「未来を体験!ロボット・リモートワーク」イベント報告

これが未来のリモートワーク!? 遠隔操作ロボットでお店のお仕事にチャレンジ!

コロナ禍をきっかけに広まったリモートワーク。かつては人が集まらなければできなかった会議が、いまではオンラインで行われることも増え、普通になってきました。

一方で、リモートワークが難しい仕事もあります。たとえば、レストランやカフェなどのお店の仕事は、実際にその場へ行って働かなければなりません。

ところが、そうした「リアル」でしかできないと思われていた仕事も、ロボットの力を借りればリモートでこなせてしまうかもしれないのです……!

そんな未来を体感できるイベントが、「未来を体験!ロボット・リモートワーク」。夏休みの始まりに合わせて開催したところ、大変多くの皆さまにご参加いただきました。本当にありがとうございました。

このブログでは、そのイベントの様子をダイジェストでお届けします。

ロボットが働く未来のお店をイメージしたイベント会場の様子

未来館で「ロボット・リモートワーク」を体験

2025年7月23日(水)~8月7日(木)の16日間、未来館1階コミュニケーションロビーにて、実証実験イベント「未来を体験!ロボット・リモートワーク」を開催しました。

実証実験とは、新しい技術などを実際の環境でテストし、その効果を検証したり課題を見つけたりする取り組みです。今回は、トヨタ自動車が開発するHuman Support Robot(HSR)を使ったロボットの遠隔操作を、来館者のみなさんに体験していただきました。

トヨタ自動車が開発するHuman Support Robot(HSR)。物をつかんだり運んだりできます

未来館には、子どもから大人まで幅広い世代の方が訪れます。そんな多様な来館者に実際にロボットを操作してもらい、操作のしやすさについて意見をいただくことで、今後の操作性向上に役立てていくそうです。

この実証実験を率いるのは、東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻・特任助教であり、一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)CTOの松嶋達也先生。幼いころからロボットに興味があり、ロボット研究の道に進んだそうです。

未来館でHSRを操作する松嶋先生

さらに、松嶋先生はAIもご専門。来館者のみなさんが操作する遠隔操作ロボットの動きをデータとして記録し、AIの学習データにも活用していくそうです。人がロボットを動かすときの操作をもとに、「コツ」をAIに学ばせることによって、簡単な作業や操作の自動化にも挑戦しています。

来館者が、遠隔操作ロボットのパイロットに!

とはいえ、遠隔操作のロボットって、動かすのが難しそうだと思いませんか?

でも大丈夫、きっとあなたも遠隔操作ロボットのパイロットになれます!
本イベントでは、小学4年生以上を対象に、267名の来館者にパイロットとして遠隔ロボットを操作していただきました。

今回の遠隔ロボット操作の舞台は、「お店」。お菓子や飲み物、日用品など、さまざまな商品がずらりと並ぶお店では、店員さんが毎日あれこれ働いています。もし、遠隔操作ロボットでうまく商品を扱うことができれば、お店でのお仕事も自宅からリモートワークで……などという未来がやってくるかもしれません。そんな未来を目指し、ミッションカードに沿って、ロボットを操作しながら目的の商品を見つけてつかみ、運ぶといったタスクに挑戦してもらいました。

パイロットに配布されるミッションカード。番号が大きいほど難易度が上がります

体験の前半は、未来館のイベント会場に再現されたお店でロボットを操作。棚に並ぶ飲み物やお菓子を運ぶタスクに挑みます。これらのタスクは遠隔操作ではあるものの、ロボットの動きを目の前で見ながら操作することができます。

一方、後半は東京大学の研究室にあるロボットを実際に遠隔で操作。こちらはロボットに搭載されたカメラなどの情報だけを頼りに操作しなければなりません。来館者のみなさんは、うまく操作することができたのでしょうか……?

未来館会場の小上がりには、東京大学にあるロボットの操作席が! こんなお茶の間からのロボット・リモートワークも、可能になるかもしれません

正直、最後の方のタスクはかなり難しいのではと思っていたのですが、見事に達成していく優秀なパイロットが次々と現れました! みなさん、すごい!!

松嶋先生によると、操作はオンラインクレーンゲームに似ているため、ゲームが得意な方は特に上手かもしれないとのこと。初めてとは思えないほどスムーズに操作されていた方も多くいました。ちなみに、ゲームが苦手な私でも、慣れるにつれて楽しく操作できるようになりました!

ロボットで、リモートワークは本当にできるの?

本イベントでは、来館者の方に遠隔操作を体験いただくだけではなく、ロボットの研究者もパイロットとして登場! 科学コミュニケーターと一緒に、遠隔操作ロボットの実演を行いました。

そして、今回パイロットがいるのは東京大学の研究室。先ほどご紹介した体験とは逆に、東京大学から未来館のロボットを遠隔操作してくれます。

実演を行う科学コミュニケーターの青木(左)と、東京大学から遠隔操作ロボットを操作するエンジニアの千代間健祐さん(右)

内容は、遠隔操作ロボットで心のこもった接客にチャレンジするというもの。ロボットで「おもてなし」なんて、本当にできるの?と思うかもしれませんが、できるんです!

ロボットが丁寧に椅子を引いたり、飲み物や紙コップを渡したりする様子には、毎回大きな拍手が起こりました。

このようなロボット操作の技術はもちろん、科学コミュニケーターがトークをしている最中も、退屈しないようにお菓子を運んでくれるなど、人間が操作しているからこその気遣いまで見せてくれます。

イベント期間中に実演に足を止めてくださった来館者は、なんと約800名! 毎回大盛況でした。

大変多くの方に実演をご覧いただきました!

次回のイベントもお楽しみに!

このように、今回のイベントでは来館者のみなさんに参加いただきながら、遠隔操作ロボットを使った実証実験を行いました。

私自身、遠隔操作ロボットを間近で見て、本当にいろいろなことができることに驚きました。これなら、今はリモートワークができない店舗での仕事や接客も、ロボットでできる日が来るのかもしれない……と未来を想像できるイベントになったと思います。

このイベントの第2弾を、今年の秋ごろに実施予定です。次回のイベントもぜひご覧ください!

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