどこに落とし穴があるのか、どんな工夫ができるのかを考えました(タイムシフトでご覧になるなら、4/8放送分の21分15秒くらいからスタートします)。
この実験、実は今回の新型コロナウイルス感染症対策として作ったのではなく、感染症全般を考える実験として行ったものです。その実験の詳細はこちらから。
科学コミュニケーターブログ「迫りくる! 薬が効かない"ばい菌"たち 【感染拡大シミュレーション!編】」(詳細はこちら https://blog.miraikan.jst.go.jp/event/20180305post-799.html)
また、マスクに安心して他の予防をしなくなってしまう人もいます。そこは気を緩めないように、咳エチケットやそのほかの予防も忘れずにおこないましょう!
病院の待合室や家庭内など、さけられない「3つの密」はどうしたらいい?(4/9)
「病院の待合室は感染リスクの高い場所。病院側も3密を防ぐために、空間・時間を分けて患者の対応をしている場合も。病院ごとに対策が違うので、病院の方針を確認してからの通院がおすすめ。オンライン診療は移動がないというだけでも感染防止に効果的。」
「家庭内では、会話の時に布マスクをするくらいが現実的。もし体調が悪い人がいたら、その人だけの部屋を用意してあげる。布タオルの共有はよくないので、一人ひとり違うタオルを使うと良い。心配であれば、トイレのノブや蛇口を掃除するのもおすすめ。」
普段からみんなが「自分は感染しているかも」と思って対策するのが理想です。「1密」でも要注意。うまく「リスクの引き算・予防の足し算」をして感染リスクを下げましょう。もし気になる症状があったら、日付や体温と一緒にメモしておくと万一の際に安心です。
布マスクどうやって洗ってる?洗ったらいい?(4/10)
「普通の洗濯で大丈夫。ネットに入れると型崩れを防げて良い。よく乾かす。日常生活では、極端な汚れ(血液、吐瀉物など)はつかないため、次亜塩素酸(漂白剤)や熱湯を使う消毒は不要。」
今回の新型コロナウイルスは石けんや洗剤で不活化できるウイルスです。長期化が予想されるので、無理なく続けられる方法を。使い捨てマスクは不足していますが、布マスクは比較的手に入りやすく、自作することでもできます。上手に日常生活に取り入れることで、感染予防に役立てましょう。
一方、医療用マスクの不足は深刻な問題です。堀さんは、提供できる家庭用使い捨てマスクをお持ちの方に向けて、医療機関への寄付を呼び掛けています。かかりつけ医など近所の医療機関や高齢者施設などでマスクが足りずに困っているところがあるかもしれません。ぜひ、聞いてみてください。
COVID-19はどの位危険なの?(4/10)
COVID-19に関するデータは、さまざまなところで見ることができます。今回は、「致死率」にスポットを当て、堀さんにデータを見る際の注意点なども交え解説していただきました。致死率とは、「ある病気の全患者数」における、「ある病気による死亡者数」の割合です。
致死率のデータを見る場合は、分母と分子が何の数になっているかを確認することが重要です。重症の人ばかりを集めれば、死亡する人が多いので致死率は高くなりますし、後日、軽症の人も含めた致死率を出すと、必ず致死率は下がります。感染症のニュースは、最初は重症の人だけが患者として見つかってくるので致死率が高くなり、メディアでも大きく報道されます。ですが、だんだんその感染症についてわかってきて、軽症の人も含めた研究結果が出そろう頃になると、結果的に致死率が低くなる場合が多いのです。
今回のCOVID-19の場合、現在の日本ではPCR検査する人数がある程度絞られているので、無症状患者のすそ野がどこまで広がっているかはわかりません。将来的に、すでに感染ずみの人を判定できる抗体検査が可能になれば、感染しても軽症や無症状だった人数が判明し、COVID-19が社会に与える影響をより正確に判断できるようになるでしょう。
今週の「予防」をテーマにした振り返り、いかがでしたか。このブログではすべてを紹介しきれませんが、興味のある方は、こちらから過去の番組を無料で視聴できますので、ぜひご覧下さい。(詳細はこちら https://ch.nicovideo.jp/miraikan)
なお、この番組は日本科学未来館の臨時休館が続くかぎり、月曜から金曜まで毎日、お昼の12時から配信予定です。月曜から木曜までは30分、金曜は2時間の拡大版でお送りしていきます。音声認識字幕アプリ「UDトーク」による情報保障もおこなっています(詳細はこちら https://www.miraikan.jst.go.jp/info/2004081325755.html)。
4月13日からの週は、「感染・発症」をテーマにお送りします。
みなさんの疑問・コメントを大募集中ですので、以下の方法からお寄せください。
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