ジカ熱ってなに?

みなさんこんにちは!そしてはじめまして!

科学コミュニケーターの石田茉利奈です。

ジカ熱...?鹿熱...?というくらいジカ熱が初耳だった私ですが、

近頃話題の「ジカ熱」について書かせて頂きます。

ジカ熱はヤブ蚊属の蚊が媒介するジカウイルスによる感染症です。ジカウイルスの名前はウガンダのジカ森林のアカゲザルから見つかったことが由来です。(鹿じゃなくてお猿さんなのです。)

ジカ熱ってどんな症状?

ジカ熱というくらいだから、かかったら高熱が出るのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。

海外でジカ熱に感染して、帰国後に症状が出た例が3月11日までに5例報告されました(うち3例は今回の流行ではなく、2013年から2014年のアジア・オセアニア地域での感染)。症状は発熱(37℃前後)、頭痛、目の奥の痛み、関節痛、結膜炎、皮疹です。

特徴は軽度の発熱、結膜炎、皮疹です。全身に現れた皮疹にびっくりして受診してみたらジカ熱だった!というケースがほとんどだそうです。皆さん、症状が深刻化することもなく回復し、後遺症などもありません。実は、感染しても症状が出ずに本人も気がつかないまま終わることが8割と推定されています。

このようにジカ熱に感染しても重症化することはめったにありませんが、心配されているのは妊婦さんがジカ熱に感染することです。

妊婦さんがジカウイルスに感染することでお腹の赤ちゃんが感染し、小頭症の子どもが多く生まれています。小頭症とは通常よりも小さな脳で生まれてきてしまう病気で精神発達遅滞を起こしてしまうことがあります。小頭症とジカウイルスの因果関係について詳細が分かるまでは、妊婦さんはジカ熱流行地域への渡航は避けることが推奨されています。

ジカ熱の感染経路は?

1. ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血する

全ての蚊がジカウイルスを媒介するわけではありません。媒介することが確認されているのはネッタイシマカ(熱帯縞蚊)とヒトスジシマカ(一筋縞蚊)です。ネッタイシマカは日本にはいませんが、ヒトスジシマカは日本のほとんどの地域(秋田県近辺より南)で生息しています。

ヒトスジシマカ(Wikipediaより)
-日本のほとんどの地域におるん?!感染してしまうんちゃう?!

 心配ないと言って大丈夫だと思います。ヒトスジシマカの活動時期はおよそ5月中旬~10月下旬ごろ。仮に現在、成虫によって感染が起きても、成虫は冬を越せません(ヒトスジシマカは卵で冬を越しますが、ウイルスが卵の中で冬を越したという報告はなし)。つまり、ヒトスジシマカによる日本でのジカ熱感染の可能性はかなり低い、もし起こっても一過性のものといえるでしょう。

2. (まれだが)性行為

性行為による男性から女性への感染が疑われているケースが報告されています。ジカ熱流行地域から帰国した男性は、症状の有無に関わらず、安全な性行動をすることがWHOより推奨されています。

まとめ!!

妊婦さんでない方はジカ熱にかかってもそんなに心配はいりません。ただし、妊婦さんに万が一かかると大変なので以下の4つの対策を取りましょう!!

1. 妊婦さんはジカ熱流行地域へ行くことを控える

ジカ熱流行地域は下図参照。

中南米だけじゃない!アジア、アフリカでも流行中!

図:ジカウイルス感染症の症例が報告された地域
出典:US CDC. Zika virus  https://www.cdc.gov/zika/(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)
2.ジカ熱流行地域では蚊に刺されないようにする
  • 肌の露出が少ない服を着る(長袖・長ズボン・帽子)
  • 防虫剤を使用する
  • 蚊帳を利用する

ジカ熱の流行地域とマラリアやデング熱など、蚊が媒介するほかの感染症の流行地の多くは重なっています。ジカ熱だけでなく、これらを防ぐ意味でも蚊に対する備えはしっかり行って下さい。

3.帰国後に発熱や皮疹がみられたらすぐに病院で受診する

 厚生労働省によると3月上旬までに各地の地方衛生研究所や検疫所にジカ熱ウイルス検査キットが配布される予定です。帰国後に発熱や皮疹がみられたら、海外帰国後であることを必ず伝えて病院で検査を受けましょう!

※これも、ジカ熱に限った話ではありません。海外から帰国後に体調の変化があった場合は、病院に行き、必ず渡航先の国を伝えるようにしましょう。

4.帰国後は性行為にも気を配る

 流行地域から帰国した人は、帰国後少なくとも28日間安全な性行動を取ることが推奨されています。(WHOより)

ジカ熱はそれほど恐れる感染症ではありません。しかし、妊婦さんのことを考えると取るべき行動が見えてきますね。

今後リオのカーニバルやリオデジャネイロ五輪があり、ジカ熱はまだまだ世間を騒がせそうです...妊婦さんのためにもこれ以上流行しないことを祈りたいですね!


遅ればせながら...初投稿となりますので簡単な自己紹介をさせて頂きます!

2015年10月に入社しました科学コミュニケーターの

石田 茉利奈(いしだ まりな)と申します。

小さい頃から生き物が大好きで自然と戯れながら育ちました。大阪出身なので関西からいらっしゃったお客様とお話すると、関西弁スイッチが入ります。

大学の頃は化粧品などによく含まれている保湿成分セラミドの研究をしていました。つまりジカ熱とは全く関わりがないのですが、広く浅くいろんなことに興味津々なのでブログ執筆にチャレンジしてみました。

ん...?科学コミュニケーターが浅くていいの...?

だめでしょうね...でも深く考えることが苦手なんです...。ということで、目標は多くの方と一緒に深く掘り下げて考えていけるようになること!

畑違いの分野にも広く深くチャレンジしていきます!よろしくお願いします!

【参考文献】
(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109899.html

ジカウイルス感染症とは(NIID 国立感染症研究所HP)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/6224-zika-fever-info.html

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