こんにちは!みどりの本田です。たまにはみどりらしくこんな写真を。
でも注目してほしいのは「目玉」!これは「ニコダマ」と言う"デバイスアート"の研究から生み出された作品の1つです。これはいったい何かと言うと...
目玉は1つずつ独立していますが、2つの目玉のスイッチを入れると、目玉同士で赤外線通信をして、両目で同時に「パチッ」とまばたきをします。まるで命を吹き込まれたかのようなキャラクターが生まれました。
でも「デバイスアート」って何?デバイスにもアートにも弱い私は正直よくわかりませんでした...
説明文章には「人と相互作用するための装置が表現内容そのものとなった作品」とあります...
やっぱりよくわからない。
でも!デバイスアートに実際ふれてみるとおもしろい!
そして実際に作って、研究している人たちってなんだかおもしろそう!
そんな先生方をお招きして、サイエンティストトークを開催しました。
さて、今回お招きしました先生は、筑波大学教授の岩田洋夫先生(写真左)とメディアアーティスト八谷和彦先生(写真右)です。
未来館でもお二人の作品を展示していた時期があります。メディアラボ初期に多大なるご尽力をいただいておりました。
第2期メディアラボ 八谷先生 (リンクは削除されました)
第3期メディアラボ 岩田先生 (リンクは削除されました)
今回サイエンティストトークとしては、初の"おや?"っこひろばで開催しました。ゆったりしながらお話が聞けるようにクッションも配置してみました。
さて、先生方のお話から2つ印象に残った場面をお伝えしたいと思います。
1、「ライバルはレオナルド・ダヴィンチ!」by 岩田先生
これから目指すデバイスアートの図を先にお見せしましょう。
この図を見て、ダヴィンチとの違い、わかりましたか?
芸術と工学と医療だけなら、「モナ・リザ」を描く力を持ちながら、土木工学や解剖学においても様々な発見をしていたレオナルド・ダヴィンチ。この3つの分野を一人でチャレンジしているんですね。でも!デバイスアートはこれらに加えてスポーツ分野にもチャレンジしようとしています。
ご紹介が遅れましたが、岩田先生は筑波大学の工学研究者でもありながら、世界中の人が集まるPrix Ars Electronicaで2回もインタラクティブアート部門で受賞されているアーティストでもあります。なるほど、これで工学と芸術分野はクリアしているんですね。
岩田先生はそれだけにとどまらず、その技術を医療・福祉にも応用しています。
たとえば肝臓手術シミュレータを使ってお医者さんの育成に貢献したり、映像技術も合わせて楽しいリハビリテーションを提案したりしています。これを作るには医療の知識も必要。医療分野もクリア。
そして、最後のスポーツへのアプローチ。
先生は昔バレーボールをやっていたご経験もあり、今は女子バレーに金メダルを取ってもらえるように秘密兵器を研究中とのこと!この結果はオリンピックで!
スポーツに関する知識も持っていないとこういったアプローチはできません。
さて、常に新しいことにチャレンジを続ける岩田先生。壁にぶつかることはありませんか?という質問に
「今までなかったものがすぐにできるわけがない。でもいろんな方向を変えて突破しようとする。見方を変えながら、失敗を続けながら考えている。」
とお答えいただきました。これからどんな新しいものが生まれるのでしょうか。
2、「世の中にないものは 作ればいい」 by 八谷先生
この答えが出てくる前に、先生からこんな問いがありました。
問:「僕らが本当にほしい飛行機はどんなのだろう?」
「僕らがほしいのはこういうのじゃないの?」
風の谷のナウシカに出てくるメーヴェ。
でも世の中にはない。
・・・ならば!!ということで
「世の中にないものは 作れば良い」
この言葉が出てきたのです。
その通りに先生が2003年から始めたのが、OpenSkyプロジェクト。
実際に飛行機を作って飛んでいる姿がコチラ↓
「人間やれば(わりと)なんでもできますよ。」とサラッと先生はおっしゃいました。
「工学でやると役に立つ物を作らないといけない。でも美しい物や自分がやってみたいことをやるならアートでやった方が自由で手っ取り早いことも多いですよ」
なるほど。
でも子どもの頃からやりたいことがたくさんあったわけではなかったようです。
八谷先生「夢はなかったけど、電子工作とかプラモデルは好きでしたね。でも一生懸命やっていると必ず後につながっている。若い人に言いたいのは、好きなことをそのまま楽しめばいい。」
力強いメッセージをいただきました。
今回、八谷先生のプロジェクトにボランティアとして参加した中学生も会場に来てくれました。風の谷のナウシカが大好きで、ネットでいろいろ探していたらOpenSkyプロジェクトを知ったそうです。すぐに先生の展覧会にも足を運んで「おもしろそう!」と思い、このプロジェクトのお手伝いしたい!と申し込んだ女の子。
「好きなことに取り組める環境」
そういう場も先生ご自身が周りの人たちを巻き込みながら作っているのですね。
お話を聞いていた子どもたちは、最近何かにチャレンジしているのでしょうか。会場で質問してみました。
答えてくれたのは「本をつくっている」という男の子。でも「紙が足りなくて困っている」、と話してくれました。チャレンジしているからこそ困難な壁にもぶつかっている姿に心から応援したくなりました。
結局デバイスアートに秘められている魅力はなんだったのか?
参加した小学生からは、
「先生たちがいろいろなことを教えてくれたので、チャレンジしてみます」、というコメントや、大人の方からは、
「技術を生み出しているのは生身の人間なんだな!とあらためて感じ、感動しました」、というコメントをいただきました。
先生方のお話を聞いて、「人間がつくっている」感覚や、「チャレンジしてみたい」気持ちを持った方がいらっしゃいました。これこそがデバイスアートの魅力なのではないか、と私は思います。
「作者が実現しようとする力」
これがデバイスアートに込められ、人に伝わる。
ないからあきらめる
のではなく、
ないからつくってしまおう!
この気持ちが、これからの未来を創る大事な鍵かもしれません。
あなたが今好きなことは何ですか?
お子さんがいらっしゃる方は、お子さんの好きなことは何でしょうか?
大人が子どもにやりたいことをやらせてあげられる環境を準備できているでしょうか。
もしこんなことやってみたい、こういうものを作ってみたい、そんな思いがあれば、ぜひ未来館の"おや?"っこひろばに来たときに、スタッフへお声がけを!
みなさんの声をお待ちしております。
<イベント概要>
日時:2014年8月3日(日)12~13:00
場所:日本科学未来館 3階 "おや?"っこひろば
参加者数:60名
※イベント映像は、都合により公開しておりません。