みなさん、ようやくノーベル生理学・医学賞が発表になりましたね!
なななんと、日本人受賞者!きましたね~!
今年のノーベル生理学・医学賞のブログは2本立てでお送りします。
私がご紹介するのは、受賞されたこちらのお二人の研究です!!!!!
お二人は、河川盲目症と象皮病という両方の病気を治療できるイベルメクチンという薬を開発しました。河川盲目症はオンコセルカ症といい、ブユを媒介して約1800万人が感染しており、そのうち約27万人が失明し、さらに50万人が視覚障害を持っています。オンコセルカ症は世界第2位の失明原因です。(メルクマニュアルより)
象皮症はリンパ系フィラリア症といい、蚊が媒介する病気です。現在何百万の人がこの病気にかかっています。体の中に虫が入ると、象の足のように足が太くなり、皮膚がかたくなります。
いまも、熱帯の国々の多くの人たちがこれらをはじめとした感染症にかかります。
さて、大村博士はもともと、微生物を研究されており、たくさんの菌を発見しては同定をしていました。その中のひとつが、今回ノーベル賞の受賞理由になった「放線菌(Streptomyces)」という細菌を静岡県伊東市のゴルフ場の土の中から発見しました。
この放線菌を大村博士からもらい、その中に感染症に有効な成分が含まれていることを発見し、薬の開発を進めたのが同時受賞の寄生生物学のウィリアム・キャンベル博士です。
キャンベル博士は、もらった放線菌からエバメクチンを抽出しました。エバメクチンは動物の感染症に効くことがわかりましたが、人体に副作用が出ることがわかったため、人体にも効果をもたらす形に化学的に修飾を行ったイベルメクチンを開発しました。
この薬が、ミクロフィラリアと呼ばれる多くの回虫を撃退することができるのです。しかも、年に1~2回、経口投与で飲めば、副作用もなく、様々な範囲の寄生虫を撃退するのに効果があります。これは従来の薬よりも長期間効果がある、画期的な薬なんです。
受賞後に行われた記者会見でのお話で、大村先生は、おばあさまに「人の役に立つことを」を行うようお話され、「人のやっていないことをしよう」という意識を持ちつづけながら研究を進められてきたとお話されていました。大村先生は年間で様々な場所から土を拾いつづけ、2000~3000サンプルを同定されています。
イベルメクチンや、同時受賞のアーテミシニンは、感染症の治療法を根本から変えたという点も、今回のノーベル賞受賞に繋がった大きな理由のようです。
感染症は、先進国は様々な治療薬やワクチン、建築様式などで撲滅をはかってきました。
その一方、家から病院まで歩いて二日かかる、インフラも整備されていない途上国では、回虫を媒介する蚊やブユを避けるなどの教育も普及していないため、ずっと感染症に苦しみつづけています。
今回の研究は、新興国で問題となりつづけていた感染症の治療に目を向けた、非常に新しい種類のノーベル生理学・医学賞の受賞と言えると思います。
感染症は、最近エボラウイルス病やデング熱などのニュースで目を向ける方が増えたと思いますが、ぜひ今回のことをきっかけにして感染症研究に目を向けてみてください!
マラリア治療薬で受賞した屠呦呦(トウ・ヨウヨウ)先生に関しては、次の記事でお伝えします。(リンクは削除されました)