だれもが一緒に遊べる公園が未来館の目の前にオープンしました!

こんにちは、科学コミュニケーターの田中です。東京は、真夏かと思うような暑い日もあり、半袖で過ごすことが増えてきました。晴れた日には外に出て遊びたくなるこの季節、お子さんたちにぴったりな遊び場が、お台場にある未来館の目の前に期間限定でオープンしました! その名も「インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園」。みんなが遊べる工夫が詰まった最先端の公園らしい、ということで、その秘密を探りに行ってきました。

左のガラス張りの建物が未来館。すぐ目の前にみんなが遊べる公園「インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園」が誕生しました!

遊びたい子が、だれでも一緒に遊べるように

みなさんは、公園の遊具で遊んだことがありますか? 多くの方は、ブランコやすべり台などで遊んだ楽しい思い出があるのではないでしょうか。ですが、一般的な公園の遊具では遊ぶのが難しい子どもたちもいます。たとえば車いすに乗っている子。車いすに乗ったまま遊べる遊具は、なかなかありません。遊びたいのに遊べない子がいるなんておかしい! だれでも一緒に楽しめる遊具をつくろう! そうして生まれたのが、インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園に設置された遊具です。

では、これらの遊具にはどんな工夫がされているのでしょうか? 遊具メーカーである株式会社コトブキの担当者の方々に教えてもらうべく、同僚の科学コミュニケーター綾塚とインクルーシブ・プレイグラウンドにわくわくしながら向かいました。

みんなが一緒に遊べる秘密が詰まった3つの遊具

インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園に設置された遊具は3種類。まず、未来館の入り口からいちばん近くにあるのが、公園の定番・ブランコです。普通のブランコの横に、ジェットコースターの座席のような形をしたサポート付きシートがぶら下がっています。自身の体を支えるのが苦手な子は、普通のブランコではバランスを取ることが難しいですが、このサポート付きシートに乗れば倒れてしまうことがありません。これなら、みんなが並んで一緒にブランコを楽しめます。

写真右側に普通のブランコがふたつ、左側にジェットコースターの座席のような形のサポート付きシートがひとつ。ブランコって、大人になってもたまに乗りたくなりませんか? 田中と綾塚は、写真を撮ったあと、久々のブランコを楽しみました! ブランコで揺れる感覚って、他ではなかなか味わえないですよね。
サポート付きシートに乗るときには、安全ベルトのようなパーツを足の間にあたる部分から上に持ち上げます。これには、少し力が必要。簡単に跳ね上がってしまい顔に当たるのを防いでいるそう(写真右から、株式会社コトブキの福田さん、中尾さん、科学コミュニケーター田中)

続いて2つめの遊具は、「オムニスピナー」。直径約2 mのお皿型の遊具です。みんなで内側を向いて座り、外にいる子が回転させて遊びます。座れば最大8人乗れますが、寝転がっても大丈夫。高さは、車いすから乗り降りしやすいように設計されています。

お友達同士で顔を見合わせて座れる「オムニスピナー」。お子さんがいない時間帯は、大人が物思いにふけるのにもぴったり?! (科学コミュニケーター綾塚)※オムニスピナーの主な対象年齢は3~12歳ですが、大人でも安全に楽しめます。節度を守ってご利用ください。
オムニスピナーに乗った綾塚の指示のもと、外側から回転させるために田中が走ります。運動不足の大人にはちょっと大変だけれど、子どもたちには大人気!

そして最後が「プレイポートワンダーインクルーシブ」。2つのすべり台が付いた、見るからに楽しそうな複合遊具です。スロープが付いているので、車いすのままアクセスできます。スロープの突き当たりには車いすが回転できる広めのスペースがあり、ここの壁には触って遊べる遊具も。ここからは、車いすに乗っている子も遊具の階段を伝い歩きや這っての移動でのぼり、すべり台を目指します。階段の高さは、乗り移りやすいように設計されています。普通よりも高めのこの階段は、小さい子がチャレンジしてのぼるのにもちょうど良さそうです。一番目を引く大きな青いすべり台「モーグルヒル」は、表面にでこぼこがあるので、すべるだけでなく這ってのぼることもできる遊具。23人で同時に遊んでも余裕のある広さです。「せーの」でお友達と一緒にすべったら楽しそう!

「プレイポートワンダーインクルーシブ」は、青い大きなすべり台「モーグルヒル」と緑の小さめのすべり台が付いた複合遊具。モーグルヒルは、這ってのぼることもできます。
入り口は、車いすのままアクセスできる、幅が広くなだらかなスロープです。
スロープの突き当たりは、車いすが回転できる広めのスペース。壁は触って遊べる遊具になっています。たとえば青い壁は、なみなみの部分で緑色の魚を動かして遊べます。右側の黄色い壁面の階段は、車いすから乗り移りやすい高さ。
「モーグルヒル」は、表面にでこぼこがあって、すべり下りるだけでなく這ってのぼる遊びも楽しめます(科学コミュニケーター綾塚)
モーグルヒルの裏は、優しい光が届く場所。たくさんの人がいる場所でパニックになりやすい子が、落ち着くためのスペースとして使えるように考えられています。

ひとつひとつの遊具に「みんな一緒に楽しく遊べるように」という思いが詰まっていて、インクルーシブ・プレイグラウンドはとてもすてきな場所でした! 童心に返りたい大人にもおすすめです!

「インクルーシブ」な公園って?

インクルーシブ・プレイグラウンドの名前にもある「インクルーシブ」。近年よく使われるようになってきた、「みんなを包み込む」とか「仲間はずれにしない」といった意味の言葉です。では、インクルーシブな公園ってどんなところなのかというと、ただ「だれでも安全に使える」だけの遊び場ではありません。ここまででもお伝えしてきたように、「みんなが一緒に楽しく遊べる」ことが大切。でもそれって一体どういうことなのでしょうか? 遊具を開発した株式会社コトブキのみなさんにお話を聞くと、2つのポイントがわかりました。

自分で遊び方を選べる

そもそも「遊び」とは、楽しいだけではなくチャレンジや冒険があるもの。自分にはちょっと難しいことにチャレンジしてできるようになる、というのも遊びの大切な要素です。だから、いろんな遊び方ができて「こっちの遊び方もやってみようかな」と一人ひとりが選択できるようになっていることが、すべての子どもたちにとって重要なのです。

いろんな子どもたちが一緒に遊ぶ、交流の場になる

また、「遊び」のもうひとつの大切な要素が、お友達との交流です。私たちはみんな、いろんな個性があり、それぞれの得意・不得意、できる・できないがあります。子どもたちはいろんなお友達と一緒に遊ぶことで、たくさんのことを学んでいます。ですが、たとえば先に紹介したブランコも、サポート付きのシートと普通のシートが別々の場所にあったらどうでしょう? たしかに誰でもブランコを使うことはできるけれど、交流は生まれず、今までとは別の形の「仲間はずれ」を生むかもしれません。だから、「一緒に」を実現する遊具が求められています。

日本では、こうしたインクルーシブな公園はまだできはじめたばかりです。導入を検討している自治体は少しずつ増えているそうなので、将来的にはわざわざ「インクルーシブ」と呼ばなくても、みんなが一緒に遊べる公園が当たり前になることを期待したいですね。

遊んでみたみなさんの声で、インクルーシブ公園が広まっていくかも!

インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園を管理する東京港埠頭株式会社の早貸秀樹さんは、「インクルーシブな公園が全国的に広がっていくためには、多くの事例を集めて発信していくことが大切」と言います。実際に利用した人の声から明らかになった優れた点を発信すれば、インクルーシブな公園が増えるきっかけになるでしょうし、改善点の発信は、より良いインクルーシブな公園のヒントになるでしょう。

未来館の目の前にできたインクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園は、2021725日までオープンしています。遊んでみた感想は、インクルーシブ・プレイグラウンド内に掲示しているQRコードを読み取ると送ることができます。みなさんの声が、みんなで一緒に遊べる公園を増やすことにつながるかもしれません。

インクルーシブ・プレイグラウンド in シンボルプロムナード公園で遊んでみたら、ぜひ感想を送ってくださいね。

【謝辞】
本記事を執筆するにあたり、取材にご協力くださった東京港埠頭株式会社の早貸秀樹様、株式会社コトブキの宮澤健一様、中尾敦様、福田英右様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

左から、福田さん、早貸さん、中尾さん、宮澤さん

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