今日のごはん、明日のごはん~パート1「地球飯」を食べよう!

私は今朝、ピーナツバターのサンドイッチと砂糖・バターのサンドイッチを食べました。ちなみに、それはこのブログを投稿した 「今日」 だけではなく、おそらくあなたがこのブログを読む 「今日」 でもそうです。オランダ人として朝食をシンプルなサンドイッチにするのは普通ですし、私は習慣で生きている人間なのでトッピングすらも毎日同じのほうが楽だと思っています。

ちなみに、あなたは今朝、何を食べましたか? そして、お昼ご飯、晩ご飯は? なぜそれを食べているのでしょう?
人によって、食べているものはそれぞれちがいますよね。しかも好みやお金、国や地域の食文化など、食べものの背景は十人十色だと思います。でも共通点も一つあります。それは、食べものが食卓にたどり着くまでに(そして食べきれなかったらその後も)、必ず地球環境と人に何らかの影響があることです。

農地や牧場をつくるとき、作物や家畜を育てるとき、収穫や漁をするとき、加工するとき、収穫されたものや加工されたものを運ぶとき、食品を売るとき、食べるときに、環境と人にいろいろな影響があります。

例えば、もともとは森林だった場所を壊して農地がつくられます。作物をつくるときに温室効果ガスが出たり、農薬が駆除するつもりではなかった生きものや人間にも被害を及ぼしたりします。食品や食材を加工したり、運んだり、販売したりするときにも温室効果ガスが出ます。また、健康的な食生活にはお金がかかり、その余裕がない人は不適切な食事によって生活習慣病のリスクなどが高まります。

しかも、収穫から私たちに届くまでの間に、本来食べられるはずの食べものの一部が捨てられてしまい、食品ロスも発生します。食べものは、たとえ地球環境に悪影響があっても食べられさえすれば人の栄養にはなりますが、食品ロスになった食べものはただ地球環境と人への悪影響をおこしただけで終わってしまいます。また、それまでに費やされたエネルギーをすべて無駄にすることと同じです。

このような話を聞くと、何を食べても地球環境や人に悪影響があって、できることがないと思えるかもしれません。確かに、どこにもまったく影響をおよぼさない食べものをつくることはできません。また、現在の世界的な食のシステム(食べものの生産方法や食べものと私たちのかかわり方)は地球環境や人への負担が大きく、そのまま続けられません。

でも何もできないわけではないので、ご安心ください。影響をゼロにはできなくても、続けられそうなレベルまで影響を減らせばいいです。このように影響を減らした、環境にも人にもやさしいごはんを未来館では 「地球飯(ちきゅうめし)」 と名づけて、2024911日から129日までの間、「地球飯~Tasty, Healthy, Earth-friendly」 というという展示といくつかの関連イベントを開催しました。

食べものによって環境や人への影響は違う

では、いつものごはんを環境にも人にもやさしい 「地球飯」 にするには、どうすればいいのでしょうか? そこで、「食べものの選び方」 がヒントとなります。なぜかというと、食べものによって環境と人への影響は異なるからです。例えば、野菜と牛肉などの赤肉を比べてみると、赤肉の方は環境にも、食べている人の健康にも負荷が大きいことがわかります。

環境への影響と食べている人の体への影響を1から15までのランクで表してみました。1は環境・健康への影響が一番小さく、15は一番高いという意味です。環境の場合はランクが上がれば上がるほど環境への負担が大きいです。体への影響に関してはランクが高い食材を平均の人よりたくさん食べると病気のリスクが上がる一方、低い食材を平均の人よりたくさん食べると病気のリスクが減る(健康にいい影響がある)こともあります。環境と健康への影響を5項目ずつで比べると、すべての項目で野菜のほうが影響が低いことがわります。(この画像は 「地球飯」 での展示物の一つ、「食材の見方」 からとったグラフです。)

いろいろな食べものを比べると、たいてい動物由来のほうが影響が大きく、植物由来のほうが小さいです。だから、環境と人への悪影響を減らそうと思うと、動物由来の食べものをを少なくして、かわりに植物由来の食べものを多めにとることは有効な方法とされています。

「タンパクシフト」 しよう!

ただ、野菜だけではもちろん生きられません。野菜にはビタミンなどが多めに入っていますが、タンパク質などはあまり入っていません。タンパク質も体に大事な栄養で、特に動物由来の食べもの、豆類、ナッツに入っています。今はタンパク源として動物由来の食べものに頼っている人も多いと思いますが、環境と人への影響を減らそうと思うと、タンパク源を動物由来の食べものから豆類やナッツへシフトしたらよさそうですね。

そしてお肉好きの皆さん、動物由来の食べものでも影響に差がありますよ! とり肉やたまごの影響は、たいてい赤肉や加工肉より小さいです。ですので、完全にベジタリアンにならなくても、食べるお肉の種類をシフトさせることで影響を減らすことができます。このように、タンパク源を赤肉からとり肉へ、動物から植物へシフトさせることを未来館の 「地球飯」 展示では 「タンパクシフト」 と呼んでいます。皆さんもタンパクシフトをしてみませんか?

「フードロサナイ」 しよう!

ちなみに、ふだん食べているごはんを環境にも人にもやさしい 「地球飯」 にする方法はほかにもあります。それは、せっかくつくった食べものを捨てて無駄にする 「食品ロス」 を避けることです。

日本では、食品ロスの半分以上は私たちの家でおきています。農場、輸送、工場、お店など、食品をつくる過程が進めば進むほど温室効果ガス排出などの影響も積み重なり大きくなるので、例えば農場を出ていない段階で捨てられる食べものよりも、私たちが家で捨ててしまう食べもののほうが影響が大きいことになります。だから、農場や工場ももちろんですが、特に私たち消費者が食品ロスを減らすことで、環境への影響を減らすことができます。「地球飯」 展示では、英語の “food loss” (フードロス)にちなんで、食品ロス削減を 「フードロサナイ」 と呼んでいます。

これからもおいしいごはんがずっと食べ続けられるように、環境にも人にもやさしい 「地球飯」 をみんなで食べてみませんか?



このブログを読んで、地球飯を試してみたいと思った方、ぜひパート2 「地球飯」 を作ろう! もあわせて読んでみてください。料理研究家のコウケンテツさんと料理家・管理栄養士の長谷川あかりさんが未来館での 「地球飯」 展示のために発案してくれたお料理を紹介します。
また、「地球飯」 展示を訪れた方のコメントやご意見が気になる方はパート3 「地球飯」 を考えよう! がおすすめです。
「地球飯」 展示を見たい方、未来館では公開終了しましたが、これから連携先の科学館に貸し出しますので、お近くの科学館にあるときにぜひ見に行ってください。「地球飯」 を展示する予定の科学館や開催する時期などの詳細はパート3 「地球飯」 を考えよう! に掲載します!

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