突然ですが、これはいったい何でしょう??
そう!答えは簡単、トイレットペーパー。あなたも毎日使っているはず。
でもこのトイレットペーパー、普通とちょっと違いませんか?
じつはこれ、星の一生が印刷されている、その名も天文トイレットペーパー。トイレで宇宙に詳しくなれるんです!開発者の一人が国立天文台の平松正顕先生。先日日本科学未来館で開催されたトークイベント「電波で探れ!宇宙の謎-ALMA望遠鏡-」(リンクは削除されました)の講師を務めた方です。
平松先生は天文トイレットペーパー以外にも、カルタや扇子など、たくさんの天文グッズを学生時代から仲間と一緒に開発してきました。
国立天文台に勤めてからは、講演などで宇宙の魅力を伝える活動に精力的に取り組んでいます。そんな先生のユニークな活動をご紹介したくて書いた記事が、5月22日、東京新聞に掲載されました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2012052202000255.html (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)
しかし先生の本当の魅力は活動よりはむしろ、そのお人柄だと私は思います。そこで今回は紙面では紹介しきれなかった先生の魅力を、イベントでの子ども達とのやりとりを中心に、たっぷりご紹介したいと思います。
「宇宙に虹はみえますか?」――未来館でのトークイベント終了後に突飛な質問が飛び出しました。「残念ながら宇宙では見られません。虹はね、空気中のちっちゃい水の粒が太陽の光を反射してできるから、水の粒がたくさんないとできないんです」。下の写真のようにジェスチャー交りに質問に答える先生は、優しさで満ちあふれていました。
平松先生は子どもと話すとき、「事実はちゃんと伝えるが、単に否定するのでなく、質問の意図をくみ取ったうえで視点を変えて広げようと心がけている」といいます。
また、「子ども達の質問は、言葉だけでは意図をくみ取れないことが多い。しかし質問は勇気がいること。だからちゃんとくみ取って壁を取り払うために、目線を合わせて優しく話すようにしています」とも話してくれました。
このイベントのテーマは昨年観測を開始した世界最大の電波望遠鏡「ALMA」。終盤に「ALMAに期待することは?」聞くと、子ども達からは「地球外生命が見つかるきっかけがあったらいいな」「地球みたいな惑星が見つかるかも」といった声が上がりました。太陽系以外の惑星は先生自身も関心を持っているテーマ。そこに子ども達も興味を持ってくれて嬉しかったと語ってくれました。
イベント後にはたくさんの子ども達が先生に質問しました。「天文学者になるにはどうしたらいいですか?」「ALMAで働くためには?」など。先生が優しく答えると、下の写真の兄妹はにっこりと見つめ合いました。
子どもに科学にどう伝えるか、どうやったら興味を持ってもらえるか。これは科学コミュニケーターにとっても正解のない永遠の課題です。先生の考え方、子どもへの接し方は私もお手本にしたいと思います。
今回は子ども達とのやりとりだけを取り上げましたが、最近では各地の天文台や科学館での講演だけでなく、オフィスビルや病院などの身近な場所で開催される取り組みにも参加するように心掛けているそうです。
「グッズは購入者の手に届いて伝わっていきました。今は興味がなかった人や足を運べない人の手の届く位置にこちらから出向いています」。平松先生は現在31歳の若手研究者。天文学の普及のためにこれからも先生の活躍に期待したいと思います。
イベントのYouTube動画はこちらから
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