おとなになったらなりたい職業の上位に宇宙飛行士がランクインするのは、いまも昔も変わりません。今年3月に国際宇宙ステーション(ISS)でおこなわれた若田光一宇宙飛行士の船長就任式の様子は、テレビや新聞などのメディアにも大きく取り上げられたことは記憶に新しいでしょう。
3月28日、春休みの親子連れでにぎわう未来館で「女性宇宙飛行士が語る―無限大の可能性―」が開催され、約50名の小中学生が参加しました。
講師としてお呼びしたのはアメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士で化学者のトレイシー・コールドウェル・ダイソン博士、そして宇宙航空研究開発機構(JAXA)のフライトディレクター松浦真弓氏。
トレイシーさんが188日間の宇宙滞在で驚いた体験として挙げたのは、ブラシで髪をとかしたときのお話。自然に抜けた髪の毛が下に落ちずほかの毛にからまっていたため、髪をとかすとかたまりで取れたのだとか。参加していた子供たちは宇宙での微小重力をあらためて不思議に感じていました。また2010年、元JAXA宇宙飛行士の山崎直子さんとトレイシーさんを含む4名の女性宇宙飛行士がISSに滞在したことも印象的だったと述べていました。
一方で、宇宙飛行士の活動を地上から支える松浦さんは、スタッフの司令塔であるフライトディレクターに日本人で初めて就任した人です。ISSの「きぼう」日本実験棟や補給機「こうのとり」の打ち上げという重要なミッションを成功させたのは、何よりも地上スタッフや宇宙飛行士とのチームワークだと子供たちに優しく語りかけていました。
イベント後半は講師お二人への質問コーナー。「宇宙に行くのはこわくなかったのか」という子供たちからの問いかけにトレイシーさんは、自分の夢がかなうといううれしさが100パーセントだったと笑顔で答えてくれました。そして「宇宙から地球を見て何を感じたのか」という質問には、自然と涙が出たけど重力がないのでずっと目に涙がたまっていたと宇宙飛行士ならではの経験も交えて話してくれました。
子供のころ父親の影響で電気工作とバイクに夢中だったというトレイシーさん。そのときに親のすすめで書いた「将来やりたいこと」リストが宇宙飛行士になる原点だそうです。「夢やあこがれをもつすべての子供たちに無限大の可能性がある」というトレイシーさんの温かい言葉でイベントが幕を閉じました。
お二人の話を聞きながら子供たちが必死にメモを取る姿に、きっと彼ら彼女らのなかからトレイシーさん、松浦さんに続く未来の宇宙飛行士、技術者が生まれるだろうという期待感をもちました。
開催日時:2014年3月28日(金)15:00~16:45
開催場所:日本科学未来館 3階 常設展示フロア
参加者数:47人
Ustream中継視聴者数:16名