【速報】 2014年イグノーベル賞は、バナナとソーセージ

こんにちは!科学コミュニケーターの堀川です。

今年もイグノーベル賞 (リンクは削除されました)を担当します!

(去年は一人イグノーベル隊 (リンクは削除されました)で寂しい限りでしたが、今年は二人に増えました!)

さて。本日、日本時間9月19日7時からイグノーベル賞の発表&授賞式が行われました。

ちょうどその頃、寝坊した私は、朝ご飯にバナナを食べておりました。

すると、同僚の科学コミュニケーター・古澤 から1通のメールが。

「日本人受賞したようですね!物理学賞で、バナナの皮の摩擦の研究・・・」

えーーーーーー
というわけで、今年のイグノーベル賞。テーマは"Food"。食べ物です!

では早速、受賞内容をご紹介していきます。

物理学賞 「バナナの皮がなぜ滑るのか、科学的に実証」

うぁ~!
とバナナの皮で滑るのは世界共通なんですね。(感心するのはそこではない)

物理学賞を受賞したのは、北里大医療衛生学部の馬渕 清資 教授(日本人のイグノーベル賞受賞はこれで8年連続!)。靴、バナナの皮、床の間の摩擦係数を測定し、靴でバナナの皮を踏むと、皮の内側からしみ出た液体が潤滑効果を生み出していることを実証。

なぜ医療工学を専門とする馬渕先生がバナナの皮を調べたのか?

馬渕先生は、関節、人工関節に関するご研究をされています。

北里大学 生体工学研究室(https://www.kitasato-u.ac.jp/ahs/ce/seitai/) (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

確かに、バナナの皮のようにスムーズに滑れば、関節の痛みも減りそうです。関節の研究が、バナナの皮が滑ることを証明することに繋がっていくところがユニークですよね。日本人の受賞ということで、すでに多くの記事が出ています。

時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2014091900136 (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014091901000814.html (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

馬渕 先生、おめでとうございます!!

栄養学賞 「赤ちゃんのうんちを使ったプロバイオティクス・ソーセージ」

トイレの企画展を開催中 の未来館としては、こちらの研究も外せません!

ここからはうんち姉さんとして、さらに張り切ってまいります。

栄養学賞は、乳幼児の糞便細菌(乳酸菌)で発酵ソーセージをつくる研究で、スペインの研究チームが受賞。もちろん、授賞式ではそのソーセージが振る舞われていました。

※もちろん、うんちそのものをソーセージにしたわけではないのでご安心を。
この研究チームの発表論文(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24290655) (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)によると、

(残念ながら無料で閲覧できるのは、冒頭のAbstractまでですが)彼らは、乳幼児の糞便で確認されている109種類の乳酸菌の中から発酵ソーセージ作りに適する菌種を3つ厳選。

どのような基準で試験を行ったかというと・・・

まずは、ソーセージづくりの過程で死なずに、よく育つ種類を選抜。そこから、それぞれの菌種の機能、安全性などを確認。

特に、有用な乳酸菌を生きて腸に届けるには、人間の体内に取り込まれてから、胃酸(酸性)や胆汁(アルカリ性)、そして消化酵素に耐えられる菌でなければなりません。このストレステストを含め、複数のチェック項目を突破できたのが6つの種類の乳酸菌。

そして、発酵ソーセージづくりにおいて最も重要な、発酵を開始するスターター微生物として、最終的には3つの乳酸菌が有効であることが確認されました。

ところで・・・食品の中でも、なぜ「ソーセージ」を選んだのでしょうか??やっぱり赤ちゃんの腸内細菌とソーセージ(腸詰め)という腸つながり?

発酵ソーセージというと、日本ではあまり聞き慣れないかもしれませんが、ヨーロッパでは微生物(細菌、カビ、酵母)を利用した発酵食肉製品が古くから多くあり、日本でもお馴染みのサラミは、カビの摂取後に発酵をさせるドライ・ソーセージのひとつだそうです。(こちらを参照しました http://topics.foodpeptide.com/?eid=767809) (リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

(果たして、この発酵ソーセジでどれほど快便になったのか?は引き続きリサーチします!)

毎年目が離せない!イグノーベル賞

人々を笑わせ、考えさせる、ユーモアのある研究に贈られるイグノーベル賞。
冒頭でお伝えした通り、今年は「食べ物」をテーマに10の賞が発表されました。

一覧は以下の通り(古澤まとめ:イグノーベル賞の公式ツイッター@improbresearchを参考に和訳しました)。


物理賞:バナナの皮が滑ることを実証(靴、バナナ、床の間の摩擦係数を測定)

神経科学賞:トーストに描かれたイエス像を見たとき、ヒトの脳はどう反応するか

心理学賞:夜更かしと精神疾患の関係性

公衆衛生学賞:猫を飼うことは精神衛生上、危険か否か

生物学賞:イヌの排泄は地磁気に合わせて行われる

芸術賞:レーザーを当てられた状態で醜い芸術を見た時の苦痛の測定

薬学(医学)賞:塩漬け豚肉(ベーコン)を鼻に詰め鼻血を止める

経済学賞:イタリアの統計局、売春や麻薬販売と経済の関連

北極研究賞:ホッキョクグマへの変装に対して、トナカイがどう反応するかを調査

栄養賞:乳幼児の糞便細菌を利用した発酵ソーセージでプロバイオティクス


最後に今日、私がこのブログを書くために応援してくれた同僚の皆に感謝します。

今年は寝坊しちゃったけど、鼻にベーコンをつっこんだり(荒療治すぎやしませんか)、オペラをやったりと様々なパフォーマンスが行われたイグノーベル賞のセレモニー。来年こそは見逃せませんな!

以上、ごちそうさまでした!

いえ、おそまつさまでした!

おおっと!大事な、大事なお知らせを忘れていました!

【ノーベル賞】は10月6日の生理学・医学賞の発表を皮切りに、順次発表される予定です。

未来館では毎年恒例となりましたノーベル隊が、すでに自然科学3賞「生理学・医学賞」、「物理学賞」、「化学賞」の予想ブログ&予想ミニトークの活動をしております!

(堀川も今年は本家・ノーベル隊に参入しております。こちらもよろしくお願いします!)

発表当日には、各賞のチームが速報ブログを執筆します!ぜひお楽しみに!

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