12月10日、スウェーデンのストックホルムでノーベル賞授賞式が行われました。
今年は、10月に日本人の受賞 (リンクは削除されました)が発表されたため、
多くの方が興味関心を持たれたのではないでしょうか。
そんな中、ふと思うのは、
「安曽(あんそ)はノーベル賞授賞式に行くことにはならないなあ」と。
能力的にではなく、分野的に(←ココ重要!!)
ノーベル賞の対象分野は、
「生理学医学賞」、「物理学賞」、「化学賞」、「文学賞」、「平和賞」、「経済学賞」。
いち、にー、さん、しー、ごー、ろく...
いち、にー、さん、しー、ごー、ろく...
何度数えても、たった6分野。
しかも科学の分野だけでいうなら、3分野...
世界中で知られるビッグな賞 (リンクは削除されました)ですが、
扱われない分野というのはたくさんあります。
そこで登場したのが、「クラフォード賞(The Crafoord Prize)」です!
スウェーデン人のホルガー・クラフォード(Holger Crafoord)氏と
アンナ=グレタ・クラフォード(Anna-Greta Crafoord)氏夫妻によって、
1980年にクラフォード財団が設立され、1982年から表彰が行われています。
(クラフォード氏は実業家で、人工透析の機器を開発・商品化しました)
クラフォード賞は、基礎研究を促進することを目的としており、
ノーベル賞と同様に、「スウェーデン王立科学アカデミー」が
受賞者を選考する委員会を持っています。
(写真からも、その格調高い雰囲気がプンプンただよいます!)
そして、その主な表彰分野は、
「天文学」、「数学」、「地球科学」、「生物学(特に生態学)」で、
ノーベル賞が扱わない分野を補完するよう選ばれています。
ただし、ノーベル賞とは違い、毎年1~2つの分野だけが表彰されます。
(クラフォード財団によるウェブページ。英語ですが、かっこいいページです。https://www.crafoord.se/eng/crafoordpriset.asp) (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)
これでも、まだまだ扱われない分野はたくさんありますが、
とりあえず、安曽の専門である「古生物学(こせいぶつがく)」を含む
「地球科学」の分野があるのでひと安心(←おいっ)。
そして1992年には、ドイツ人の「古生物学者」、
アドルフ・ザイラッハー(Adolf Seilacher)氏がちゃんと受賞しています。
ちなみに、ザイラッハー氏は
「エディアカラ生物群」や「生痕(せいこん)化石」など、
「化石好き」でなければ、あまり(というかほとんど?)聞きなれないテーマを研究されていますが、
革新的な中にも「遊び心」が感じられる魅力的な成果を発表しています。
しかも彼は、クラフォード賞で得た賞金を使って世界中で調査を行い、
集めた化石標本で企画展を作製して教育普及活動を行っています。
この企画展「Fossil Art (化石芸術)」は全世界を巡回しており、
10年ほど前のことですが、日本でも開催されました。
地味なテーマながらとても良い内容で、
私の忘れられない展示の一つとなっています。
(クラフォード賞よ、ありがとう!)
クラフォード賞は、毎年1月中旬に受賞者が発表され、
4月または5月に授賞式が行われています。
ノーベル賞とあわせ、今後はぜひこちらの受賞研究も気にしてみてくださいね。