こんにちは。綾塚です。
暑くなってきましたね。よく寝る、よく食べる、適度に運動するなど、体調管理をしっかりせねばと思う今日この頃です。
さて、この記事では、ニコニコ生放送「わかんないよね新型コロナ」の5月15日(土)放送回の内容を紹介します。各自治体でのワクチン接種のようすや出入国での水際対策についてお話ししました。どちらのテーマも時々刻々と状況が変わっております。以下の内容は5月15日現在の情報に基づき、一部のデータは6月9日現在のものを使っていることにご注意ください。
各自治体の工夫~自転車操業のなかでどのようにワクチン接種を進めたのか?
2月17日から医療従事者等へ、4月12日から一部の市町村で高齢者への接種が始まりました。当初、ワクチンの供給量が少なく、各自治体への配送量、時期ともに不安定だったため、思うように接種が進まないこともありました。しかし今では、ワクチン供給量の増加や関係者皆様の多大なご尽力により、接種体制が充実してきています。
各自治体ではさまざまな工夫が行われており、今後のワクチン接種体制の参考にできそうです。堀さんのご紹介で、医療関係者の中で良い評判があるとされる大阪府寝屋川市および福島県相馬市のワクチン接種ご担当者へ取材しました。(取材はいずれも2021年5月14日時点のものです)
大阪府寝屋川市のケース
未来館 接種の優先順位と進捗を伝える「接種ゲージグラフ」をウェブサイトに公開していますね。
寝屋川市 当初の想定よりもワクチンの供給量が不安定な中、「いつどこで受けられるのか」「ワクチンはどれくらいあるのか」等の市民の不安を解消するため、国からのワクチンの供給量を示すとともに、各配給時点での接種対象者を明確にしております。図やイラストを使うことで、親しみやすく、分かりやすい情報発信ができるよう、また、文面のみでなく視覚から情報が汲み取りやすくなるよう工夫しております。
未来館 ワクチンの確保数に応じて接種券の順次発送を行っていますね。
寝屋川市 接種券等を一斉発送すると、ほとんどの市民が予約できず混乱が生じるため、対象者に一斉に発送するのではなく、市が定める接種順位に基づき、分割して発送しております。5月13日現在、89歳以上の方、3,691人分の接種権を発送しました。現在のところ、混乱等はしておりません。(取材当時)
未来館 複数種類の接種会場を準備していましたね。
寝屋川市 新型コロナワクチンの供給量が当初より増加することが国から示されたことを受け、1日でも早く、多くの市民が身近な場所でワクチンを接種できるよう、集団接種会場として移動会場(市立小学校体育館)を追加することとしました。
未来館 こうした工夫は誰がどのように進めてきましたか?
寝屋川市 市の職員(担当課)の発案です。令和3年2月8日に新型コロナウイルス感染症ワクチン接種実施本部を設立し、接種順位、接種券の発送方法などワクチン接種の基本的な方針を決定するともに、4月・5月には、より多くの方にワクチンを接種してもらえるよう、高齢者へのタクシー料金の支援、医療従事者への協力金の支給などを進めてきました。
福島県相馬市のケース
未来館 今回のワクチン接種について、どのように工夫されましたか?
相馬市 情報が少なく、予定をたてるのが難しい中で、自転車操業の日々です。届いたワクチンを小分けにして接種していく方針を採りました。予約時の混乱を避けるため、電話予約、ネット予約は使わず、書類郵送のみとしました。市民の皆さまにはご不便をおかけして申し訳ないところでもありますが、特定の接種日時を市より指定しました。接種日時は可能な限り2週間前を目安に通知しました。ワクチンが週単位で届くことが背景にあります。都合がつかなかった方に対しては都度、日程調整を行うようにしました。接種日当日は来られた方のぶんのみワクチンを解凍し、ロスを防ぎました。
未来館 ワクチン接種の計画・運用はどのような体制で行っていますか?
相馬市 全職員約250名が一丸となって行っています。毎週、週一の課長ミーティングだけでなく、オープンなチャットを使ってフットワーク軽く現場の意見を吸い上げるようにしています。このチャットの仕組みは、今回のワクチン接種の件よりも以前からありました。何かあるたびに会議を持って…となると遅くなる、という考え方です。現在、ワクチン接種の意向調査の返信もどんどん増えてきている状態です。ワクチン供給が追い付いてくることを期待しながら、これからもしっかりとやっていきたいと思います。
寝屋川市も相馬市も、状況に合わせて柔軟に体制を変えていくこと、市民とのコミュニケーションですれ違いをなくすための工夫などが印象的でした。なお、今回紹介した二市の取り組みが全国一律同じように当てはまるかはわかりません。人口のようすや交通アクセスなど、体制づくりには多くの要因が関わるためケースバイケースといえるでしょう。また、ときには失敗をしながらもそこから学び、次に生かしていくことも大切です。番組中、堀さんは、「顔を上げて前を向いて走るしかない」と話されていました。
状況はどんどん変わる~水際対策はどのように変わっていったか?
変異株の世界的な流行を防ぐためにも、国をまたぐ人の移動に水際対策が欠かせません。日本においても、今年に入り水際対策が大きく変わっていきました。今回の放送では、1月29日、3月21日にスイスと日本を行き来する必要があった山田さん(仮名)をお招きし、様子の変化について伺いました。
まず、出入国のおおざっぱな流れは以下の通りです。一度の出入国で、数回の検査や長い時間の行動制限が必要になります。
これに加え、例えば変異株流行地域に指定されている国から日本へ移動する場合は隔離の条件が追加されます。具体的には、日本へ入国後、翌日から起算して3日目の検査で陰性になるまで指定の宿泊施設で隔離が必要となります(5月15日現在)。山田さんの場合、3月の渡航においてはスイスが変異株流行地域に指定されていたため対象となりました。ちなみに、1月の渡航においては指定宿泊施設での隔離はありませんでした。
その後も、特に変異株の流行に関する水際対策の変更が続いています。5月14日からインド、パキスタン、およびネパールへ、5月18日からはバングラデシュ、モルディブ、スリランカをはじめとした10か国へ、再入国を前提とした日本からの渡航ができなくなりました。さらに5月25からは、インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ及びスリランカの6か国については、指定する宿泊施設において10日間の隔離が求められるようになっています。
(参照:厚生労働省「水際対策に係る新たな措置について」)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html
山田さんは3月21日の渡航において、スイスを出発してのちホテルに到着するまで30時間ほどかかったと話します。この間も行動の制限が多く、例えば入国直後の検査待ちで飲み物を買いに行けないなど苦しい場面もあったそうです。
一方で、山田さんはこのようにも話していました。
「検疫官の方など、現場の皆様のご対応はとても感じが良かったです。終わってしまえばスムーズで良かったなと思いました」
状況がどんどん変化していく中、現場の皆様も奮闘してくださっています。本当にありがとうございます!
おわりに
当ブログで紹介しきれなかった内容やメッセージもございます。全編が気になる方はぜひ放送アーカイブをご覧ください。また、当番組は過去回すべてが無料で見られます。皆さまの感染症対策に少しでもお役に立てますと嬉しいです。
また、文末に今回の放送の話題をリストアップします。
こちらを参考にぜひ放送内容をご覧ください。
「わかんないよね新型コロナ 5月15日(土)放送内容」
https://live.nicovideo.jp/watch/lv331803851
■3:14 ワクチン接種体制について
■4:59 大阪府寝屋川市の体制
■10:06 寝屋川市へインタビューしました
■18:08 福島県相馬市の体制
■20:44 相馬市へインタビューしました
■27:05 ワクチンを扱う条件
■33:11 ワクチン接種の運用の難しさ
■35:46 新型コロナの経験を、次に備えて受け継いでいくには
■37:11 会場に来た人の分だけワクチンを解凍するってできるの?
■40:33 マイナンバーでワクチン接種管理はできないの?
■43:00 休憩コンテンツ SC山川によるボート競技の紹介
■56:42 日本の水際対策ってどうなってる?
■59:06 出国前にPCR検査証明を取得
■1:00:30 スイスでのPCR検査
■1:05:14 スイスから日本への渡航の様子
■1:07:41 日本に入国するために必要な書類
■1:11:04 飛行機を降り、日本へ到着してからの対応
■1:15:56 抗原検査~入国審査
■1:19:20 1月のようすとの比較。変異株流行国の対応。水際対策の情報は日々変わる。
■1:29:00 移動のバス~ホテルでの隔離生活
■1:40:34 ホテルから出発~ホテルを出た後の隔離生活