最先端の機器でDNAを調べ、何の肉かを鑑定@ライフテクノロジーズジャパン

真剣な表情で実験器具を扱う、白衣姿の女の子。
その様子を、後ろで見守っている男性。

チューブの中身をじっと観察している、保護メガネの男の子。

皆さん、何をしているのでしょう?

クラブMiraikan会員の方たちがリアルラボというイベントで、ライフテクノロジーズジャパン株式会社を訪問し、実験を行った時の様子です。

最先端の機器を使って、わずかな肉のDNAを調べ、何の肉かを鑑定する実験を、ライフテクノロジーズジャパン (リンクは削除されました)のスタッフがサポート。

子どもたちが普段なかなか入ることができない、本物のラボで行った実験の様子をお伝えします。

実験は1時間半の長丁場だったのですが、最後まで参加者全員の集中力がとぎれることはありませんでした。未来館で行っている実験教室と比べても、皆さんがモチベーションを保ったまま、実験にのぞんでいました。

研究者が使う本物の器具や試薬を使い、いつもは研究者の方々への機器や技術トレーニングを担当するスタッフに実験を教えてもらえる──この状況があるからこそ、参加者全員が最後まで集中して真剣に実験をしていたのだと思います。「実際に使われているものに触れることができて、本当に楽しかったです」との感想もいただきました。本物が持つ力強さを目の当たりにしました。

最初にライフテクノロジーズジャパンの白神さんから、実験全体の説明がありました。白神さんは、普段は研究者向けのトレーニングを担当しています。本物の研究に触れるために、あえて専門用語を交えたという説明は、それでもとてもわかりやすいものでした。

「実験手順書には、その手順を行った時刻を記入して記録を残していきましょう。これが研究者のやり方です。」

まずは、手にしたチューブ内のわずか数mm四方の肉片を真剣なまなざしで観察し、見た目だけで、牛・トリ・羊のどれかを予想します。肉の色や、硬そうな感じ、白いスジの有無、普段目にしている肉の記憶などから予想を立て、理由とともに実験手順書に書いていきます。

実験を進めるたびに、参加者は時刻だけでなく、チューブに試薬を入れる前後、チューブを温める前後の液体の変化も観察し、きちんと記入していました。研究者の素質が垣間見られますね。

マイクロピペッターという少量の液体を測りとる実験器具の使い方を教わり、自分たちで使っています。
最初は、初めて使うマイクロピペッターに慣れない手付きでしたが、「チューブに試薬を入れる時は自分の目の高さで」という研究者のルールも、だんだん身についていきます。冒頭の写真の女の子は、しっかりできていました。

反応を進めるためにチューブを温めた後は、フタを開けて匂いをかぎます。温めた肉の匂いから、予想を変えてもOKです。
「トリ肉っぽい匂いがした」「牛肉ともトリ肉とも違う匂いがしたから、予想を羊肉に変えた」「ゆでたまごが腐ったような匂いがした。やっぱり羊肉だと思う」など、きちんと理由をつけて、予想を立てました。予想の変更や理由も、もちろん実験手順書に記入。

最後に、チューブ内の肉が何の肉なのかを、リアルタイムPCRシステムで調べました。

左側の機械がリアルタイムPCRシステム。右側は、リアルタイムPCRシステムの操作画面です。
機械の名前に付いているPCRとは、もともとDNAの特定の部分を増やす方法のことです。

PCRでは温度の上げ下げを1回行うと、DNAの特定の部分1個が2個に増えます。繰り返して2回行うと、DNAの特定の部分2個が4個に増えます。今回は、PCRを20回繰り返すので、DNAの特定の部分が約100万個に増えます。

何かわからない肉(仮に牛だとします)を3つのチューブに分けて、牛・トリ・羊に反応して光る試薬をそれぞれ入れた場合、このように、牛に反応して光る試薬を入れたチューブだけが光ります。

リアルタイムPCRでは、PCRを繰り返すごとに光が強くなっていく様子を、リアルタイムで観察できます。どのチューブで光が出たかを調べることで、「この肉は牛肉だった」など鑑定できます。

リアルタイムPCR終了後は、データの確認。
PCRの回数が増えるにつれ、どのチューブで光が強くなっているか、または光が出ないままかを確認しました。

参加者が、ご自身の実験データを確認しています。どのチューブで光が強くなっていったか、またどのタイミングで光が強くなったか、光が出なかったチューブの曲線はどうかなどを確認していました。
予想が当たった人もいれば、残念ながら当たらなかった方も。見た目や感触、匂いでは分からない肉の種類も、DNAを調べることでわかるのですね。

ライフテクノロジーズジャパンは、世界的な科学サービス企業であるサーモフィッシャーサイエンティフィック (リンクは削除されました)の一員として、遺伝子を調べたり細胞を培養したりする研究機器や試薬などを開発し、大学や企業の研究者に提供することで、ライフサイエンス分野の研究を支えている企業です。
この日は、全世界の社員が、様々な社会貢献を行うグローバルボランティアデイであり、リアルラボもその一環として開催されました。

今回のリアルラボの実験サポートは、トレーニングマネジャーの白神さんはじめ、広報、営業、人事、テクニカルサポートの方など、さまざまなお仕事をしています。

ライフサイエンス分野の研究が、研究者だけで成り立っているのではないように、会社もいろんな立場の方が支えていることを、特にお子さんの参加者は実感した様子でした。
「娘の夢がひとつ増えたようです」のご感想もいただきました。この日の参加者から、研究者が生まれるかもしれません。

研究や会社が、いろんな立場の人達で成り立っているように、このリアルラボも、写真に映っている全員(クラブMiraikan会員の方、ライフテクノロジーズジャパンのスタッフ、未来館のボランティアスタッフ、未来館スタッフ)で作り上げたイベントです。

リアルラボで、最後まで真剣に実験を楽しんだことを記念して、「はい、チーズ」

お疲れさまでした!

イベント概要

リアルラボ@ライフテクノロジーズジャパン株式会社~最先端の機器でDNAを調べ、何の肉かを鑑定!~(クラブMiraikan向けイベント)

イベントアーカイブはこちら https://club.miraikan.jst.go.jp/friendship/event/eventdetail/1405031116643.html (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

開催日時:2014年6月8日(日)13:30-16:00

開催場所:ライフテクノロジーズジャパン株式会社
(東京都港区芝浦4-2-8 住友不動産三田ツインビル東館 3F)

参加人数:20名(親子10組)

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