ボランティアのススメ

皆様はじめまして、2023年4月から未来館で働いている、科学コミュニケーターの安藤未来(アンドウ ミキ)です。

大学では古生物の研究をしていました。デカい鳥が好きです。

まるで未来館で働くために生まれたような名前ですが、“未来”歴は私の方が長いです。
これからよろしくお願いします!

突然ですが、皆様は未来館にボランティアの方がいることはご存じでしょうか。
我々科学コミュニケーターは白地に青ラインのユニフォームを着ていますが、青1色のユニフォームを着ているのがボランティアの方々です。
 

模型を使い、太陽系惑星について解説する様子。「ワゴントーク」では惑星や深海などさまざまな話を聞くことができます。

ボランティアの活動は、常設展示の案内・解説に始まり、展示ツアーのガイド、イベント・実験教室のサポートなどさまざまです。この記事を読んでいる方の中にも、何か教えてもらったよ!いう人がいるかもしれませんね。

ボランティアの経験

さて、どうして急にこんな話を始めたかと言うと……。
実は私は、元・未来館のボランティアなんです!

遡ること10年以上前。当時中学生だった私は、親に連れられて来た未来館でボランティア募集の貼り紙を見つけ、「なんだか面白そうだしやってみよう!」と思い立ちました。

ところが、対象年齢は高校生以上……残念。

ということで年月が経つのを待ち、高校生になると同時に応募! 無事ボランティアとしてデビューしました。
受験勉強が忙しくなってからはあまり活動ができませんでしたが、高校1年生の時はなんとほぼ毎週未来館に通っていたんです。実家から未来館までは片道約1時間半……今考えると、なかなかタフな高校生ですね。毎週末、朝からお弁当を作ってくれた母親にも感謝しないといけません。
ちなみに、ボランティアとして最低限活動しなければならない当時の日数は、約半年で12回/72時間でした。私は楽しかったので足しげく通っていました。

ボランティアと一口に言っても、その背景は一人一人違います。私のような高校生もいれば、学校の先生や一般企業の会社員、はたまたリタイヤした元研究者の方まで、さまざまな立場の方が活動されていました。ボランティアは活動日が指定されていないので、行く度に違う方と話せることも魅力の一つです。

高校生の頃から古生物が好きだった私は、通っている高校の選択教科になかった「地学」で大学受験をしようと考えていました。地学の授業もなければ先生もいないので、独学で勉強するしかありません。
それを同じ未来館でボランティアとして働いていた高校教員の方に相談したところ、その方が後日高校地学の教科書を持ってきてくださり、それを使って受験勉強をしたという思い出もあります。

いただいた高校地学の教科書と資料集。今でも大事にとってあります。

ここでしか出会えないような方とも沢山話すことができ、家庭と学校だけだった私の世界は大きくひろがりました。
当時と比べると未来館の展示はほとんど変わっていますが、建物は変わっていないので古巣に戻ってきたような不思議な気分で働いています。
ボランティアの時は入るのに緊張した執務室も、今では自分のデスクに勝手に恐竜フィギュアを置く始末。図太く育ちました。

ボランティアのススメ

ボランティアの活動は多岐にわたりますが、私は主に展示解説とツアーを担当していました。フロアに立って展示を見ている方に話しかけたり、当時5階にあった有人潜水調査船「しんかい6500」の案内をしたり、時に自分よりも詳しい来館者の方から質問されて慌てたり……。
大変なこともありましたが、活動を通じてさまざまな経験と度胸を手に入れることができました。
特に人前で話すことに一切抵抗がなくなったこと、そして「相手が理解しやすいように話す」という意識ができたのは、ボランティアの経験が大きいと感じています。知っていることを話すだけなら簡単なんですが、きちんと相手に伝わっているかどうかを考えながら話すのは結構難しいんですよね。この意識は、大学の研究発表でもとても役に立ちました。

当時の私はアルバイトの経験もなく、宇宙や恐竜は好きでしたが特別、科学技術に詳しかった訳でもありません。それでもボランティアとして3年間も活動できたのは、わからないことをゼロから丁寧に教えてくれた科学コミュニケーターや、先輩ボランティアの方々のお陰です。
私が今こうして科学コミュニケーターとして働いているのも、未来館でのボランティア活動が楽しかったからかもしれません。

ボランティア大募集!

そんな安藤オススメのボランティア活動ですが、5月12日から2023年度の募集を開始しました!

少しでも興味をもったという方は、この機会に是非。

「ボランティアをやってみたいけど、自分は科学に詳しくないし……」なんて悩んでいる方がいたら、恐れずに挑戦してもらいたいと思います!

それでは、未来館でお待ちしています。

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