人間は生まれながらにして他者と見つめ合い、声や表情でやりとりをします
まわりの人々と関わりを築くことは、生きのびるために欠かせない人間の能力です
ひるがえって、今の社会をみてみましょう
私たちはいま、かつてないほど拡大した社会の中で生きています
かつてないほど拡大した社会・・・たとえば、インターネットが普及した現在。世界中の誰とでも、いつでも、どこでも、コミュニケーションをとることができます。こうした情報科学技術は、社会構造、個人の生活スタイルを大きく変えてきました。
さて、ここで突然ですが、質問です。 ○, ×でお答え下さい。
【A】
① コンピューターは、競争社会を生き抜くマストアイテムだ
② 恋人、友人や家族と一緒にいても携帯電話などの情報端末の画面が気になる
③ コンピューターを使うときは「よし使うぞ!」と気持ちを切り替える
【B】
① コンピューターがあると、安らぎを感じる、もしくは、意欲的になる
② 端末画面の情報を、その場にいる人たちと頻繁に共有する (しやすい)
③ 意識せずに、気付けばコンピューターを使っている (暮らしに溶け込んでいる)
いかがでしょう?【A】の方が多くあてはまりませんでしたか?
(このブログでは残念ながらアンケートをとることができないのですが...)
仮に【A】の方がより多く該当する場合、【B】の○ の数も増やしていくには、どうしたらよいのでしょう?さらには「人間」という他者とのつながりの中で生きている私たちにとって、もっと最適な情報科学技術って・・・?
"装置(モノ)が出発点ではなく、何をしたい、何をやりたいという気持ちを大切にして、そのために使える技術を考えていきたい"
そうお話するのは、東京大学 情報学環教授 苗村健 先生 です。
(まずは、動画の3:45あたりを目がけてご覧下さい!)
2014年1月13日に開催したサイエンティスト・トーク「 続きは"実世界"で ☞ 」では、第12期メディアラボ「現実拡張工房」の出展者である苗村先生と「現実拡張工房」を振り返りながら、先生が取り組む研究や、これからの情報科学技術についてお話を伺いました。
その後日・・・
未来館5階の常設展 「ぼくとみんなとそしてきみ ―未来をつくりだすちから」
この展示は、脳科学、霊長類学、認知科学などの視点から「生物としての人間」の性質に迫っています。ここで、突如、先輩科学コミュニケーターの天野から、こんな質問を受けました。
「堀川さんは、この展示で何を伝えていますか?」
「僕は、監修者の松沢先生の言葉に、大切なことが集約されていると思っていて・・・」
冒頭の台詞は、展示監修者の京都大学 霊長類研究所の松沢哲郎先生が、展示の'あとがき'に寄せた言葉の抜粋です。さらに、このような言葉が続きます。
人間とチンパンジーとのちがい、それは、
想像するちから、未来に向けて動き出すちから
人間は、時間や空間を越えて、ここにない未来をつくることができます
突然の質問に、"ぬきうち解説チェック" が始まったのかと焦る私をよそに、天野は語り始めました。天野と語りあうこと30分、「チンパンジーと人間」、「ロボットと人間」、「コンピューターと人間」 そして、話題は先日の苗村先生のサイエンティスト・トークに。
苗村先生が率いる研究は、情報化社会という、ひとつの世界に対してのアクションといえます。そして、実際にその社会で生きている私たちひとり一人が、日常に問題意識を持つことが、これからの情報科学技術を変え、未来をつくっていくのかもしれません。