ブログをご覧の皆様、こんにちは! 科学コミュニケーターの野副です。
9月も後半になって、東京でもようやく涼しい日が増えてきました。日が暮れるのもすっかり早くなってきましたね。秋の気配です。
……そう、秋のこの時期といえば、お月見! 誰がなんと言おうとお月見!! 真ん丸のお月様、綺麗ですよね~。未来館でもお月見特別企画を行っています(詳細は豊田のブログをご参照ください) (リンクは削除されました)。中秋の名月、今年は9月30日です。その日が晴れることを祈るばかりですが、そもそも皆さん、満月をじっくり眺めたこと、どのくらいありますか? じっくり眺めていて、何か気がついたことありませんか?
いつも同じ模様が見えるなぁと思った方、さすがです! 実は、地球から見える月は常に同じところしか見えません。これは、月自身が回転する速度と、月が地球の周りを回る速度が同じだからです。
月が常に同じ半分側を地球に見せているので、地球からは見えない反対側は長い間ナゾでした。月の裏側を初めて撮影したのは、旧ソ連の探査機「ルナ3号」です。1959年のことでした。その後もいくつかの探査機が月の裏側を撮影していますが、2007年9月14日に打ち上げられた日本の月周回衛星「かぐや」は、月全体の表面の様子を初めて詳細に観測しました。それがこちら。
いつも見る月と違って色が付いていますが、これは月の表面の高さを色分けしたものです。緑色を海抜0mとして、色が黄色から赤へと変わるほど表面が高く、色が水色から紫へと変わるほど表面が低いことを表しています。
ここでさらに質問! 月の表と裏を見比べて、何か気がついたことありませんか?あ、裏側に宇宙人の基地見つけた!とか言わないでくださいね(昔は本気でそう思っていた人もいたようですが…)。……月の表面の様子の違いに気がついた方、さすがです!! 実は月の表と裏、こんなにも様子が違うんです。月の表側は、裏側に比べるとなだらかです。裏側はすごくゴツゴツしています。裏側は隕石が衝突してできたクレーターの形がたくさん見えます。
あれ、隕石って地球から見える表側にも落ちるよね? なんで裏側だけクレーターがはっきり残ってるの? と思った方、さすがです!!! 実は、月内部の構造は地球側に少し偏っていて、表側と裏側で表面の岩石の厚さが違うと考えられています。表面が薄い表側は、隕石が衝突したときに内部のマグマが出てきて、たくさんのクレーターの形を隠してしまいました。裏側は表面が厚いため、隕石が衝突してもマグマが出てくることなく、多くのクレーターが残ったと考えられているのです。
……いかがでしょうか。今度の名月のとき、ただ見上げるだけではなくて、月のことをいろいろ想像したり、考えたりしてみてください。いつもとちょっと違うお月見になるかも。
未来館では、9月22日~30日の期間中、毎日14:30から(9月25日の休館日を除く)、当館のシンボル展示Geo-Cosmosのお月見特別実演を行っています。「かぐや」が撮影したデータを元にGeo-Cosmosが月に変身します。月の表と裏の様子をまるで宇宙空間から見ているかのようにぐるっと見渡せるのはGeo-Cosmosならではです。9月29日の夜間開館では、4回(17:45~, 18:45~, 19:45~, 20:30~)の実演を行います。ぜひ皆様、未来館に足を運んで昼間のお月見をお楽しみください。29日の夜間は天気が悪くても、未来館で綺麗なお月見できますよ~♪