今年もノーベル賞の季節!未来館ノーベルチームの準備の様子をお届けします!

 103日から、2022年のノーベル賞の発表が始まります。日本科学未来館では例年通り、3日の生理学・医学賞、4日の物理学賞、5日の化学賞の発表に合わせて、ニコニコ生放送で約1時間半の番組配信を行います!

番組の中では、担当の科学コミュニケーターが各賞にちなんだ研究、テーマを取り上げ、その興味深さや奥深さをお伝えしつつ、視聴者の皆様と一緒に受賞者発表の瞬間を迎えます。

そこで、当日司会を務める科学コミュニケーターの大澤が、準備中の担当科学コミュニケーターに直撃!内容や、意気込みなどを聞いてきました!

生理学・医学賞

 生理学・医学賞の担当は科学コミュニケーター大久保明さんと竹下あすかさん。竹下さんは一昨年、昨年に引き続き3度目のノーベルニコ生、一方の大久保さんは初登場になります。2人にちょっとインタビューをしてみました。

大澤:今年の生放送のテーマは何ですか?

竹下: 今年のテーマはずばり「感染症」です。新型コロナウイルスの流行が続いていますので、やはり感染症研究は気になります。今年の生理学・医学賞は、感染症関連の研究の受賞もありえるかもしれません。放送の中では複数回ノーベル賞を受賞しているマラリア研究に注目し、科学者たちの感染症との戦いについて皆さんにお届けします。

大久保:私のパートでは、感染症と私たちの社会の間に起きた出来事について、いったん科学という視点を離れてお伝えします。たとえば、かつて猛威を振るったペストは、文学や芸術の中にもその痕跡を残していたりするんです。感染症というものの見方を広げながら、ノーベル賞の発表を待ちたいと思います。

大澤:読者、視聴者の皆さんに一言お願いします!

大久保:生理学・医学賞、感染症のリサーチをしていたつもりが、いつの間にか文学賞にも興味が向いてきました。当日の話のなかでも、うまく“脱線”できるように準備します。皆さんのご参加をお待ちしています!

竹下:ノーベル賞50%感染症50%くらいの内容になりますが、ぜひ見てください!よろしくお願いします。

物理学賞

 次にお話を聞いたのは物理学賞チームの2人。太田努さんと中野夏海さんです。太田さんは3回目、中野さんは初登場になります。2人とも、研究機関に取材に行くなどして準備を進めています。

大澤:今年の生放送のテーマは何ですか?

中野:「超精密」です。キログラムという単位の定義が最近変わったのはご存じでしょうか?キログラム原器という「ものを使った定義」から、プランク定数という物理定数を用いた定義に変わりました。イベントの中では、その過程で行われた、「超精密」な計測に迫ります。

太田:実は物理学の受賞テーマを見てみると、このような「超精密」な計測に関連した研究が結構あるんです。ものを見る分解能を極限まで高めると、全く予想しなかった自然現象に出会えたり、技術の革新を進めたりすることができるからです。今年も「超精密」が受賞するかも、という視点で発表を楽しんでみたいです。

大澤:読者、視聴者のみなさんに一言お願いします!

中野:私は、大学生の時にちょっとだけ量子力学を「味見」したのをきっかけにこの物理学賞のメンバーになっています。そんな感じで、皆さんにも「味見」の機会を提供できたらなと思っています。

太田:昨年は意外な分野が受賞したので……。先ほど、「超精密」で楽しみましょうと言いましたが、実際には今年もどんな研究が受賞するかはわかりません。受賞発表後の私たちのバタバタ具合も含めて、楽しみにしていてください。

化学賞

 化学賞の担当は廣瀬晶久さんと平井元康さん。廣瀬さんは3回目、平井さんは初登場です。今回は化学という学問がたどってきた歴史に踏み込んでいろいろリサーチをしています。

大澤:今年の生放送のテーマは何ですか?

平井:ずばり、化学における「みる」と「つくる」です。化学という学問は、ノーベル賞受賞研究にかぎらず、原子、分子といったミクロな世界を「みる」ことと、物質を「つくる」ことという2つの視点で切り取れる、というのが今回のテーマの基になっている考え方です。

廣瀬:例えば昨年のノーベル賞受賞研究は、「不斉有機触媒の開発」ですが、これはざっくり「不斉有機触媒」というある一定の役割を果たす物質を「つくった」研究だと言えます。
当日は、「みる」「つくる」の目線で化学の歴史を追いながら、発表を待ちたいと思います。

大澤:読者、視聴者の皆さんに一言お願いします!

平井:化学が進歩してきた歴史を調べていく中で、身近な物質の姿が明らかになっていく面白さにさらに触れることができました。当日は皆さんと、少しでもその面白さを共有できたらなと思っています!

廣瀬:言いたいことは平井さんに言われてしまった……3回目の出演らしく、皆さんに安心()して見てもらえるように頑張ります!当日、よろしくお願いいたします。


 さてさて、今年はどんな内容の生放送になるのか。そして、どんな研究が受賞するのか。ぜひぜひ皆さん、17:30~の当日の放送をご覧ください!

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