小惑星探査機「はやぶさ2」地球へ帰還中②

「次」があるなら何をしたい?

「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャ津田雄一先生をお招きして2月23日に日本科学未来館のイノベーションホールにて開催した「小惑星探査機「はやぶさ2」地球へ帰還中〜プロジェクトを率いるキーパーソンとクールに熱く語り合う」。

この記事では第2部の「これからの小惑星探査についてみんなで考えよう」を振り返ります。

第1部の「はやぶさ2のミッションをみんなで振り返ろう!」については以下の記事をご覧ください

小惑星探査機「はやぶさ2」地球へ帰還中① あのとき、管制室では何が起こっていた?
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/202003252-2.html


第2部〜これからの小惑星探査についてみんなで考えよう!

後半では、「もし、はやぶさ3があったら何をしたい?」という問いについて会場のみなさんと語り合いました。

事前に参加申し込みフォームで聞いてみたところ、熱いご意見をたくさんいただきました。まとめるとこのようになりました。

津田先生は「皆さんからのご意見を全部見させていただいて、だいぶまとめてこのカテゴリーにしていますけれども、様々な意見を頂いて、面白いものとか、突飛なものとか、我々では絶対に思いつかないようなものもありました」。(以下、カッコでくくってある文は、津田先生がおっしゃったコメントです)

例えば、このようなご意見がありました。

・モグラ型のロボットで小惑星を掘り進む

「今回のように激しい方法で穴をあけるのではなくて、ちゃんと潜っていって地下を調べられたら素晴らしいですよね」

・地球にない物質を探す

「地球にないから何があるかわからないんですよね。はやぶさ2も持ち帰ったものの中に何が入っているか、科学者たちがいろいろ予想していますけど、本当に楽しいのは予想外のものが出てくることですよね。だからそういうものが取れるといいなと私も思います」

会場からは次のようなご意見が出て、津田先生が感心する場面も。

・重力が小さい天体では反作用で浮き上がってしまってドリルを使って掘るのが難しいなら、浮き上がらないようにスラスターを噴射して上から押さえつけた状態にして掘ってみては?

・ボーリング調査をすれば、どの深さに何があるかもわかる(人工クレーターでは弾丸で吹き飛ばしてしまうので、どこの深さに何があったかはわからなくなってしまう)

「探査機を大きくしたり、燃料をたくさん積んでいったりすればできるかもしれません。でもお金もかかってしまうので、日本ではコンパクトだけどすごいものを作りたい」

その場で聞けなかった参加者のみなさんのアイディアは、付箋に書いて置いていってもらいました。

「本気でみなさんのアイディアを求めています。はやぶさ3があるとしたら何をやるべきかというのはいろんなアイディアが欲しくて。ぜひこれはと思うものは書いておいてください」と津田先生からもご要望がありました。

(その結果、すごいことになりました!この記事の最後をご覧ください。)

続いて「そもそも、片道の探査と戻ってくる探査、どちらが良いと思うか」という問いについて、赤(戻ってくる)と青(片道)の札を掲げて会場のみなさんのご意見を示してもらったところ、赤(戻ってくる)がやや多い結果となりました。

「結構、往復の赤が多いかな。やっぱり赤ですよね!(笑)ただ片道の青もゼロではないことがわかりました」

「往復だと帰りの燃料が必要です。それに星のかけらをとってこないと帰ってくる意味がないですよね。頑張って往復ミッションをやるのか。それとも片道でとにかく観測機器をできるだけたくさん積んで、できるだけ遠くの天体に行って現地で詳しく調べる、ただし電波で知るだけか。両方にいい点と悪い点があります。小惑星に行けることは行けるんですけど、帰ってくるとなると制限がいろいろあるんですよね。正解はありません。やっぱり星のかけらを持ち帰るべきか、それとも片道探査に特化すべきか、我々も実際にこういう議論をしています」

津田先生にも、はやぶさ3があったら何がしたいかを聞いてみました。

「我々自身本当に悩んでいます。はやぶさ2が出来すぎてしまって。もちろん全部計画して狙ってやったのですが、リュウグウがすごく険しい、厳しい環境だったので、それに合わせて我々も頑張らされたというか。チームが一つにまとまったのは私のマネジメントという風にほめていただけることが多いのですが、実はそうではなくて、リュウグウが険しいからみんなはそれにまとまらざるを得なかったという側面が結構大きいんです。だからリュウグウに育てていただいたようなところがあって。結果としてこれ以上必要ないくらいの精度で着陸できた。しかも2地点、しかもそのうちの2個目は地下物質を採取するという、やれるかやれないか分からないけど『できればやります』と言っていたことまで全部できてしまいました」

「じゃあもう次何をやればいいんだろうと思っているのが今の正直なところです。次もう一回同じことをやってくださいって言われたら、できます。これはもうやり方が分かったのでできます。だけど、もっとすごいことをやらないと科学や技術の発展にはならないですよね。これを踏み台にしてさらにその先を考えなきゃいけないというのは我々の想定外だったんです。はやぶさ2ではもう少しそこそこの精度でもいいからきっちり着陸させ、その上で1 mを下回るような着陸精度は、はやぶさ3でめざそうというイメージを持っていたんですが、もう全部できてしまったので次を探しているという状態です」

「だけどこれまでの成果を活かすと、やりたいことはいっぱい思いつきます。小惑星は86万個あって、その中には不思議な小惑星がいっぱいあるんです。例えば、小惑星の周りを小惑星が回っているような連星を調べたいです。あるいは、(リュウグウと月の中間の大きさの)もっと大きな10 kmや100 kmサイズの小惑星を調べたら、太陽系の天体を概ねカバーできます。はやぶさとはやぶさ2の技術は全く違う惑星探査にも使えるんじゃないかと思うので、それもやってみたいと思っています。私もまだもう1回くらいは探査に参加できる年齢なので、ここにいるお子さんたちが将来一緒に次のミッションを考えてくれたらといいなと思います」

(ミッションに参加したくなった方へ:宇宙探査ミッションには、研究者としてだけではなく、上の図のようにいろいろな立場で参加できます。はやぶさ2には総勢600人が関わっています。)

最後に津田先生からメッセージをいただいて、イベントは終了しました。

「今日はたくさん来ていただいて本当にありがとうございます。ちょうど去年の昨日、着陸を成功させました。今日こういうイベントがあるのでメールを見返して、一年前の今日何をやっていたか見てみたら、大成功の後でおめでとうのメールの嵐になっていました。続々と得られる成功の情報をどの順番で発表していくかなど、運用の本筋の大変なところから外れた楽しい作業をしていた時期でした。その一方で、その後4月に人工クレーターを作るために、次に向けてすぐに切り替えないといけないという時期でした。

今年はお蔭様ではやぶさ2のいろんなことが一段落して、こういうところでお話できる機会が頂けました。本当にありがたく思っていますが、今年11月12月にカプセルが地球帰還するまでは、プロジェクトチームは緊張感をもって進めていきたいと思いますので、引き続き注目していただけるとありがたいです。

それから、今日みなさんと一緒に考えたような将来の探査機、はやぶさ2の次はどんなことやればいいのかというのは僕たちも真剣に考えていきたいです。また今日のようにみなさんと一緒に考える機会があると良いなと思います。

若い方たちは、この中から何人かでも、一緒に仕事をできる人が出てきてくれたら本当にありがたいなと思います。本当にどうもありがとうございました」

イベント終了後

さて、「本気でみなさんのご意見を求めています」という津田先生の言葉に、はやぶさ2ファンのもともと熱い心の火はさらに燃え上がったようで...

イベント終了後に集まった付箋はなんと120枚!! しかも付箋1枚に収まらないくらい目一杯に書いてくださっています!!

ご意見ありがとうございました!アンケートにご記入いただいたご意見とともに、全て津田先生にお届けしました。その結果と先生からのコメントは、松島さんの次の記事をお楽しみに!
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/202005202-6.html

イベントを終えて 小熊より

今回、津田先生が来てくださるというだけで十分すぎるほどでしたが、ただお話を聞くだけではなく、同じ目線で熱く語り合うという、(タッチダウン2回目が成功したときの先生のお言葉をお借りすると「100点満点中1000点の」)貴重なイベントになりました。参加してくださるみなさんにはもちろん、津田先生にも得られるものがあってほしいと思って今回のイベントを企画しました。みなさん本当に一生懸命考えてくださって、先生にすばらしいお土産ができました。もしかしたら、次のミッションにはみなさんのご意見が採用されるかもしれません。引き続き、惑星探査ミッションを応援したり、様々な形で参加したりしていただければ幸いです!私も応援していきます!


【謝辞】
本イベントにご登壇くださいました津田雄一先生に心より感謝を申し上げます。また、開催にあたりご協力くださいましたJAXA広報部の利岡様・佐竹様、はやぶさ2の模型を貸してくださったデアゴスティーニ社の皆様に御礼申し上げます。そして、ご来場いただいた皆様、そして残念ながらご参加が叶わなかった皆様も、本当にありがとうございました!

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