将来、ロボットがあなたの家にいたら、何をしてほしいですか――?
未来館の常設展示「未来をつくる」は、ロボットや情報技術などイノベーションにつながるテクノロジーを扱うゾーン。
来館された方に冒頭の質問をすると、さまざまな答えが返ってきます。
「掃除!」
「介護かなぁ・・・」
「お料理してくれたら、ママが助かると思う」
3つ目は、お母さんを想う小さな子どもの優しい気持ち。ほっこりします。
やっぱり日常生活の助けになってもらえると、ありがたいですよね。
では、もしも、その希望がかない、あなたの家にとても役立つロボットがやってくるとしたら。
次の2タイプのどちらに、来てほしいですか――?
ロボットらしい見た目のASIMO(左)と、人間によく似たオトナロイド。
現時点では機能や性能が違いますが、「仮にできることが同じだったら、どちらの姿が良いか」を考えてみましょう。
みなさんの答えは、どちらでしょう?
展示フロアで実物を前に「一緒に住むならどっち?」を尋ねると、7~8割の方がASIMOを選びます。
(ASIMOは2022年3月31日に未来館を卒業いたしました。現在は実演は行っておりません。長い間、たくさんのご声援と笑顔をありがとうございました)
ASIMOの方がかわいく見える」
「ロボットらしい見た目が良い」
「オトナロイドは人間に似ているのに微妙に違うから、なんか怖い」
うん、気持ちはとってもよく分かります。
ですが、オトナロイドを選ぶ考え方にも、興味深いものがありました。
「話し相手や介護をしてもらうなら、こっちかなぁ」
「一緒に住むなら、家族や友達だと思いたいから、人間の姿が一番良い」
特に2つ目。意外な視点、一理あります。
すると今度は、"ASIMO派"が自問自答するように言います。
「ロボットは家族なのかなぁ。"役に立つ機械"の位置づけでいてくれた方が良いと思うんだよね」
確かに、人間姿のロボットがずっと休まず家事をしていたら、何だか申し訳ない気がしそう。人間の、他人の気持ちを感じる「共感」にも関係がありそうです。
「それだったら、ル○バ(某家電製品)が一番良いんじゃない?」
おっと、いきなりの第三勢力。でも、そんな気もします。
結局のところ、ロボットと人間は、どんな関係だと心地が良いのでしょうか?
「関わっていて楽しいのは、反応があるとき。自分に対する感情の動きが伝わってくるのが良いし、それは表情の微妙な変化から伝わってくる」
「表情がなくても、LEDの色や点滅くらいの表現で十分じゃないかな」
「若い女性姿のロボットが家に来たら、旦那がそっちに夢中になるかも」
「自分ができることは自分でやらないと、怠け癖が付きそうで、なんか嫌」
「ロボットがやってくれるなら、正々堂々と怠けちゃっても良いと思うけど」
「いや、必要な単純作業を延々とやるのも、"やり遂げた感"とか"役に立ってる感"とかがあって嫌いじゃないんだよね」
「もし本当にロボットがいろいろなことをやってくれるようになったら、人間はその分の時間や労力をどう使うんだろう?」
「やっぱりぼくは、ロボットいらないや」
「ロボットが家事をやってくれて、好きな創作活動に時間を使えるようになれば、私は嬉しいな」
この先、ロボットに限らず、人工知能や情報技術、医療技術などさまざまなテクノロジーが発展し、イノベーションが起こり、社会が「便利」になっていくとして。
ちゃんと私たちの「幸せ」につながってほしいと思うのです。
そのためには、テクノロジーを「何のため」に「どう」使うのかよく考えたり、私たち自身の「生き方」や「価値観」を成熟させたりする必要もありそうです。
ロボットとどんな関係だと心地よい――?
テクノロジーでどんな未来になったら幸せ――?
どんなことを感じますか?
科学技術の理論に加え、一人ひとりの「気持ち」も大切にしながら、「どうなりたい?」を考えていく。
それが、「未来をつくる」ことなんじゃないかと思います。
【紹介展示】
ロボット
【参考サイト】
「不気味の谷」について(wikipedia)