みなさんは健康診断を受けたことはありますか? 年に数回、学校や職場、病院などで行う健康診断では、体重や視力、血液などの様々な指標から私たちの体の状態を調べます。そして、その結果をもとにして病気を早く見つけたり、予防したりします。
では2050年になったら、健康診断のかたちはどのように変わるのでしょうか?
「いきなり2050年の健康診断と言われても、まったく想像がつかないよ……」と思われた方もいるかもしれませんね。しかし、これまで解明されていなかった体の仕組みが分かったり、体の状態を日常生活で簡単に調べる方法が開発されたりと、現在進行形で医療の研究や取り組みが進められています。たとえば……
そう、時計のようにつけているだけで、心拍数や血中酸素レベル、心電図などさまざまな体のデータを、いつでもどこでも測ってくれるウェアラブルデバイスです。最近では、ウェアラブルデバイスによって得られた体のデータを医師の診断に活用する取り組みも進められています。
こういった新たな機器や診断方法が活用されていくと、決まった日時に決まった場所に行って検査を受けるという、これまで当たり前だと思っていた健康診断のあり方が変わる可能性があります。近い将来には、いつでもどこでも自分の体の状態を測り、診断を常時受けられるようになっているかもしれません。
4月から始まった科学コミュニケータートーク「ミライさんの健康診断 ~2050年の医療をのぞいてみよう!」では、そんな「こうなっているかもしれない未来の健康診断」を来館者のみなさんと一緒に考えていきます。このトークの主人公である「ミライさん」が健康診断を受けに行く様子を追いかけながら、現在行われている健康診断と医療の研究、そしてその先にある未来の健康診断を見ていきましょう。未来の健康診断が実現したら私たちの日常生活はどう変わるのか、その変化をみなさんは率直にどう感じるのか……。このトークをきっかけに、自分やみんなにとってより良い医療のあり方を考えてみてください。
保護者や教育関係者のみなさんへ
現在、国が行っている大型の研究プログラム「ムーンショット目標2」1)をはじめとして、病気や不調になるずっと前にその予兆を捉え、それらを未然に防ぐことができる未来社会の実現を目指した研究が進められています。
一方で、科学技術が進んで様々なことができるようになったからといって、それをすぐ社会に取り込めばいいかというと、必ずしもそうではありません。なかには、「体の状態を常に測られるのは、監視されている感じがして怖いなあ……」「個人情報が漏れてしまわないだろうか?」などといった懸念を抱く人もいるでしょう。科学と社会の関係を考える研究(科学技術コミュニケーション論や科学技術社会論など)では、将来実現するかもしれない科学技術について、その研究が進められている段階から、このような懸念も含めた様々な意見を取り入れていくことが大切だとされています。2)
……と言われると身構えてしまうかもしれませんが、誰もがどこかで関わることになる医療の先端研究を知り、その先にある未来社会のあり方を考えることができるこのトークに、ぜひお気軽にご参加ください!
1)内閣府 ムーンショット型研究開発制度 目標2「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html
2)奥本素子、種村剛 [著]. 『まだ見ぬ科学のための科学技術コミュニケーション ―社会との共創を生み出すデザインと実践―』. 共同文化社
科学コミュニケータートーク「ミライさんの健康診断 ~2050年の医療をのぞいてみよう!」
- 入館料のみでご参加いただけます。開催する時間・会場、参加方法については以下のページをご確認ください。
https://www.miraikan.jst.go.jp/calendar/talks-and-tours/talks/ - 学校団体を対象とした予約制のプログラムもございます。詳細は以下のページをご覧ください。
https://www.miraikan.jst.go.jp/visit/group/programs/