ロボット好きの科学コミュニケーターがボランティアワークショップ「ロボットを動かそう!」を見学してみたのでレポートしたいと思います

みなさんはロボットで遊んだことはありますか? 未来館ではボランティアさんによる「ロボットを動かそう~ロボットを改造して障害物を乗り越えよう~」というワークショップを定期的に行っています。私は子どもの頃からロボットが好きで、「このワークショップ、楽しそうだなぁ~」といつも思っていたところ、今回、見学させてもらうことができました!

今日はその報告をしたいと思います。でも、ネタバレになっちゃうので細かい改造内容は内緒です。

完走を目指してロボットを改造しよう! ~そしてより速く~

参加者のみなさんには、レゴマインドストーム(※)EV3の車型ロボットをうまく改造し、4つの障害物(でこぼこ道、トンネルゲート&橋、砂利道、ピラミッド)を乗り越えながら、コースのゴールを目指してもらいます。完走できたら次にゴールまでの時間を測るので、どう改善したらより速くゴールできるかに挑戦します。 

ワークショップ全体の時間は2時間30分です。

参加者は1回のワークショップにつき8人までで、子どもだけでなく大人も参加できます。今回の参加者は、小学4年生 5人、親御さんを含む大人3人、の計8人でした。

サポートしてくれるボランティアさんは5人です。ボランティアさんはみなさんロボットに詳しかったり、ロボットが好きな方々ばかりです!

何でもやっちゃう頼れる人たち ~ ボランティアさん ~

準備は、ボランティアさんが全部行います。私も午前中の準備から参加しました。

図1:会場設営やロボットの動作確認などの準備を行うボランティアさんたち

準備の内容は

・机や椅子、障害物や走行コースなどの設営

・ロボットの動作確認、部品チェック

・ワークシートや筆記用具の準備

などです。

ワークショップ終了時には参加者のみなさんにロボットを最初の状態に戻してもらうのですが、やはり部品が元と違う場所についていたり、長さや大きさの違う部品がついていたりするものもあります。それらを確認して元に戻すのも全部ボランティアさんのお仕事です。

図2:ロボットの部品の違い

こんなに細かいところまで全部元に戻してくれているんですねー。

そんなこんなで、すっかり準備が整いました!

図3:準備完了!

失敗したっていいじゃない ~ 改造チャレンジ開始 ~

ワークショップの時間になり、参加者が続々と教室に入ってきました。席は決まっていないので好きなところに座ることができます。 みなさんが席に着いたことを確認すると、その日の進行担当のボランティアさんがワークショップの概要とロボットの動かし方、そして注意事項を5~10分ほどで説明します。

その後は、もういきなり実験開始です。

図4:基本ロボット

まず、テーブルの上や走行コースのを使ってロボットを走らせてみます。しかし、基本設定のロボットではうまく障害物をクリアできません。そこで、ワークシートを使って、「何が問題か」、「どう改造したらよいか」 などを考えていきます。

ボランティアさんから 「まず、ロボットをよく観察してみよう」 という指示がありました。

初めのうちは「観察」というところで、ロボットとにらめっこしながらどうしたらよいか考えてばかりで、手が止まってしまっている参加者がほとんどです。そこでボランティアさんが 「とにかく改造して走らせてみよう。」 「全部いっぺんに変えずに、一つずつ検討してみよう。」 とアドバイス。ヒントや仕組みの説明をちょっと多めに伝えながら、先に進めるようにしてくれます。

すると、徐々に子どもたちが動き始め、各所に置いてある障害物で走行テストを始めました。たいてい最初は失敗するので、ボランティアさんがサポートしつつ改造をうながす、という感じで、子どもたちはどんどんロボットをブラッシュアップしていきます。失敗と成功を繰り返すことで、ロボットの仕組みや性能改善の手法を覚えていく良い経験になっていますね。

図5:走行テスト

一方、大人たちはというと、やっぱり手が止まっているわけで……。 とうとう、ボランティアさんが少しずつ「良い改造」の例を教えてくれるようになります。

一回先に進むと、そこからは大人も子どもも試行錯誤を繰り返し、どんどん改造していきます。改造が上手くいってコースを完走した人たちも、記録を上げるために更に検証して改造を進めていきます。周りを見ながら、ちょっとだけ参考にして真似してみたり、完全に独自路線で改造したりと、みなさんいろいろチャレンジしながら楽しんでいました。そう、成功のためにはチャレンジが大事なんです!

ちなみに、この日のコース完走最速記録は18秒でした。「30秒で完走できれば速いほうだよ」とボランティアさんが言っていたので、18秒はかなり速いと思いました。

みなさんへのインタビュー ~ 興奮冷めやらぬ子供たちとボランティアさんの熱い想い ~

終了後、ワークショップに参加したみなさんに感想を聞いてみました。

まず子どもたちに聞いたところ、みな 「ロボットを改造するのがとても楽しかった」 と興奮気味に話してくれました。

楽しかったところや工夫したところを聞くと

「ボランティアさんからヒントをもらって、倒れにくくなるよう考えながら改造したら最速が出せた。」

「部品を付け替えたりするのは難しかったけど、タイヤの代わりにギアを使ったりと、技術的なところを新しく生み出せるのが楽しかった。」

など、なかなか専門的な回答がありました。すごい!


ボランティアさんにもインタビューしました。

まず、このワークショップで楽しいところは?と聞いてみたところ

「子どもたちが上手くいっても失敗しても、楽しそうにしてくれているのを見るのが好き。」

「みんなでワイワイ言いながらいろいろ実験できるところ。」

などの回答がありました。 その他にも、

「達成感をもって、楽しかったと思って帰ってもらえるようにしている。」

「たとえ完走できずとも、工夫した部分をちゃんと見てあげるようにしたい。でもちゃんと完走するようにサポートします!」

など、目的をもってしっかりサポートしてくれているのがわかるコメントをもらいました。熱い想いが伝わってきます。

思いもしなかった工夫をしてタイムを上げる子どももいて 「あの改造は考え付かなかった、原理はどうなっているのか調べたい。」 と、エンジニア魂に火がついていたボランティアさんもいました。

 

やはりワークショップの良さは参加してみてわかるものですね。

自分でロボットを改造することで仕組みや技術を理解すると、ただ答えを教えてもらうだけのときよりも知識がしっかり記憶に残ります。それが楽しければなおさらです。このワークショップでは、子どもの頭の柔らかさとボランティアさんの経験との相乗効果が、より良い結果を生み出しているなぁ、と感じました。

今後もこのようなイベントを通じて、未来を担う子どもたちの成長をサポートしていける未来館でありたいと思いました。

 

さいごに私の感想ですが、「とても楽しかった!」 のひとことです。参加者のみなさんが楽しそうに改造をしているのを見て、私もどんどん楽しくなってきてしまいました。

みなさん、ぜひこのワークショップに参加してみてください。将来、ロボット開発の研究者になるきっかけになるかもしれませんよ。

※レゴマインドストームとはLEGO社のロボットキットの名称で、このワークショップではレゴブロックを使ってつくった車型のロボットを使用しています。

レゴ、及びレゴマインドストームはLEGO社の登録商標です。

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