「どうする!? プラごみ」vol. 4

捨てず、見捨てず、買いすぎず! 傘から考えるごみ問題

はじめに

みなさん初めまして。4月から科学コミュニケーターとして未来館で働いております、前山凌雅(りょうが)と申します。実はわたくし、以前は某ホームセンターで傘やスーツケースを販売する仕事をしておりました。未来館には様々な経歴の科学コミュニケーターが在籍しておりますが、その中でも一風変わった経歴の持ち主であると自負しております!

 

そんな私が未来館の展示を見ている中で気になるものを見つけました。

プラごみ問題を解決するためのアイデアを記入するボードです。その中の付箋の一枚には

「仕事は _ 」と書いてありました。

こんな付箋です

なるほど、自分の仕事の経験をもとにしたアイデアを出してもいいみたいですね。

私は前述のとおり「元・傘屋さん」です。そこで今回は、この経験からプラごみ問題について私が考えたことをこのブログで紹介したいと思います!

 

さて、突然ですがそんな私から質問です。みなさんは出先で急な雨に降られてしまったときはどうしますか?

「雨宿りをする!」「小雨くらいなら傘は差さずに耐え忍ぶ!」と、色々な回答が聞こえてきそうですが、「傘を買っちゃう」という方も多いのではないでしょうか?

傘はコンビニや駅などどこにでも売られています(未来館でも売っています!)

未来館では年間約500本の傘が売れています

中でもビニール傘は比較的安いため、特に夏場の突発的な豪雨の際は、私が働いていたお店でもその瞬間だけ飛ぶように売れていました。

 

では、傘を買ったことがある方にもう一つ質問です。みなさんは、一年間に何本の傘を購入しているでしょうか?

実はこの傘、日本で一年間に推定12000万本が購入されているというデータがあります。みなさんそれぞれが年間約1本ずつ購入している計算ですね。(*1)

そして傘の大量生産・大量消費が問題となっていることをみなさんはご存知でしょうか?

 

さらに、傘の生地は水をはじくプラスチックでできているものがほとんどです。また、金属やカーボンなど様々な素材が使われており、分別してリサイクルすることが難しいため、最終的にはそのまま埋め立てられてしまう可能性もあります。

つまり傘の大量消費の問題は、プラスチックごみの問題にも関係しているということです。

傘利用が抱える問題点とは?

では、傘利用の問題点とは何でしょうか?

私は「捨てられやすく、見捨てられやすい」という点が最大の問題だと感じています。

私がお店で働いていたころ、「傘が壊れたから新しいものを買う。古いものは処分してほしい」というお客様は大変多く見受けられました。

また、実際に警視庁に届く落とし物や忘れ物のうち、傘類は年間約28万点もあるにも関わらず、届け出をした割合は最も低いわずか2パーセント程度しかないそうです。(*2)

「拾った届出」に対する「失くした届出」の割合がとても少ない…

「わざわざ取りに戻るのも面倒だし、失くしてしまってもまた買えばいいや」とつい思ってしまったこと、みなさんもあるのではないでしょうか?

このような私の経験や実際のデータから、傘は消耗品として捉えられていることが多いと私は感じています。

どのように解決するか?

私は、愛着を持ってモノを使うということは大切なことだと思っていますし、それは傘に対しても同じであると考えます。

そして、消耗品として扱われてしまう傘を少しでも減らしたいと考えています。

冒頭の付箋、私ならこう書きます!

では、消耗品としての傘を減らすためにはどんなことができるでしょうか?

また、傘を長持ちさせて使うためにはどんな工夫ができるでしょうか?私なりに考えてみました!

・修理や日々のお手入れをする

お手入れと聞くと少し面倒に感じるかもしれませんが、傘を使った後に開いて陰干しするだけでも金属部分のサビや生地の劣化を防止することができます。

壊れてしまった場合でも、傘を修理してくれる場所は意外と町中にあふれています。

百貨店やホームセンターで購入した傘はお店に持ち込むとメーカーに送って修理をしてもらえることが多いです。(購入したお店やメーカー、傘の型番によっては修理を受け付けていない場合もあるので、まずは確認してみてください)

また、糸のほつれや軽度の骨折れであれば簡単に自分で直すこともできます! 傘修理キットというものが販売されているので、興味がある方は試してみてくださいね!

・折りたたみ傘を常に持つ習慣をつける

特に夏場は不測の雨に襲われやすいです。そんなときのためにも、常に折りたたみ傘を携帯する習慣をつけておくとその都度傘を買わずに済みますね。

まさに「備えあれば憂いなし」です!

折りたたみ傘の中にはスマホよりも軽く、カバンの中にいれておいても全く気にならない重さの商品も多く販売されています。特にアウトドアブランドの折りたたみ傘は軽いうえに丈夫さも兼ね備えている商品が多いので、個人的にはおすすめです!

・傘シェアリングサービスを利用する

「そうは言われても修理するのも面倒だし、折りたたみ傘をわざわざ持ち歩くのもなあ…」という方もいらっしゃるでしょう。地域によっては、「傘シェアリングサービス」が利用できるかもしれません。

傘を好きな場所で借りられて、好きな場所で返せるというサービスです。都度支払いや月額プランなどがありますが、どちらにせよ傘を購入する場合と比べても出費を抑えることができます。

・風の強い日はレインコートも使う

傘が壊れる原因の中でも特に多いのは「強風」によるものではないでしょうか? 実際に私が店頭で傘の修理を受け付けていた際も、強風で壊れてしまったとおっしゃるお客様は多かった印象です。風が強い日には傘は役に立たないことが多いので、レインコートを着ることで雨をしのぐことも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

さいごに

まずはこの記事をここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!

私は傘屋さんとして、たくさんの傘を販売し、たくさんの傘を処分してきました。ですが、たくさんの傘修理も承ってきました。

傘屋さんとして働く以前は、私も傘は壊れたら捨ててしまっていたので、傘を修理するというアイデアはこの経験がなければ気が付かないまま過ごしていたと思います。

そんな気付きをこの記事から感じていただけたらとても嬉しいです!

 

さて、これから雨が多くなる時期がやってきます。

余談ですが、私はほかの人の傘を観察することが好きです。なぜなら、使っている傘や扱い方からその人の性格や個性がにじみ出ているような気がするからです。

みなさんはどんな傘と、どんな付き合い方をしていますか?そして周りの人はどうでしょうか?

そんなことを考えながら、この時期を過ごすのも楽しいかもしれませんね。

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