どうして月は落ちてこないの?・・・「落ちない」話

はじめまして。専門は素粒子理論、趣味は漫画を描くことの鳥畑です。

突然ですが、みなさんは、「どうして月は落ちてこないの?」と思ったことはありませんか?

私は、夏に小さい頃から夕涼みで星を見るのが日課だったので、星好き&宇宙好きになりましたが、小学校低学年の時、父に「どうして月は落ちてこないの?」と聞いたことがあります。

そしたら・・・

もっとも、父は工場のおっちゃんなので、いたしかたないですし、「宇宙は無重力だから」などとごまかさなかったのも、今となっては偉いと思っています。

さて、みなさんがよくご存知の遠心力は「見かけの力」であり、本当に月を円運動させるのに必要な力ではないんです。例えばカーブを曲がる自動車に「乗ってる人」が「感じる力」なんです。

遠心力がないのなら、万有引力だけ残り、後は地球に落ちるしかないですよね。じゃあ、何で月が落ちてこないかって?

力での説明がむずかしいなら、エネルギーで説明しましょう。

月のでき方には諸説あるようですが、昔々、地球がまだ熱くて真っ赤だった頃、月は地球の周りを公転しながら形作られました。その時の、公転の運動エネルギーを月はずーっと持ち続けています。宇宙空間にいるから空気の摩擦もなく、はじめに持っていた運動エネルギーは減らないんです。月としては、「落ちるに落ちられない」といったところです。

これは、太陽を回る地球も同じです。太陽系を構成する惑星も、できたときから持っていた公転のエネルギーを使って公転し、小惑星にぶつかられたりしなければ、公転のエネルギーを持ち続けます。

「エネルギー保存則」っていいます。「保存」とは「変化しない」ということです。これで、私たちも「太陽に吸い寄せられる」なんて心配しなくてもいいわけです。

このとき「?」と思われた方もおいでですね。

「自転は?」

月も他の惑星も、自転しながら公転していますが、できたときに持っているエネルギーを使っています。

ただし!どうやって自転まで含めて太陽系ができあがったかは、本当はまだ謎のままなんですって!!!

さて、なんで第一弾のブログのテーマが、月の話かというと、「なかなか落ちない」展示に未来館で初めて出合ったからです。

3階の入り口を入って左手に進んですぐの所にある「願いの泉」がそれです。

中に入れたボールが回転しながら、曲面の中心にある穴に落ちて行くのですが、これがなかなか落ちない!

はじめにボールを入れた時のエネルギーが円運動エネルギーとして使われ、周り始めるのですが、宇宙空間と違って、空気抵抗もあれば、曲面との摩擦もある。

なので、最初に持っていた運動エネルギーは、だんだん減っていき、最後には落ちるのですが、穴に入る時のあがき方たるや、尋常ではないんです!!!

「もう落ちるでしょ」と思っていたら穴の淵にしがみついて「落ちたくないよ〜」と言わんばかりに最後の最後まで粘ります。

手の混んだ展示が多い未来館にあって、数少ない「タネも仕掛けもない」展示なので、子ども達は不思議そうに見入っています。私も大好きです。落ちない理由を知っていてもなお、見ていて飽きません。

たかがボール。されどボール。

このボールを見ていると、なんだか自分の人生まで重ねてしまうのは、私だけではないようです。この前、中学3年の生徒さんがボソッと「俺らも落ちなきゃいいのに…」と話していました。受験の重圧を今から感じてるとのこと。(がんばれっ!)

全国の受験生の皆さん!(あ、今度、参議院選挙がありますから、候補者の皆さん)願掛けに、そして元気をもらいに、未来館へいらっしゃいませんか?

教科書に載ってるような基本的なんだけど、「?」に気づけるブログを書いていきたいと思いますので、今後ともどうかよろしく。

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