リアル脱出ゲーム×日本科学未来館『人類滅亡からの脱出』追加開催決定!
なんとこの度、リアル脱出ゲーム×日本科学未来館『人類滅亡からの脱出』の追加開催が決定しました!
昨年12月から開催していた本イベントは、2021年4月25日(日)以降、緊急事態宣言の発令による臨時休館にともない中止となっていましたが、ご参加いただけなかったお客さまからの「ぜひ参加したかった!」という声にお応えし、6月12日(土)より期間限定で追加開催いたします。
このイベントは、「相次ぐ自然災害や感染症への対策」をテーマに、株式会社SCRAPと未来館が初めてタッグを組んで制作した完全新作のリアル脱出ゲームです。
参加者が架空の町の市長となり、次々に襲ってくる災害から市民の命を守るべく様々な対策を講じていくというストーリー展開を通して、災害対策に関する科学的な考え方や知識を得ることができるイベントです。
開催スケジュールなど、詳細はイベント特設サイト(https://realdgame.jp/miraikan2020/) をご確認ください。
今回は、『人類滅亡からの脱出』のご紹介ブログ第3弾。本イベントで防災について知っていただいたあと、実際の行動に移すためのヒントとなるよう、防災グッズに関するレポートをお届けします!
『人類滅亡からの脱出』のご紹介ブログ第1弾(https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210317post-401.html)、第2弾(https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210401post-407.html)はこちら
災害への備え、改めて見直してみませんか?
東日本大震災から10年が経過した今年、自然災害に対する事前の備えについて、改めて考え直した人も多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスという大きな脅威が目の前にある昨今の状況において、避難所への避難は感染拡大のリスクが付きまといます。パンデミック以降、避難所への避難だけでなく、市民それぞれが安全な場所に分散して避難する「分散避難」の重要性が高まりました。
自宅での在宅避難をベースに、親戚・知人の家への避難、あるいは安全を確保したうえでの車中泊避難なども含め、予め複数の選択肢を検討しておくことが推奨されています。(もちろん、避難所への避難も選択肢から外してはいけません。)
分散避難を検討する際に重要になってくるのが、防災用備蓄です。
災害発生から3~7日程度は断水や停電などのライフラインの遮断のみならず、容易に外に出ることすらままならない状況を想定しておく必要があります。
つまりその期間、一歩も外に出ずに、ライフラインなしで生活できるだけの備えをする必要があるのです。
むむむ、これは結構大変そうだぞ…と早くもさじを投げたくなった方、何から備えれば良いか分からない…と途方に暮れている方。そんなあなたに、今回は最新の防災グッズ、中でも食に関するものなどを中心にいくつかご紹介したいと思います!
……ということで今回は、未来館スタッフの以下の皆さんに協力してもらいます!
まかせろさん:防災について詳しい。特に非常食については、ストックを定期的に消費してその分補給することを繰り返す「ローリングストック法」を実践している。
グルメさん:未来館スタッフの中でも指折りの料理好き。「災害時でも、美味しくて栄養バランスの良い食事を楽しみたいなあ…。」
シンプルさん:持ち物を最小限にするシンプルライフ主義者。「防災グッズって場所を取るんじゃないの?家にモノが増えるのは嫌だなあ…。」
ずぼらさん:未来館スタッフの中で一番デスクが散らかっている。「書類の山の下から、カラカラになったミカンが発掘されました。何か月前のだろう…。」
①非常食
:それでは早速始めましょう。まずは防災グッズと聞いて真っ先に思い浮かぶ非常食を紹介したいと思います。そもそも、皆さん非常食についてどんなイメージを持っていますか?
:冷たいものとか、硬くてパサパサしたものが多そうなイメージかな…。非常時に食べるものだから、エネルギー補給や保存期間が最優先。美味しさは二の次というイメージだね。
:イメージはそんなかんじだけど、実際にはほとんど食べたことがないかも…。
アルファ米
:なるほど、皆さん今の非常食のこと、何もご存じないようですね……!私にまかせてください!
では、まずはアルファ米をたべてみましょう。アルファ米は、お湯や水で戻せる乾燥米です。今回は、おにぎりや炊き込みご飯などを用意したので、作るところからやってみましょうか。
<アルファ米と一口に言っても、たくさんの商品がある>
:とてもたくさんの種類があるんだね!お子様やご高齢の方でも食べやすそうなものもあるね。
:今回用意したアルファ米はお湯の場合は15分、水の場合は60分待つ必要があるんだね。災害時はお湯が沸かせない場合もあるかもしれないから、水で戻せるのはありがたい。せっかくだから、今日は両方作ってみよう。
:ほうほう、シールをはがしたり、中から脱酸素剤(食品の酸化を防ぐためのビーズが入った小袋)をとりだしたり、いくつか手順があるんだね。カップ焼きそばを作るのと同じくらいの手間感かな、これくらいなら普段料理をしない私でもギリギリ作れる…!
<シールをはがす、脱酸素剤をとりだすなどいくつかの工程がある>
:完成したので食べてみますね。……お!美味しい!
もっとシナシナしていたり、パサパサしていたりするのかと思いましたが、普段食べているお米とあまり変わらないです。ちょっとびっくり…!
:炊き立てとまではいかないけど、冷やご飯を温めなおして食べているような感じかな。アルファ米と言われなければ、気が付かないかもしれない。あと、今回用意したものは、パッケージのまま食べられる点もとても良いよね。お皿や手が汚れない分、後片付けが楽チンで嬉しいな。
:水で作ったものとお湯で作ったものの違いはどうですか?
:う~ん、あくまで主観だけど、水で作った方が硬く、お湯で作った方が柔らかい印象があるかなあ…。人によって好みが分かれそうだけど、個人的にはしっかり粒が立っている水の方が好きだな。
:同じく水の方に一票!お湯沸かすのがそもそも面倒くさいから!
:それはズボラすぎ!私はお湯で作った方が好きだな。災害が起こって不安な中、温かいご飯が食べられたらとてもほっとすると思うよ。
<まかせろさんのよく分かる解説>
:アルファ米は予想以上に好評だったようですね。
グルメさんの最後の一言はとても重要なポイントです。災害時は、どうしたって不安や恐怖などの緊張感が高い中で生活しなければいけません。少しでも心的ストレスを和らげる食事ができるよう予め備えておきましょう。温かいものや、普段から食べなれたものがあると良さそうですね。
そのためにも、非常食とセットでカセットコンロとガスボンベを備えておくことをおすすめします。
そしてもちろん、飲料水の備蓄も忘れてはいけません。そのまま飲む量と、調理に使用する量をあわせて、1日2L × 人数 × 3~7日分を備えておくようにしましょう。
また、ずぼらさんが言っていた片付けが楽チンという点は、災害時にとても大切な視点です。
災害時は水が貴重になるので、お皿や手を汚す機会を最小限にするよう工夫しましょう。どうしてもお皿などを使う必要があるときは、上からラップを敷いて使う、汚れが少ない時はキッチンペーパーやウェットティッシュで拭くだけにするなどの工夫ができますよ。
<お皿や手を汚さずパッケージに入れたまま作れるおにぎり。鮭(左)、昆布(右)など種類も豊富>
保存用パン
:さて次は、保存用パンをご用意しました。私たちが普段食べているパンは消費期限が短いので、備蓄には向きません。備蓄には、非常食として売られているパンを買いましょう。缶詰めタイプや袋詰めタイプなど色々あります。
:今回は袋詰めタイプですね。あまり大きくないけど、開けた瞬間に良い香りが漂ってきました。非常食とは思えないほど柔らかいですね。食べてみましょう。
<今回実食したパンは袋詰めタイプ、気密性が高い丈夫な袋に入っている>
:これもまたとっても美味しいね。パサつきがないので、お子様やご高齢の方でも食べやすそう。非常食にパンというのは、あまりイメージがなかったので意外だな。お米とパンを両方備えておけば、災害時でも食事に飽きがこなくて良さそうだね。
:これ、賞味期限が約5年もあるけど、その間食べる機会がなかった場合、賞味期限が切れる前に食べるべきだよね?モグモグ
普段のパンですらたまに賞味期限を切らしてしまうのに、そんな先のことまで覚えておくなんて無理だよ~…。モグモグ
:あと、ずっとどこかにしまっておかないといけないというのも、ちょっと気になる。モグモグ
そんな収納スペースうちにはないよ~…。モグモグ
<まかせろさんのよく分かる解説>
:ずぼらさんとシンプルさんは終始ぶつくさ言いながらも完食しているので、味は美味しかったということなんでしょうね…。
確かに、二人の懸念はもっともです。
最近では、非常時のためだけに非常食を備蓄しておくのではなく、日常生活で食べているものを非常食として多めに備蓄するローリングストック法というやり方が推奨されています。
定期的に非常食を食べ進めながら、食べた分だけ新しく買い足していくというやり方です。
例えば……
①まずベースとなる (3日 + さらにもう1日分) × 1日3食 = 12食分の食料をストックします。
②1か月に1度、1食分を消費します。消費した1食分を買い足します。
③これを1年間(12か月)続けると、12食分そっくり新しいものに入れ替わります。
<ローリングストック法の例>
このやり方であれば、
- 災害が起こった時にも普段と同じ好みに合った食事ができるので、心理的なストレスを和らげることが期待できる
- 非常食として売られているもの以外の食品を備えることができるので、選べる種類が豊富になる
- ひとつひとつの食品の賞味期限を個別で管理する必要がない
- 日常の食材保管スペースに一緒に保管できる(非常食専用のスペースが必要ない)
などの利点があります。
ご当地レトルトカレーやフリーズドライの具沢山スープ、行列ができるお店のカップ麺など、備蓄できる食品のバリエーションが一気に豊富になりそうです。生活スタイルなどに応じて、無理のないサイクルで食べ進められる食品を備えてくださいね。
普段の食生活にローリングストック法を取り入れることで、美味しく楽しく、そしてより気軽に備蓄を続けることができます。
最初から何日分も揃えようとすると大変かもしれませんから、まずは 1日分(3食分)でも、それも大変であれば、1食分だって構いません。
少しずつでも良いので、まず一歩目を踏み出すことが大切です。
ようかん
:非常食コーナーの最後はなんとスイーツ、ようかんです!そもそもようかんはお菓子の中では賞味期限が長い方なのですが、非常食として売られているものは5年ほどの長期保存が可能なんです。
:ようかんはトレイルランニングなどのアウトドアスポーツをされる方が携行食として食べていたりしますよね。非常食にもなっているんですね。
:いただきまーす……うん、優しい甘さで美味しい!腹持ちも良さそうだね。甘いもの好きとしては、災害時に甘い物が食べられると、とても嬉しいだろうなと思います。
:とはいえ、やっぱり非常食は、効率よくエネルギー補給できるよう糖質が多く含まれるものが多いね。栄養バランスの偏りが心配だな…。
<今回実食したようかんは賞味期限がなんと約5年先>
<まかせろさんのよく分かる解説>
:先ほども言及しましたが、在宅避難時の備蓄の目安は 3~7日間×人数分 と言われています。その間、できるだけ普段からよく食べているものや好きなものを備えておきましょう。お米やパンなどの主食だけでなく、ご自身や家族の好みに合わせて、ようかんなどのお菓子も備えられると良いですね。
また、グルメさんが言っていた通り、栄養バランスが偏りがちになる点は注意しなければいけません。どうしても主食に多く含まれる糖質の割合が高くなり、ビタミンやたんぱく質、食物繊維などが不足しがちになります。野菜やお肉などが含まれるレトルト食品やフリーズドライ食品、ドライフルーツや煮干しなどの乾物などもバランスよく備蓄しておくことをおすすめします。
※試食の際は、食品を口に入れる時以外のマスク着用、十分な距離の確保、部屋の喚起、手指やテーブルの消毒を徹底しました。
携帯トイレ
:さて非常食コーナーはここまで。次は、非常食と同じくらい重要な防災グッズ、携帯トイレを紹介したいと思います。
携帯トイレには、便座やバケツにかぶせるタイプや、手に持つタイプ、自立するタイプなど、様々な種類があるのですが、今回は便座やバケツにかぶせるタイプを紹介します。
:携帯トイレは、災害が起こったら絶対に必要になるものということは分かっているのだけど、抵抗があって考えることを避けてしまっていたなあ。本物を見るのは初めてです…。
:中身はとてもシンプルですね。黒くて厚めのポリ袋と、小袋に入った凝固剤がセットになって入っています。
:凝固剤は、水分を吸ってゼリー状に固まってくれるポリマーです。少しもったいないですが、試しに1つ使ってみましょうか。し尿の上に凝固剤を振りまいて使うそうなので、水400mlを入れたビーカーに凝固剤をいれてみます。(見やすくするため水に色をつけています)
<銀袋に入ったサラサラの凝固剤を水400mlに振りいれる>
:入れたそばから、むくむくと凝固剤が膨らんでいくね。ものの30秒くらいで水分を吸いきって固まっちゃったよ。早い…!
<水に触れたとたん凝固剤がむくむく膨らみはじめた>
:ひっくり返しても水は1滴も落ちてこないですね。使用後にポリ袋をしっかり縛っておけば、こぼれる心配はなさそうです。
<逆さにしてもこぼれないほどしっかり固まっている>
:う~んやっぱり、実物を見ることは大切だね。抵抗があるからと言って考えることを避けてしまっていたけれど、トイレは我慢できないものだし、絶対に用意しておかないといけないね…。これを機会に買ってみるよ。
<まかせろさんのよく分かる解説>
:グルメさんが携帯トイレの重要性に気づいてくれて嬉しい限りです。
無理にトイレを我慢しようとすると体調不良を引き起こすことがあります。災害用携帯トイレは、健康を守るためになくてはならないものですから、必ず備えておきましょう。
携帯トイレがないからといって、断水時に水洗式トイレを使うことは絶対にやめてください。無理やり水を流そうとすると、下水管が詰まったり、汚水が逆流してしまったりする危険があります。
携帯トイレの備蓄量の目安は、1日約5~6回× 人数 × 3~7日分と考えると良いでしょう。
もちろん携帯トイレとセットでトイレットペーパーも消費しますから、普段から多めに備えておくことをおすすめします。
まとめ
:今日は、非常食と携帯トイレ、命と健康を守るために必須となる防災グッズをご紹介しました。最後に感想を聞かせてください!
:実際に食べてみたり、試してみたりすることで具体的なイメージが湧き、備蓄の大切さを再認識したなあ。特に非常食については、工夫次第で美味しく栄養バランスの良い食事ができることが分かったので、備蓄に前向きになれた気がします。
:防災グッズは場所を取るから家に置きたくないと思っていたけれど、今は逆に自分の家に全く備蓄がないことが不安になってきたよ。ローリングストック法などを使って工夫すれば、日常生活の延長線上で気軽に備蓄が始められることが分かったので、できることから始めていきたいと思いました!
:いざ災害時のことを想像してみると、非常食や携帯トイレだけではなく他にも必要なものがいろいろある気がするなあ。全部一人で準備するのは到底できなさそうなので……。同居している家族や、災害時に協力しあえそうな知人と話し合いながら、備蓄を進めていこうと思います。
:そうですね、今日ご紹介したのは必要な備蓄のほんの一部ですから、ずぼらさんの言う通り、実際には、携帯ラジオ(電池)・LEDランタン・口腔ケア用ウェットティッシュ・マスク・生理用品などなど……他にも備えるべきものが色々あります。今は防災に関する情報がまとまったサイトもたくさんありますから、ぜひ参考にしてくださいね!
皆さん、今回の防災グッズレポートいかがでしたでしょうか?
他にも備えるべきものがいろいろある、と聞くと、また「大変そうだなあ…」とネガティブになる方もいるかもしれませんが、今回のレポートのようにみんなで楽しく試食してみたり、家族と話し合いながら気軽に普段の買い物の中に盛り込んでみたりすることで、ポジティブで身近な取り組みに変えられそうな気がしませんか?
1人で全てやろうとせず、できるだけ家族や知人と協力しあうことも大切ですね。
少しずつでも構いません。まずは第一歩、できることから始めてみましょう。
リアル脱出ゲーム×日本科学未来館『人類滅亡からの脱出』をまだ体験していない方は、まずはこのイベントに参加することも、もちろん、第一歩になると思いますよ。
※リアル脱出ゲームは㈱SCRAPの商標登録です。
引用・参考文献
- 地震ITSUMO.COM (閲覧日2021/06/08)