葉っぱの中には空気がいっぱい(光合成チャレンジ結果発表もあるよ)

夏休みのイベントにて、とある実験をお見せしました。

何をしているところでしょうか?

葉っぱは実験材料、メインは手前のピストンです。

この実験は夏休みに実施したワークショップ「日光を手に入れろ!光合成チャレンジ」にて行ったものです。

そうなんです、みどりの科学コミュニケーター、ゴールデンウィークにひき続き、夏休みも活動していました!!

ゴールデンウィークに行った3つのイベントをすべてバージョンアップさせて夏休みに開催しました。

日光を手に入れろ!光合成チャレンジ

発泡スチロールの芯を幹に見立て、針金のついた葉っぱを自由に刺して、効率よく光合成できる植物をデザインするワークショップ。決められた数の葉っぱを使って、真上から見た時にいかに面積を多くとることができるかを競います。詳しい内容はゴールデンウィークの様子もご覧ください。

今回も期間中の参加者全員分のデータを画像解析し、ランキングを作成したので、全参加者のトップ3を紹介したいと思います。

参加してくれた皆さま、お待たせしました!

まずは総合3位...みどりネーム「wanko」さん!

総合2位...「ジェラ」さん!!

そして見事、光合成チャレンジ夏の陣を制して1位に輝いたのは...

「ナイトウ」さんです!!

見事ですね!葉っぱを効率良く使って枠一杯に緑が広がっています。

このワークショップでは植物の「葉っぱの付き方」に注目して、光合成効率の良い植物をデザインしてもらいましたが、実は植物の光合成への工夫は「葉っぱの中」にも隠されているのです。

ここで、葉っぱの断面図を顕微鏡で拡大した写真を見てみましょう。

葉っぱの断面図(写真提供 矢野博士)

上の方は細長い細胞、下の方は粒々の細胞と空気の隙間。

そう、この葉っぱの内部構造こそが光合成の効率をアップさせる秘訣なのです!!

その秘訣はゴールデンウィークのブログにて紹介していますのでぜひご覧ください。

今回のワークショップでは構造の秘訣を紹介したあと、実際にこの葉っぱの中の空気を見てみる実験をしました。

ここからが冒頭で紹介した実験です。

まずは、10mlシリンジ(針なしの注射器)に葉っぱと水を入れて、余分な空気をすべて抜きます。

そして、シリンジの出口を指で押さえたまま、

なんと、葉っぱから空気が!!

最初に余分な空気は追い出して、入口は指で塞いでいたので、この空気は紛れもなく葉っぱの中にあったものです。

さらに、実験後の葉っぱを、元の葉っぱと比べてみると...

な、なんかスケスケになっている!!!

光の屈折率は、大きい順に細胞>水≫空気となっています。

実験を終えると、空気が入っていた部分に水が入りました。水は屈折率が細胞に近いため葉の中での乱反射が少なくなり下の文字が透けて見えるようになったのです。

空気と細胞の屈折率が違うため、葉っぱの中で光が乱反射していたことがよく分かる実験でした。

実際に目の前で空気が出てくるところを見た参加者からは「おぉ!!」という感嘆の声があがっていました。

そんな声を"ドヤ顔"で聞いていた髙橋ですが、実はこの実験、今年度みどりの学術賞を受賞された寺島一郎先生から直々に教えていただいたものだったのです。寺島先生についても以前のブログでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

「光合成チャレンジ」の他にも、2つのみどりイベントを実施していました。そちらの様子もチラリとご紹介しますね。

Geo-Scopeと夏休み(プランクトン観察もあるよ!)

Geo-Scopeはさまざまな科学データを呼び出して、世界地図に重ねて表示させる展示です。ふだんは3Fの常設展示場のみにありますが、このイベント期間中はGeo-Cosmosをぐるりと回るスロープの一角に特設会場を作り、そこにもGeo-Scopeを置いて特設会場をつくりました!来館者の皆さまには、Geo-Scopeを操作して、気候の変化や海の植物生産を眺め、私たちと生物とのつながりを実感してもらいました。

会場には本物の植物プランクトンもやってきて、顕微鏡を使った観察会が行われました。

顕微鏡で見たプランクトンを図鑑で検索中
植物プランクトン(ケイソウの仲間)
動物プランクトン(カイアシ類の子ども)

キミは生き残れるか!?-植物のかけひきをゲームで体験

こちらの巨大なシートの上で、子供たちには植物になりきって4つのミッションに挑戦してもらいました。

4つのミッション

  1. 育ちやすい場所に種をとばせ!
  2. 花を咲かせろ!
  3. 花粉をとばして種を作れ!
  4. できた種を育ちやすい場所にとばせ!

ミッション2は、体力カードと引き替えにくじを引いて花を咲かせます。時には運が生存を左右することもあるんですね(自然界って厳しい...)。

ミッション2:くじ引きで虫を引くと、お花は咲きません...。

見事最後まで生き残って種を残せた子には、みどりの科学コミュニケーターから認定証が授与されました。

そして、終わった後は本物の種を眺めたり、紙でそっくりさんを作って、飛ばしてみたり...。

みんなゲームが終わったあとも種の仕組みや植物の生き方に興味津々でした。

この夏もたっぷりとみどりにふれあった、みどりの科学コミュニケーター。

みなさんはふだん、植物とどのように付き合っているでしょうか?イベントに来てくれたお客様の中には、自分でも植物を育てているという方がたくさんいらっしゃいました。中には夏野菜を収穫したよ、なんて声も。

すごいな~。

私は通勤の道すがら、ひたすら木が作ってくれる影を選んで歩いていました。そう思うと、この夏はとてもお世話になったなぁ...。

これからも身近なみどりの変化に注目してみてくださいね。

関連Webサイト

東京大学大学院 植物生態学研究室(寺島先生の研究室) (リンクは削除されました)

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