これからの「おやこ」のかたち ~第三者が介入する生殖補助医療を考える~

みなさんにとって「親子」とはどんなものですか?

人の生命は受精卵から始まります。その受精卵を作るのは精子と卵子です。誰の精子や卵子から生まれたのか、あるいは誰のお腹から生まれたのか?と問われたら、多くの人は「親」と答えるのではないでしょうか。

みらいのかぞくプロジェクトでは、精子・卵子の提供や代理母出産など「第三者が介入する生殖補助医療」をテーマに、親子について考えるトークイベントを開催します。

キック・オフヒト受精卵へのゲノム編集出生前検査に続き今回で4度目となるトークイベントですが、今回はニコニコ生放送という新たな形での開催です。


◇タイトル
これからの「おやこ」のかたち ~第三者が介入する生殖補助医療を考える~

◇日時
2017年4月18日(火)19:00からニコニコ生放送で放送(20:30終了予定)
※事前にタイムシフト予約をすれば、放送時間終了後にもお楽しみいただけます。

◇出演
苛原 稔 氏(徳島大学大学院産科婦人科学分野教授)
武藤 香織 氏(東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授)
田中 健(日本科学未来館 科学コミュニケーター)

◇番組視聴アドレス
https://live.nicovideo.jp/watch/lv293244068(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)


生殖補助医療とは、自然な受精では子どもを授かることが難しい場合に、人工授精、体外受精、顕微授精などにより子どもを授かる手助けをする医療のことです。

では、そこに"第三者"がどのように介入するのかというと・・・

例えば、精子提供。医学的な理由によりご自身の精子では受精が難しい場合に、第三者から精子を提供してもらう方法(非配偶者間人工授精(=AID))です。この方法は日本でも40年ほど前から実施されており、すでに2万人以上が誕生していると言われています。しかし、精子提供者は基本的に匿名とされているため、生まれてくる子どもは事実を知らずに育ち、大人になってから何かをきっかけに突然知らされるといったことも起きています。

次に卵子提供。精子提供と同様、医学的理由によりご自身の卵子では妊娠が難しい場合、第三者から卵子の提供を受ける方法です。また、出産そのものが難しい場合は、第三者の子宮を借りて出産する代理母出産という方法もあります。これらの方法は組み合わせでパターンがいろいろあり、精子提供に比べ提供者となる女性の身体的・心理的負担が大きいことから、より慎重に行われる必要があります。また、中には金銭の授受を伴うケースもあり、女性の人権が搾取されるのではないかという懸念もあります。

日本にはこうした医療に関する法律がありません。現状、日本産科婦人科学会が示したルールに基づいて医療が行われていますが、親子関係の明確化や生まれてきた子どもが出自を知る権利など、法律により解決できる課題があるのは確かです。

一方で、これらは新たな親子が誕生するための科学技術ですが、最終的に子どもを授かることができない方たちもいます。養子を迎えることにしたり、子どもを持たない選択をする方たちもいます。そこには、人々の複雑な思いが渦巻いていて、たとえ法律が整ったとしてもそれがすべてを解決できるとは言い切れません。

とてもプライベートで繊細なテーマですので、普段はあまりオープンに持ち出すことのない話題かもしれません。中には何となく触れてはいけないことのように感じてしまう人もいるのではないでしょうか。

だからこそ、どんな親子のかたちでも、どんな選択をしても、誰もが生きやすい社会にするためにはこうした医療とどう向き合っていけばよいかを、オープンにできるだけ明るく語り合える場を作りたいと考え、今回の開催となりました。

番組では、苛原稔先生と武藤香織先生から第三者が介入する生殖補助医療の現状や課題をお聞きした後、「第三者からの精子提供(=非配偶者間人工授精)により生まれた子」「代理母出産により子をもうけた親」「不妊カウンセラー」それぞれの方にインタビューをした映像をご覧いただきます。さらに、番組中に行うアンケートを通じて視聴者のみなさまからの意見を集めながら、これまでに行ったトークイベントと同じくみんなが語り合える場を作っていきます。ぜひニコニコ生放送へアクセスしていただき、画面を通して議論にご参加ください!

さて、そこで・・・。

みなさんが事前に番組をイメージできるよう、番組内で実施するアンケートをここで公開いたします!アンケートへの回答は事前にもお受けしていますので、コメント欄からお寄せください。

たくさんのご参加をお待ちしています!

====以下、番組内で行うアンケートです=====

1.親から子への告知

あなたは親しい友人夫婦から相談を受けました。二人には、精子提供によってもうけた現在18歳の子どもがいます。その子に父親とは遺伝的なつながりがないこと、大学病院を通じて精子提供を受けたが提供者を知ることはできないことを告げようと考えているそうです。あなたがその子だったら、その事実を告知してほしいかどうか、意見を求められました。どう答えますか?

その理由も、コメントでお寄せください。

①告知してほしい

②告知してほしくない

③わからない

2.子どもをもうける方法

あなたは親しい友人夫婦から相談を受けました。二人は子どもがほしいと思っていますが、医学的理由により、代理母出産か養子縁組による方法しかありません。代理母出産であれば、血のつながりのある子を得られますが、日本には代理母出産に関する法制度はなく、日本産科婦人科学会の自主規制により事実上禁止されています。海外で行うこともできますが、例え海外で代理母出産により子どもができても、現行の民法では実子とは認められず、戸籍上は養子となります。あなたが同じ立場だったらどの方法を選ぶか、意見を求められました。どう答えますか?

その理由も、コメントでお寄せください。

①海外での代理母出産

②日本での養子

③子どもをもたない

④わからない

3.誰もが排除されない社会

子どもを生める方、生めない方、生まない方など一人一人の状況や価値観も様々な現代では、生きづらさを感じている人がたくさんいます。誰もが排除されず、生きやすい社会にするためにはどんなことが必要でしょうか?あなたの考えをお聞かせください。

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