みなさん!やりました!
昨年に引き続き、今年も日本人がイグノーベル賞を受賞しました!
これで9年連続受賞になります。
イグノーベル賞の概要についての記事は→こちら (リンクは削除されました)
昨年の受賞内容についての記事は→こちら (リンクは削除されました)
今年の発表が本日9月18日の朝7時から行われました。
私、イグノーベル担当の古澤輝由(ふるさわきよし)も、しっかりと朝からスタンバイしておりました。
イグノーベル賞は「人々を笑わせ、そして考えさせた」研究、業績に与えられます。
今年のテーマは「LIFE」!生殖、生物、そして人生に関わる様々な研究・業績の中から、以下のバラエティに富んだ10トピックが受賞しました。
★化学賞:半熟卵を化学的に作る方法の確立
★物理学:すべてのほ乳類の排尿時間は21秒である(ただし誤差+-13秒)
★文学賞:「はぁ?」に相当する言葉が、どの言語にも存在することの発見
★経営学賞:多くの経営者は幼少期にリスクを取ることを好んだという傾向の発見
★経済学賞:賄賂を拒否した警官に対し、ボーナスを支給することにしたバンコク警察
★医学賞:熱烈なキスには、どのような生物学的影響があるのかを調べた研究
★数学賞:モロッコの君主がいかにして888人の父親になり得たのかを数学的実証
★生物学賞:ニワトリのおしりに人工しっぽをつけると、歩き方が恐竜に類似することの観察
★診断医学賞:道路のコブを越えた際の痛みの有無で盲腸炎かどうかを判断する方法
★生理学・昆虫学賞:体のどの部位が刺された時に最も痛いのか実証するために、実際にハチ等に刺されたことに対して
この中で日本人が受賞したのが...
医学賞!
熱烈なキスには、どのような生物学的影響があるのかを調べた研究!
をした、木俣肇氏が受賞されました。
木俣氏は、キスをすることで花粉症などのアレルギー反応が低減することを実証。スロバキア、アメリカ、イギリス、ドイツのグループが行ったキスをテーマにした別の研究との共同受賞でした。
おめでとうございます!
今年の受賞研究の中で、古澤のイチオシは...
生理学・昆虫学賞:体のどの部位が刺された時に最も痛いのか実証するために、実際にハチ等に刺されたことに対して!
こちら、ジャスティン・シュミット博士(Justin Schumidt)とマイケル・スミス氏(Michael L. Smith)の共同受賞です。
科学の世界には「ヘルシンキ宣言」というものがあります。人を対象に実験を行う際に、被験者の人権を守る倫理規定として、1964年に採択されました。彼らは、この「ヘルシンキ宣言」に抵触しないよう、被験者として自らを選んだのです!
では、そもそも彼らは何をしたのか。
シュミット博士は、「どの虫に刺されたら最も痛いのか!約150種類もの虫に刺されてみた!!」
痛いって...!
シュミット博士曰く、最も「刺されたら痛い虫」は...弾丸アリ!
「踵に錆びた釘を打ち込まれた状態で、燃えさかる炭の上を歩くかのような痛みだぜぇ」(シュミット博士談→こちらから引用) (リンクは削除されました)
更には...
「俺がクレイジーだって?そりゃ、見る人によってはそうかもしれない。でも、俺はそれを楽しんでるんだ...!」(シュミット博士談→こちらから引用)
格好いい!格好良すぎるぜ、シュミット博士!
もう一人のスミス氏は、「刺された時にどの部分が最も痛いのか!体のいたるところ25箇所をミツバチに刺されてみた!」
だから痛いって...!!
スミス氏曰く、ハチに刺された時にあまり痛くない場所は、上腕、頭頂部、つま先。(それでも痛いだろうけど)
それに対して、最も痛い場所は...鼻の穴!次いで、上唇、陰部...。
本当に...やったの...か...?
スミス兄貴ぃ!科学の名の下にそこまで...!
くぅぅ...漢すぎるぜっ...!!
(注:どちらも客観性を持つ、大まじめな研究なのであります。)
さて、そんな受賞者達にはトロフィーと、なんと10兆ジンバブエドルが、本家ノーベル賞受賞者から贈られます。
さて、西岡のブログ (リンクは削除されました)にもあったように、イグノーベル賞授賞式の目玉は、受賞者の発表だけではありません。本家ノーベル賞受賞者をも巻き込んだ、様々なミニイベントがあります。
その一つが24/7レクチャー。科学者(ノーベル賞受賞者含む)が自らの専門を「24秒」以内で紹介し、その後その研究の内容を、誰にでもわかるように「7単語」で表現します。
他にも、今年のテーマ「LIFE」を軸にストーリーを組んだオペラ(秀逸!)や、ノーベル賞受賞者とデートする権利が当たる抽選会などなど。
ドクター中松氏が歌声を披露する場面もありました。
そして、25周年を迎える今年のハイライトは、なんと言っても歴代ミス・スウィーティ・プゥーの大集合!
(スピーチを邪魔する8歳の女の子。初代の登場が1999年なので現在23歳か24歳かな?現在のプゥーは5代目)
皆で「Please stop, I'm bored!(もうやめて!飽きちゃったから!)」を連呼する様には、苦笑を禁じ得ない壮観さがありました。
(もう一人のお約束の存在、ロイ・グラウバー博士は、2014、2015年共に欠席。ご高齢だからでしょうか...)
今年も私たち(私...?)を楽しませてくれたイグノーベル賞。25年も続き、本家ノーベル賞受賞者にも愛され続けてきたその理由は、「笑える」だけではなく「笑えて、そして考えさせられる」と言った深い信念があるからではないでしょうか。
今はまだ、カルト的な人気の強いイグノーベル賞ですが、私たちが自然に科学を笑って楽しめるようになった時こそ、本当の意味で科学が身近になったと言えるのではないかと思います。
さぁ、次の目標は10年連続受賞です!
来年も一緒に、笑って、そして、考えさせられましょう!
そして、毎年恒例、未来館ノーベル隊による予想ブログや予想ミニトーク、始まっております!
10月5日のノーベル生理学・医学賞の発表を皮切りに、ノーベル受賞研究に対する速報解説も行っていきます。
お楽しみに!