みなさんこんにちは。科学コミュニケーターの豊田です。
今回は、9月27日に宮城県女川町で行った「星空教室」についてのレポートをお届けします。
「星空教室」は、お昼の第一部:LEDライト作製と、夜の第二部:映画「FURUSATO~宇宙から見た世界遺産~」鑑賞と灯りをテーマにしたミニトーク及びLEDライトを使ったパフォーマンスという二部 構成で行いました(主催: 星空教室実行委員会(日本科学未来館、Charge the Future Project)、後援: 女川町教育委員会)。私は、LEDライト作製のサポートとミニトークの企画・講師を担当しました。
第一部は、川崎のブログ (リンクは削除されました)をご覧ください。私は、第二部についてたっぷりとお話ししてまいります。
女川町では、現在、すべての小学生が女川第二小学校の校舎で学んでいます。第二部では、第一部でLEDライトを制作した4年生"女川ライツ"のみんなと、その親御さんをはじめとする女川町の皆さんにも 参加していただきました。鑑賞してもらった「FURUSATO~宇宙から見た世界遺産~」は、地球上にある自然的、文化的な世界遺産を、地球観測衛星「だいち」が捕らえた映像を交えながら、宇宙からの視点で見てもらえる作品。私たちのふるさとが、市町村でも日本でもなく、"地球"であることがコンセプトとして込められている作品でもあります。映画鑑賞後には、本映画監督の小山薫堂氏から届いた「みなさんのふるさとの"新しい今"を、どうぞ力を合わせて作り上げてください。世界中の仲間たちがそれを見守り、そして応援していますから。いつまでも。」という心のこもったメッセージを代読させていただきました。その後のミニトークでは、人工衛星が捕らえた夜の地球の様子、また被災前後の夜の日本の様子を中心とした画像を見せながら、人が灯りを生み出す素晴らしさや、女川ライツのみんなが、女川町の復興も含め、世界や未来の人を感動させるものを生み出す可能性を持っていることを伝えました。
そして最後に、第一部で作ってもらったLEDライトを使って、運動場に夏の大三角形を再現するパフォーマンスを実施。「3、2、1、ライツ!」という号令と共に、真っ暗な運動場にいっせいにLEDライトの星座が浮かび上がると、観覧者の皆さんからは「うわ~」という声が上がりました。
ミニトークを企画するに当たり、一番悩んだのは、震災前後の日本の夜の様子を見せるか否かでした。写真には、震災後、宮城県付近の灯りが少なくなっていること、活動が止まってしまった様子がはっきりと写し出されています。
※アメリカ海洋大気庁(NOAA)が公開している画像を引用
いろいろ悩んだ結果、この写真が示していることは事実であり、ぜひ女川ライツのみんなに受け止めてもらおう、そして、確かにこれは事実だけれど、今後みんながここに新しい光を灯すことができる、あたらしいものを生み出すことができることを伝えようと考えました。実際、お昼は元気いっぱいにはしゃいでいた女川ライツメンバーも、この話の場面では、しっかりとトークに耳を傾けてくれました。
女川ライツのみんなが大人になったころ、宮城県付近の夜の灯りはどのようになっているのでしょうか。