2020年ノーベル生理学医学賞は、「C型肝炎ウイルスの発見」により、米国のHarvey J. Alterher 博士、英国生まれで現在はカナダで研究をしているMichael Houghton博士、米国のChareles M. Rice博士の3人に贈られることになりました。日本人にも患者さんの多い病気です。今年は医学よりのテーマ、そして感染症でしたね。受賞した先生方、共同研究者の皆さま、おめでとうございます!
C型肝炎って?
C型肝炎は、今でこそウイルスで感染していく病気であることがわかり、治療薬もありますが、当初は「A型肝炎ではない」「B型肝炎ではない」病気として知られ始めました。ウイルス性であることを突き止めることから始まり、病原ウイルスの特定に。ウイルスの特定ができれば早期診断も可能になり、さらには治療につながりました。
C型肝炎のこわいところは、慢性肝炎になった状態から一定の割合で肝硬変、さらには肝臓がんへと進んでしまう点です。命を脅かす恐ろしい病気と言えます。
かつては輸血で広がっていく病気でした。ですが、今回の受賞研究のおかげで輸血からは排除することが可能になり、先進国では新規の感染者は限りなく少なくなっています。
今は治療薬もできております。ですが、少し高価なため世界中の必要な方に行き渡っているかというと、必ずしもそうではありません。今年のノーベル財団からのリリースでは、その点にもふれておりました。
未来館の科学コミュニケーターのなかに、この研究テーマの受賞を予想した科学コミュニケーターがおります。そのときの記事をぜひご一読ください。
樋江井哲郎「2015年ノーベル生理学・医学賞を予想する④ 輸血の肝炎問題を解決に導く」
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/201509292015-10.html
さらに詳しい解説を近日中に公開しますので、お楽しみに!
お詫びと訂正
10月5日の19時すぎにこの記事を公開したときに、「英国のMichael Houghton博士」としてしまいました。正しくは「英国生まれで現在はカナダで研究をしているMichael Houghton博士」です。大変失礼いたしました(10月6日9時30分)。