8月24日、無事に補給機「こうのとり」が国際宇宙ステーションに到着しましたね!
地上からの管制を若田光一さんが担当し、油井亀美也さんが「こうのとり」をロボットアームでキャプチャするという夢の共演を見るべく私も中継を見守っておりました。
無事にキャプチャが終わりましたが、油井さんの活動はまだまだ盛りだくさん!
あと残り4カ月の滞在期間で、人類が月や火星にいくための足がかりとなる実験や、私たちの生活をより良くするための研究を行います。
「そんな注目のミッションを紹介したい!」と思い、7月16日、 宇宙航空研究開発機構(JAXA)・フライトディレクタの井田恭太郎さんをお呼びし、ニコニコ生放送を実施しました。
油井さんのミッションはもちろん、油井さんの意外な一面や、フライトディレクタとしての井田さんのお仕事まで、多岐にわたってご紹介いたしました。そのダイジェストを【フライトディレクタ編】と【油井さんのミッション編】にわけて振り返ります。
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フライトディレクタってどういう仕事?
写真は「きぼう」日本実験棟の管制室の様子です。管制室は、電力・通信を担当するCANSEI、宇宙飛行士との交信を行うJ-COM、宇宙飛行士や地上スタッフの行動スケジュールを立てるJ-PLANなど多岐にわたるチームで成り立っています。それぞれの担当が、シフト制で交代しながら、24時間体制できぼうの運用を行っています。
井田さんのポジションであるフライトディレクタは、さまざまな担当の管制官をとりまとめ、代表して米航空宇宙局(NASA)との交渉を行っています。NASAとの交渉は特に緊張感あふれる仕事。「各国で国際宇宙ステーションの電気や宇宙飛行士のスケジュール等のリソースを分け合っています。論理的に説明しないと、きぼうの運用に必要なことをやってもらえない可能性がある」と井田さんが言うほど、慎重に行わなければならないことなのです。
ISSにいる宇宙飛行士とのコミュニケーションも、NASAとの交渉と同様に重要です。地上400km離れたところにいる宇宙飛行士に実施してもらいたい内容を伝えているのですが、「言葉だけで伝えることはとても難しい」と井田さんはおっしゃっていました。一言に宇宙飛行士といっても、それぞれ国も文化も考え方も違います。彼らに言葉だけですべてを伝えるのは難しいのです(実際、日本語でさえも、電話ですべてを伝えるのって難しいですよね)。だからこそ井田さんは、事前のミーティングや懇親会で油井宇宙飛行士はじめクルー達とコミュニケーションをたくさんとるようにしていたそうです。それが、「遠く離れた時でも物事を円滑に進める秘訣」だそうです。
ちなみにですが、井田さんは油井飛行士に「何か困ったことがあれば、いつでもメールなり、電話をしてくださいね」と声をかけているそうです。困っているときにあれこれ手助けしている姿は、もはや自他ともに認める女房役ですね。 今この瞬間も井田さんは油井飛行士を地上から支えています。
そんな井田さんの仕事は、今まさに忙しさのピークを向かえています。冒頭で「こうのとり」がISSに到着したことをお伝えしましたが、「こうのとり」で運ばれてきた実験装置をきぼう内に取り付け、さまざまなミッションの準備を行っているのです。計画をたてたり、宇宙飛行士に細かな指示を行ったり、大忙しなのです。
そもそも「きぼう」日本実験棟ではどのようなミッションが行われているのでしょうか。
次回のブログでは、油井飛行士が関わりそうなミッションについてご紹介します。