私たちが毎日食べているごはんは環境や人にいろいろな負荷をかけていて、今のままでは続けられません。そこで、負荷を減らしてずっと食べ続けることができて環境にも人にもやさしいごはんを 「地球飯(ちきゅうめし)」 と名づけて、2024年9月~12月に未来館で展示を実施しました。このブログでは、展示を訪れた方々の 「地球飯」 に関するコメントやアイデアを紹介します。
「地球飯」 とは何なのか、なぜ必要かについて知りたい方は、ぜひこのブログのパート1 「地球飯」 を食べよう! を読んでみてください。
具体的な地球飯レシピがほしい方は、パート2 「地球飯」 を作ろう! をどうぞ。
このブログのパート2でご紹介したコウケンテツさんの 「彩りレンジナムル」 のレシピのように、自分が楽になるようにしたらついでに環境にも優しくなることもありますし、長谷川さんのカブまるごとパスタのレシピのように、「フードロサナイ」 など一つの戦略に注力しながらも個人的な好みや価値観を守ることもあります。
皆さんもきっとそういう考え、アイデア、自分の価値観があると思います。そこで、展示を訪れた皆さんに 「いつものごはんを地球飯にするために、どんなことができそう? そのときに、あなたが大切にしたい気持ちも教えて!」 と聞いてみました。すると、なんと1800件以上ものコメントをいただきました! すべてをご紹介することはできませんが、参考になりそうなものをいくつか選んでみました。
お店での工夫、かしこい買いもの
このようなコメントを見ると、消費者として私たちにできることはいろいろありそうだとわかります!

食べきる量を買う
包装の少ない買い方をする
特に野菜などは包装なしで売られることが多いですね。私もそちらを優先するようにがんばっています。
買いだめをしない。
賞味期限の近いものから食べる。
賞費期限が切れてても、食べられるなら、食べる。(笑)
パンのみみを残さないようにします!
えびも丸ごと食べよう!!!
えびは頭もしっぽも食べられるということですかね。
ちなみに、消費期限と賞味期限のちがいはご存じですか? 「消費期限」 は 「このあと腐ってしまう可能性が高いので食べないようにしましょう」 という意味で、「賞味期限」 は 「一番おいしくいただけるのはこの期限までです」 という意味になります。つまり、「消費期限」 が切れたものを食べるのは危ないですが、「賞味期限」 は期限を過ぎてもすぐに捨てる必要はありません。味が保証されないだけです。このコメントを書いた方もおそらく 「消費期限の近いものから食べる。賞味期限が切れてても、食べられるなら、食べる。」 というつもりで書いたと思います。
・売り切れても許せる広い心。
・他のものを買いフードロスをへらす!いろんなメニューを。
広い心も地球飯につながるなんて、このコメントを見て初めて気づきました。私もこのように考えるようにしようと思います。
ついつい野菜を買ってダメにしてしまうので、食べつくせるメニューを考える。全部食べてから買う。
おいしいレシピも考えたいな。
確かに、レシピに 「〇〇を1/2」 などとあると、残り物には気をつけないとダメになってしまいますよね。個人的には残りの1/2をどうするかわからないと 「じゃあ、全部入れよう!」 という雑なやり方をしますが、おいしさを優先するとそれも難しい場合がありますね。悩ましいです。おいしい 「フードロサナイ」 レシピはもっとあればいいですね……。
お店や食品の作り手ができる工夫
消費者だけではできませんが、お店や食品の作り手ができそうなアイデアもありました。これを見ると、個人だけではなく、社会全体として取り組む大切さが感じられます。

賞味期限の近い食材を定価より安く販売し、ロスを減らすアプリを広める。
お得になるなら、食べられる限りは消費期限が近いものを買いたくなりますよね。このような、がんばらなくても、我慢しなくてもいい、むしろ生活を支えるような取り組みの可能性は大きいと思います。
ごみのでないパッケージ
昔の給食や銭湯の牛乳瓶など、再利用できる包装だとこれができそうですね!
外部に傷が付いてしまった商品=「売ることができない」という定義を根底から覆す。
外部に傷が付いたところで中身に影響は無いため、スーパーなどでどんなに安くしてでも売り切るべき!
外国人として日本のスーパーの野菜などが完璧すぎると思ったことはあります……。確かに、きれいに見えるほうを買いたくなりますが、中身に問題がなさそうであれば、少しでも安くなるなら傷がついたものも買いたいですよ!
バイトの食材を切りまちがえないようにする‼
まちがえちゃっても、まかないで食べる
確かに仕事場で、食べものを提供する側にもできることがありますね。そういう風に見てみると、私たちの立場は消費者に限らないんですよね。例えば、私は未来館の環境負荷を減らそうとしているサステナビリティ推進チームに所属していて、その立場からもがんばっています。
料理の工夫
買いものだけではなく、料理するときのいろいろな工夫を提案する投稿もありました。

フライパンを使った後、洗剤をたくさん使って洗うことありませんか? 洗剤をつかう前に、何か利用しませんか? お肉や野菜、お魚を焼いたり、いためたりした後、フライパンで、ご飯を使ってリゾットを作りましょう。美味しいリゾットが出来ますよ。洗剤を使う量を、減らせます。環境にやさしい料理と後片づけでした。
リゾット大好きな人より
ちょっとリゾットを食べたくなりました……。
くだものをもっと食べるようにし、野菜もジュースにしてみる。あたしは好嫌いが多いのですが、そうします。
この方は自分にとってできることを考えて工夫していますね。
調味料はできるだけ作る
牛丼であればやき肉のタレではなくさとう、しょうゆ、みりん等...
日本食には放置すると腐ってしまう液体調味料はたくさんありますよね。基本的な材料を使って自分でつくると余らせてしまうことも少なくなるうえ、自分の好みにも合わせられます。
手羽先の骨を煮ると美味しい鶏出汁になるよ!
ラーメンにぴったり
ふだんは捨ててしまう部分を活用する具体的なアイデアですね。手羽先もラーメンも好きな皆さん、試してみませんか?

期限が怪しくなったら、漬ける(しょうゆ、油、香辛料)、→冷凍、(肉類)
野菜もカットし、冷凍。冷凍したら、前に入れたものを解凍し調理するなどしてたりします。
芋類は暗所でけっこうもちます。
腐りそうな食べものを処理するのは、最初は手間に感じるかもしれません。でも腐らせてしまうと、お店に行く手間も支出も発生すると考えると、やっぱり漬けたり冷凍したりした方がいいと感じました。
ちなみに、私は主食がジャガイモのオランダから来た人間なのですが、ジャガイモは実家のパントリー(かなり暗いところ!)に数週間保管しても問題ないことを経験上、知っています。
平日のおかず 根菜類の煮物 余ってしまいがちなので、休日にこまかく刻んで、チャーハンや上にチーズをのせてグラタンにしたりしていますが、子どもには又、あまりものでー…と声が出ますが、栄養満点でなんだかんだ言って食べてくれます!
余りものといっても、グラタンになったらとてもおいしそうです!
全部食べる
食品ロスを削減する方法として、「全部食べる」 ことはかなり人気のようです。

残さず食べて
フードロス削減する!
おいしい!
食べものを残さないようにしようというコメントを多く見かけました。誰にとっても簡単にできそうなことですね。
「タンパクシフト」
「地球飯」 展示で 「タンパクシフト」 と名づけた、食べているタンパク質をより環境に優しいものにする戦略を考えてみると、例えばこんなものが出ました。

肉を食べる時は豚肉か鳥肉にして、週1~2回に減らしてタンパク質はまめ類からとるようにします。
確かに、豚肉は牛肉より環境と健康への負荷が小さく、とり肉はさらに少なくなります。そして豆など植物性のタンパク質は、お肉など動物性のタンパク質より負荷が小さくなります。環境と健康を大事にしているいわゆる 「プラネタリーヘルスダイエット」 も、完全にベジタリアンではないですが、主に植物由来のタンパク質を食べることを重視しています。
培養肉の様な技術をより発展させ、低コスト低負荷で栄養をとれるようになる。(味はおいしいとうれしい)
この方は、おいしさより安さを大事にしているようです。(個人的に共感できます。)これからも、私たちの食べものをより地球飯にしやすくする新技術に期待しています!
外食・コンビニ食品に関するアイデアやコメント
自炊と比べて、外食するときやコンビニで食べものを買うときの工夫を考えるのは難しいと思いますが、こちらのアイデアやコメントは参考になるのではないかと思います。

飲食店のロスを減らすため、大盛り小盛り、食べられない物などお客さんとコミュニケーションをとってちょうどいい量を出せるようにする。
食べものを提供する側、食べている側、お互いのコミュニケーションや協力から食品ロス削減の可能性が見えてきますね!
お肉を食べる量をなるべく減らしたいけれど、レストランに行ってもヴィーガンメニューやベジタリアンメニューを見かけることがあまりなくて、肉を選ばざるをえないことがよくあります...
そうですね……。個人的には自炊をできるだけベジタリアンにして、たまに外食するときに罪悪感なくお肉が食べられるようにしていますが、外食するときにお肉のない選択肢もほしいのはよくわかります。
忙しくてコンビニ飯ばかりですが、おはし・スプーンを断るところからはじめてみよう
自分にできることから始めるのはすごくいいと思います! がんばってください!
その他
これらのコメントや悩みもぜひ皆さんに共有したいと思います。

食べる時に環境を気にしなくていいように「電気をこまめに消す」など普段から環境を意識する。それで浮いた環境分を美味しい物を食べるのに使う
世界中の温室効果ガス排出の3分の1は食べもの関連だと考えると、電気を消すことだけで食べるときに環境を気にしなくていいようにするのは難しそうですが、この人は何ががんばれるか、何が譲れないかをきちんと考えてくれているようです。
自生している植物をたべてみる。
外に生えていたノビルいがいとおいしかった。
面白そうです! ただ毒のあるものとまちがえたり、採取してもいい場所かどうかは気をつけましょう。
スーパーで売っている牛肉
フードロサナイ 買った方がいい
タンパクシフト 買わない方がいい
どっち!?
あ…
ぐうの音も出ません。
ただ、お店はあまり売れていない物の提供量を減らすはずので、最初は食品ロスにつながるかもしれませんが、最終的に買わないほうが環境にいいのではないでしょうか。健康の視点からも、牛肉をたくさん食べないほうがいいです。
終わりに
来館者の皆さんのコメントから、いろいろなアイデアや考え方が見えてきました。それぞれが自分なりに考えたり悩んだりしながら、工夫していることがわかりますね。自分が一人できることもありますし、社会、企業、アプリなど、他の人たちが組織的にしてくれると助かることもあります。ずっとおいしい地球飯が食べ続けられるように、自分なりの工夫からはじめましょう!
「地球飯」 展示を見たい方、未来館では公開終了しましたが、これから連携先の科学館に貸し出しますので、お近くの科学館にあるときにぜひ見に行ってください。下記の科学館に展示する予定です。
- 2025 年 6 月 7 日~7 月 12 日 体験型子ども科学館O-Labo(大分県) https://kodomokagakukan-olabo.jp/okf/
- 2025 年 8 月 1 日~8 月 17 日 向井千秋記念子ども科学館(群馬県)https://www.city.tatebayashi.gunma.jp/kagakukan/
- 2025 年 8 月 30 日~10 月 19 日 仙台市科学館(宮城県) http://www.kagakukan.sendai-c.ed.jp/
- 2025 年 11 月 1 日~11 月 30 日 サイエンスヒルズこまつ ひととものづくり科学館(石川県) https://science-hills-komatsu.jp/
- 2025 年 12 月 6 日~12 月 13 日 津幡町こども科学館・津幡町教育委員会(石川県) https://www.town.tsubata.lg.jp/page/1651.html
- 2026年 1 月 17 日~2026 年 2 月 23 日 高崎市少年科学館 (群馬県)http://www.t-kagakukan.or.jp/
※これらの科学館では、このブログで紹介したような来場者のコメント投稿はなく、展示パネルのみとなります。
【番外編】
こんなコメントもありました。面白かったので皆さんに共有します。

つくり置きは忘れずに冷凍させる。
無駄なデートはしない。
なぜなら一人前を食べきれないと残しちゃうし、食べてもらうのはそれはそれで気まづい。
この方は食べる量が少なくて一人前が食べきれないのか、相手が途中で出ていこうとして残した食べものはどうするか困った経験があるのかわかりませんが、どの場面でも食品ロスを意識していることに感動しました。(今度、デートが無駄にならずにうまく行くといいですね!)
フードロスを撲滅する。
無駄をなくすことで地球飯化する
規格外野菜をとっても綺麗に下処理する魔法
きゅうりがキレイに切れた!!!
私もこの 「規格外野菜をとっても綺麗に下処理する魔法」 を習得したいです! しかも、絵もお上手です!
居酒屋で全メニュー制覇とかしない
無駄に食べるのをやめたら、つくる食べものの量とその環境負担も少なくてすみますね。お腹もいっぱいになりすぎなくてきっと喜びます。
ミクロ視点:必要な分だけ買って、残さず食べる。
マクロ視点:生産量・漁獲量等の総量規制
余った食材の肥料化。
マグロ視点:泳ぐ、死ぬまで。
……視点を変えると本当に見方が変わりますね。(笑)????