わかんないよね新型コロナ ここで一緒に考えよう

ニコ生で放送! 6月19日の振り返り 「ワクチンの質問にお答え」(前半)

こんにちは。科学コミュニケーターの竹下です。
夏本番と思いきや最近はなんだか涼しい…みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

さて、この記事では「わかんないよね新型コロナ ここで一緒に考えよう」6/19放送回の前半パートを振り返ります。振り返りが遅くなってしまいごめんなさい。新型コロナに関する情報は日々変わっていますので、今もなお参考になる話題を中心に見ていきます。

ワクチンの接種スピードが加速する中、この回では新型コロナのワクチンについて視聴者のみなさまからいただいた質問にお答えしました。
質問の回答にあたっては、過去に「わかんないよね新型コロナ」へご出演いただいた氏家無限先生よりメールにて助言を頂きました。 (回答日:2021年6月18日)

氏家先生の過去の出演回のまとめブログはこちら!
2/17放送「ワクチンについてプロに聞いてみよう」
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210224-217.html

1つ目の質問

Q. ワクチン接種後に発熱があった場合どうしたらいいですか?新型コロナとの判別のため医療機関を受診するべきでしょうか。

A. 日常生活に支障をきたす場合には医療機関の受診を。

氏家先生からの回答
「予防接種から数日間は発熱等の副反応が起こりやすいので、症状の程度や感染対策の必要性などに応じて、医療機関の受診を検討します。一般には、仕事にいけない、家事をこなすのが難しいなど、日常生活に支障をきたす場合には、原因の評価と治療の必要性がある場合もあり、医療機関を受診していただくことが多いです。身の回りのことはいつも通りに行うことはできて、自宅で安静にしられる場合には、経過観察も可能です。ワクチンの副反応は1日~2日程度で、自然に軽快することがほとんどです。」

どうやら、日常生活が送れない場合が医療機関受診の目安になりそうです。
放送の中で堀さんは、「ワクチン接種とは関係なく、たまたまワクチン接種後のタイミングで体調が悪くなることもある。」とおっしゃっていました。ワクチンの副反応で体調を崩してしまったのか、それとも別の理由があるのかを調べて治療するために医療機関を受診しましょう。

そもそも、ワクチンの副反応によってどんな症状が起きる可能性があるのでしょうか?

ファイザー社とモデルナ社のワクチン接種後に起きるかもしれない副反応

接種の1日後~3日後、概ね1週間後の症状として発生頻度が1%以上のものをまとめています。この一覧にはない症状が現れた場合や、症状が長く続く場合も医療機関へ相談する目安になりそうです。

2つ目の質問

Q. 新型コロナワクチン接種後に発熱や頭痛の症状があった場合、服用してもいい解熱鎮痛剤はなんですか?

新型コロナウイルスに感染した時にイブプロフェンを含む非ステロイド性抗炎症薬の服用により新型コロナウイルス感染症が悪化するという注意喚起がなされていることがありました。ワクチン接種後、副反応の症状が出た場合には服用しても良いのでしょうか?

A. アセトアミノフェン、イブプロフェンのどちらであっても問題ありません。

氏家先生からの回答
「新型コロナワクチン接種後の副反応への対症療法に用いる解熱鎮痛剤は、アセトアミノフェン、イブプロフェンを含む非ステロイド性抗炎症薬のどちらであっても問題ありません。
イブプロフェンについては、COVID-19の悪化を裏付ける科学的証拠はないので、仮にCOVID-19に対しても選択肢としては使用が可能です。
他に発熱等の原因があったり、基礎疾患があったりする場合には、解熱鎮痛剤の使用が病態を悪化させる可能性もあるので、予防接種の副反応以外の原因が疑われる場合には、医療機関の受診をお勧めします。」

イブプロフェンがCOVID-19の症状を悪化させるという科学的証拠がないことはWHOから情報発信がされています。
WHOのHP(https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/the-use-of-non-steroidal-anti-inflammatory-drugs-(nsaids)-in-patients-with-covid-19

アセトアミノフェン、イブプロフェンどちらのお薬でも問題ないとのことなので、普段から飲み慣れているお薬を服用することができます。
ただし、発熱や頭痛といった症状の原因がワクチンの副反応ではないこともありえます。1つ目の質問にあったように、日常生活がままならないような症状の場合は医療機関を受診しましょう。

3つ目の質問

放送内でご紹介ができませんでしたが、ウイルスベクターワクチンに関する質問にもご回答をいただきました。
ウイルスベクターワクチンとは、ヒトには無害なウイルスに、新型コロナのスパイクタンパク質の遺伝子を組み込んだワクチンのことを言います。ベクターは運び屋のこと。ウイルスを利用して、抗体を作るのに必要な新型コロナウイルスの情報を体内に運ぶのです。
日本で現在承認されているワクチンの中では、8/16より接種が始まるアストラゼネカ社のワクチンがウイルスベクターワクチンにあたります。

Q. ウイルスベクターワクチンで使われるアデノウイルスへの免疫反応でアデノウイルスが排除されるということは起きないのでしょうか?

A. 既にウイルスに対する免疫を持っている場合にはその可能性もあります。

氏家先生からの回答
「ウイルスベクターワクチンは、既にウイルスに対する免疫を持っている人では、思ったようにうまく免疫を誘導できず、予防接種の効果が低くなる可能性があります。
そのため、アストラゼネカとオックスフォード大の開発したワクチンは、ヒトが感染したことがないチンパンジーのアデノウイルスを使ってワクチンが作られています。一方で、既に2回の接種を終えてしまった人に対して、3回目の追加接種の効果がどうなるのかについては、現在、異なるワクチンを使っての臨床研究などが行われていますが、理論上では、同じウイルスベクターワクチンで追加接種を行えば、効果が低くなるだろうと考えられています。」

新型コロナウイルスのワクチンの場合には、誰も感染したことがない種類のウイルスを運び屋として使っているので、体の中で抗体に邪魔されることなく新型コロナウイルスの情報を運ぶことができます。
しかし、繰り返しワクチンを打つと、体が運び屋のウイルスを覚えて免疫を獲得してしまい、新型コロナウイルスの情報を必要なところに送り届けることができなくなってしまいます。
そのため、ワクチンの効果が下がってしまうと考えられているのです。

ウイルスに新型コロナウイルスに関する情報を運んでもらうので、ウイルスベクター(運び屋)ワクチンなのです。

後半へ続く

前半の内容はひとまずここまで。
後半も内容盛りだくさんでお送りし、なんと予定時間を30分以上過ぎてしまいました…
番組後半では科学コミュニケーターの山川がファシリテーターを担当し、ワクチン接種から抗体ができるまでの過ごし方や、ワクチン接種に対して不安を感じる場合にどうしたら良いか考えてみました。

なお、冒頭にも書きましたが新型コロナウイルスに関する情報は、どんどん変わります。データが蓄積して新しい知識が得られたり、感染状況や変異株の登場によって対策が変わったりすることも。ここでお伝えしたのは2021年6月19日時点のものです。ご注意くださいませ。

この放送回はどなたでもこちらのリンクよりアーカイブをご覧いただけます。
https://live.nicovideo.jp/watch/lv332297128
時間と話題を下にまとめておりますので、見たい話題を探すときにご活用ください。

1:40 堀さんの近況~ワクチン打ちました
5:14 緊急事態宣言のお話~データの見方のポイント
16:02 第三波、第四波で変わってきた病院での工夫
18:53 蔓延防止法ってなんだっけ~これからのコロナ対策について
27:41 日本でのワクチン接種状況は?
32:52 ワクチンの違いおさらい
35:04 ワクチンの優先接種、うまくいった?~港区の接種のようす
40:46 ワクチンの副反応について
47:41 休憩コンテンツ
1:05:38 一般接種、大規模接種、職域接種について
1:11:58 ワクチン供給量、打ち手、場所の確保について
1:16:08 大規模接種のノウハウ研修会のようす
1:17:54 職域接種の事例紹介~東京国際大学インタビュー
1:24:04 スムーズなワクチン接種のために、私たち個人にできることは?
1:34:21 接種の後の過ごし方
1:39:46 ワクチン接種の効果、その他感染予防の効果~「ワクチン接種率と感染者数の推移」札幌医科大学
1:42:53 各国の感染者数の推移とワクチン、そのほか政策のデータ
1:53:24 ワクチン接種が不安で迷っている人、どうしよう?
1:59:01 視聴者からの質問:ワクチン、今は接種を見送って3年後打つなどは可能?
2:01:38 ワクチン相談窓口
2:05:26 視聴者からの質問:筋注って難易度は高いの?

「医療・医学」の記事一覧